邪神と一緒にVRMMO 〜邪神と自由に生きていく〜

クロシヲ

第百十七話 集合、そして襲撃

6章 玩具は盤上で踊る


「これが作戦の概要じゃ、そして__」

広場を静寂が支配する。

「諸君らの健闘と無事を心から祈る。以上じゃ」

「「「「「「「ウォォォォォォォォォ!」」」」」」」

セフィロの号令に合わせて、あたりに鬨の声が響き渡る。

ここは森の先の音楽都市「プレリュード」
普段この街に流れる愉快なメロディと打って変わり、街には冒険者のあげる鬨の声が響いていた。

さて、どうしてこうなったかについてだが、シグレがMPを回復させフェンリルの出した被害を完全に浄化するのに丸1日を要し、その間にクエストを受注したプレイヤーも多く集まっていたため、騎士団が来る1日前、つまり今日に本部の場所を知るための支部襲撃作戦の決行を決め、その決起集会を行っていたから…なのだが。

(やっぱりカリスマ性ありますよねぇ…あれで自分を卑下されると普通の人なら割と怒るんじゃないでしょうか)

探索から帰ってきた途端に死んだ魚の目で自分を卑下するセフィロを見た後では苦情を言いたくなる光景であった。

狼の集落は完全に再生し、今のところ長であるフェンリルが不在の状況でもうまく生活できているようである。
(一部の仔狼が夜に怖いといってシグレから離れなかったため毛玉になって眠ることはあったが。(ちなみにそのときに新たな称号を手に入れたりしている))

だが、生活に変化はあった。
皆の面持ちは暗く沈み、笑うものがあんまりないくらい後へと変貌してしまったのだ。

フェンリルの突然の暴走とあの恨みの理由を説明したところ、全員が協力させろと言ってきたため、現在銀の鍵による転移門ゲートをフェンリルのところと合わせて二つ即時に展開できるように発動待機状態で保持している。

「わしらもゆくぞ」

「はい(うん)」

プレーヤーを含むすべての人間が所定の位置についたのを確認したセフィロが声をかける。

『総員、任務の確認を行う。
今回の目的は敵の組織の根城を突き止める事だ。
そのため、施設の破壊は最小限にとどめ、人間はなるべく捕縛せよ。
繰り返す___』

二度の復唱を終え、それぞれの無線機から返答が帰ってくる。

『『『『『了解ラジャ!!』』』』』

『確認完了。作戦開始!』



「ククク…いいぞ、そのまま踊るがいい…」

黒衣に身を包む道化は口の端を大きく曲げて邪悪に嗤い、白の歩兵ポーンを盤上に置く。

盤上では、白と黒の歩兵ポーンが光を反射し、妖しく輝いていた。


はい、そろそろ動き出します。

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