邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜
第百四十二話 赦し
6章 玩具は盤上で踊る
「ギャアアアアアア!」
怪鳥の声が響き渡る。
荒野の先、広大な砂漠に住まうハゲワシを何倍も大きくしたような怪鳥が甲高い叫び声をあげ、その命を散らして行く。
それと時を同じくして、砂漠に住まう猛毒の蠍が、地下深くに住まう穿孔蟲が、虎視眈々と獲物を狙っていた巨大なジャッカルが、地を這う岩蜥蜴が、その命を散らす。
そしてその体は光の粒子となってどこかへ飛び去り、砂漠は静寂に包まれた。
雲耀の合間に死に満ちた空間となった砂漠に人は恐怖し、その場から立ち去る。
そして、『死』は侵攻する。
砂漠を進み、ついには果てへとたどり着く。
地中深くに眠っていたであろう堅牢な外殻をもった蚯蚓のような生物を一刀両断し、『死』は進んで行く。
幾多の地を死と血で汚し、ようやくそこへたどり着く。
新緑の木々が生い茂り、迷宮のようになっている森で、小鳥がざわめき、生物は全てが逃げ出さんとする。しかし、その全てに等しく死は齎される。
これは死神の狂想曲。
そして、それはある場所に降り立った。
そこはかつて、導いてくれた偉大なる狼が、子を愛する1人の母親が、復讐に囚われた哀れなものがいた場所。
すでに瘴気は浄化され、今では美しい泉の景色が広がっている。
小さな狼の集落には既に彼らを守る結界はなく、それすらもがシグレの心を抉って行く。
過去が呼び起こされる。
蘇ったその記憶は、シグレの脆弱な心を灼き、その身を絶え間ない苦しみへと落として行く。
そして、シグレの慟哭が響き渡る。
子供のように泣きじゃくり、狂ったように許しを請う。
そうしていくらかたったころ、コロン、と水晶が地面へと転がり、その表面にシグレの涙が触れて、光が漏れてくる。
『やめてくれ』
「あ、ああ…」
現れたのは狼の幻影。
その顔は変わらず薄い笑みをたたえ、試合にみった瞳がこちらを見ている。
『気に病むことではないよ。どっちにしろわたしは死ぬ運命だった』
「っ…!でもっ!」
涙で顔を晴らしたシグレがそう言い返そうとすると、フェンリルはそれを遮り、最後の一言をシグレに託した。
『これからを、幸せに生きてくれ』
消えゆく幻影は満面の笑みをたたえており、何か、自分を縛っていた鎖からようやっと抜け出せた。
そんな解放感に満ちていた。
「ありがとう…ございました」
はい、全く進まない。
次回こそは!次回こそは終わるから!
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(IDはあらすじにあります)
「ギャアアアアアア!」
怪鳥の声が響き渡る。
荒野の先、広大な砂漠に住まうハゲワシを何倍も大きくしたような怪鳥が甲高い叫び声をあげ、その命を散らして行く。
それと時を同じくして、砂漠に住まう猛毒の蠍が、地下深くに住まう穿孔蟲が、虎視眈々と獲物を狙っていた巨大なジャッカルが、地を這う岩蜥蜴が、その命を散らす。
そしてその体は光の粒子となってどこかへ飛び去り、砂漠は静寂に包まれた。
雲耀の合間に死に満ちた空間となった砂漠に人は恐怖し、その場から立ち去る。
そして、『死』は侵攻する。
砂漠を進み、ついには果てへとたどり着く。
地中深くに眠っていたであろう堅牢な外殻をもった蚯蚓のような生物を一刀両断し、『死』は進んで行く。
幾多の地を死と血で汚し、ようやくそこへたどり着く。
新緑の木々が生い茂り、迷宮のようになっている森で、小鳥がざわめき、生物は全てが逃げ出さんとする。しかし、その全てに等しく死は齎される。
これは死神の狂想曲。
そして、それはある場所に降り立った。
そこはかつて、導いてくれた偉大なる狼が、子を愛する1人の母親が、復讐に囚われた哀れなものがいた場所。
すでに瘴気は浄化され、今では美しい泉の景色が広がっている。
小さな狼の集落には既に彼らを守る結界はなく、それすらもがシグレの心を抉って行く。
過去が呼び起こされる。
蘇ったその記憶は、シグレの脆弱な心を灼き、その身を絶え間ない苦しみへと落として行く。
そして、シグレの慟哭が響き渡る。
子供のように泣きじゃくり、狂ったように許しを請う。
そうしていくらかたったころ、コロン、と水晶が地面へと転がり、その表面にシグレの涙が触れて、光が漏れてくる。
『やめてくれ』
「あ、ああ…」
現れたのは狼の幻影。
その顔は変わらず薄い笑みをたたえ、試合にみった瞳がこちらを見ている。
『気に病むことではないよ。どっちにしろわたしは死ぬ運命だった』
「っ…!でもっ!」
涙で顔を晴らしたシグレがそう言い返そうとすると、フェンリルはそれを遮り、最後の一言をシグレに託した。
『これからを、幸せに生きてくれ』
消えゆく幻影は満面の笑みをたたえており、何か、自分を縛っていた鎖からようやっと抜け出せた。
そんな解放感に満ちていた。
「ありがとう…ございました」
はい、全く進まない。
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