邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第百八十一話 本気と、新たな襲撃者

7章 あゝ神よ


(遊びで対処出来る相手じゃないですね)

瞬く間に自身の頭上から落ちてくる影を察知し、それの強大さを理解したシグレは意識を切り替え、今まで使っていなかったスキルを全開放する。

「シッ!」

気合いと共に両者の剣がぶつかり合い、そして拮抗などなくシグレの木剣が砕け散る。

いかに魔法で強化しているとはいえ所詮は木剣、シグレの技術でカバーしようとも連戦に次ぐ連戦や地の耐久の低さで上を行く襲撃者の大剣に当然のごとく粉々にへし折られてしまった。

しかし砕かれた木剣がほんの少しだけ大剣の勢いを弱め、シグレに時間を与える。

それは雲耀の間程でしかなかったが、限界まで加速したシグレに取っては長い時間である。

アイテムボックスから阿修羅骨刀アスラノシントウを取り出し、指輪を大盾に変化させて振り下ろされる大剣を受け流す。

それでも耐え切れず大盾には大きな切れ込みが入るが、軌道はずれ、相手の伸びた腕がシグレの眼前に晒される。

シグレはそこを片手に構えた阿修羅骨刀アスラノシントウで切り離さんと刀を振る。

(ツッ!)

瞬間転移クイックジャンプ!!」

寸前にナニカがシグレを襲う。
体の隅々までを這い回るように現れたそれは、シグレを警戒させ、攻撃を中止するのには充分であった。

転移で飛んだシグレが見たのは、今まで自分が居た場所に、幾多の武器による攻撃が繰り出されていたからである。

襲撃者は語らない。
その黒衣に包まれた全身に隙はなく、下手に攻撃を仕掛けようものなら反撃は必至であろう。
シグレは刀を構え直し、間髪入れずに放たれる大剣の一撃を弾く。
代償として刀が粉々に粉砕されるが破壊成長の効果によってすぐさま再生し、より強靭な刀となる。

そして、壮絶な剣戟が始まった。

襲撃者の大剣が驚異的な速度でシグレに迫り、シグレはそれを刀で受け流し、弾く。
勿論一合ごとに刀は砕け散りその破片が飛び散るが関係はない。
両者とも動くことはなく、ただ打ち合っていた。
襲撃者は攻撃のリズムを変え続けるためパターン化することなど不可能で、シグレは毎回アドリブで防ぐことを要求される。
前の一撃より今の一撃は強く、その次の一撃はこれまでで最も強く、最も鋭い一撃となる。

それは刹那、傍から見れば雲耀の時間に過ぎないが、当事者のふたりにとっては永劫の時のように思えた。

しかし、シグレの一刀が襲撃者に届くまで、あまり時間はかからなかった。


雲耀は雷が落ちるくらい短い時間のことです

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(IDはあらすじにあります)

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