邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

SS 妹達の二人旅 拾肆

SS 一章 『妹達の二人旅』


「ちょっと待ってってば!」

「うるさい、さっさと座りな」

遊理の必死の抵抗も虚しく、機能的な外見をした部屋の中央へと連行され、そこにあるこじんまりとした椅子に遊理は座らされる。

「え?え?なに?何にがおきるの?」

困惑している一行に、どこからかやってきた白衣の男が声をかける。

「次の方ー…ってギルドマスターのお連れさんですか。今度こそしっかり説明して連れてきましたよね?」

男が気だるそうにそう言うとギルドマスターは顔を背け、汗を流しながら答える。

「い、いや、説明はしたんだ。でも、やり方の説明を忘れたというか…」

焦って手をわちゃわちゃさせながらギルドマスターが説明する。

((なにこれかわいい…))

幼女が年相応に焦って対応しているのは、少女たちにとって眼福であった。

「つまり説明不足じゃないですか!」

「ゆ、許してたもれ…」

涙目になったギルドマスターが男の足にすがりついて懇願する。

「許しませんよ。だいたい今月ですらもう三回も同じことやってるじゃないですか!反省してください!」

そんなこんなでしょぼんと床に沈み込んだギルドマスターを放置して男は喋り始める。

「それでは、効果と罰則はこの人から聞いているでしょうから省くとして…やり方を説明します」

そう言うと男はどこからか手鏡を取り出し、遊理に見せる。

「それではやり方の説明を、と言ってもその椅子に座ってこれを使うだけです。簡単でしょう?」

「それでできるんですか?」

疑問に思った皐月が質問を投げかける。

「ええ、大丈夫ですよ〜」

男はゆっくりと手鏡を遊理に近づけ、やがて顔全体が映るようになった時に問いを発する。

「あなたは、なぜここに来たのですか?」

「魔物を討伐して、この鉱山を再興させるため」

遊理が意を決してそう言うと、手鏡がほのかに光を放ち、そしてすぐに収まった。

「はい、オッケーです。お通りください」

「ほら、なんともなかったじゃろう?」

勝ち誇った顔でない胸を持ち上げるギルドマスターをスルーしつつ、男に促されて奥の出口へと向かっていく。

「だからと言って説明不足は許されませんよ?」

目が笑っていない笑顔でギルドマスターに顔を向ける男に促されて残りの二人も最後の関所を抜け、奥へと入っていった。


はい、やっと鉱山

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