異世界破壊のファートゥム
58話 リオン
 「俊哉、やめろ。今飛び出たら今までおとなしくしていた意味がなくなる。
出品者と会えなくなってしまうだろ!
それに明美の友達もどうなるかもわからない。抑さえろ!」
颯真とリッカに両肩を抑えつけられ身動きが取れない中、それでもジタバタと抵抗する俊哉。
 「でも…でも、リオンさんが!
リオンさんが!」
 「言いたいことはわかる。だが、今は抑えてくれ。
落札が始まったら買い取るぞ。こちらにはまだ五億はあるのだから。」
なんとか俊哉を落ち着かせ、競りの時を待つ。
場の空気は最高潮に高まった。
場の空気を更に盛り上げようと生気の失われたリオンを一回殴り、抵抗しないことを会場の皆に見せつけると、会場は更なる盛り上がりを見せた。
 「颯真、リッカ、どけよ!
あいつら殺す。あいつら!」
会場の皆への殺意に反応し俊哉の中から誰かが語りかけてくる。
(邪魔なんでしょ?
皆殺したいんでしょ?
許せないんでしょ?
なら、皆殺しちゃいなよ?
あなたにはそれだけの力があるんだから。)
俊哉の体からドス黒いドロドロとしたモヤが出てくる。
それを見た颯真が仕方なくアルカナを使いそのモヤを消すし、俊哉の腹に一撃入れた。
落ち着く俊哉に再度言い聞かせる。
 「今の力が何なのかは知らないが落ち着けよ!
今出ても意味ねえって言ってるのがわかんねえのか!
落札すればすべて終わる。
だから、それまで耐えろ!」
そんなやり取りをしているとが競りが始まった。
最強の騎手ともあり初めの金額は他の奴隷とはまったく異なっていた。
一億という高額からスタートし三億で止まった。誰もがそれ以降金額を提示しようとしない。
落札の直前今しかないと颯真が提示しようとしたその時。
 「十億!」
そのけた違いの額に誰もが敗けを認め場は一瞬で静寂と化す。
それは、俊哉も例外ではなかった。
オークション・ガヴェルの音がなりリオンは落札された。
目玉商品の落札が終わり、その日のオークションは幕を閉じる。
リオンを落札した金持ちの元へと向かう。
俊哉は落札された瞬間その男の顔を覚えることだけに真剣になっていた。
終了したオークションハウスを走り回り、男を見つけた俊哉はすぐさま交渉に入る。
ポッチャリとした、いかにも金持ちと思わせるような豪華な服装をした男に先ほど買い取ったリオンを手放してくれないか。または、解放してあげてくれないかと頭を下げる。
男は少し考えたのちある一つの条件を出す。
 「この世にはパンドラの箱という物が存在する。しかし箱は鍵がなければ開けることは出来ない。
私はその箱を開けるための鍵がほしい。
そう、パンドラの箱の鍵が!
それを持ってきてくれたのなら、この男をくれてやってもかまわない。」
普通の者ならまず無理だろう。
バカな富豪はやはり頭のネジが飛んでいると不満を抱きその場を立ち去るだろう。
だが、俊哉は違った。
鍵を持っていたからだ。
鍵を持っているだけで使い道のわかっていない俊哉は何のためらいもなく鍵を渡そうとした。すると颯真が耳元であることを話始める。
 「俊哉、鍵を渡すのはまずい。
その鍵がどれだけ危険なものなのか君は分かっていないのか?」
颯真の必死の説得は俊哉の心を動かすだけの力はなかった。
 「ごめん。颯真。
俺はこんな鍵より知り合いの方が大切だよ。
だから、この鍵はこの男に渡す。」
これまでの破天荒、無知から生まれる常識のなさ、だがそれでも颯真は俊哉を信じて仲間になった。
颯真はそんな自分を信じることとした。
 「わかった。
俺はお前の意見に従うよ。
リーダー。」
男に鍵を渡し、無事リオンを助けることができた俊哉は当初の目的である沙羅の買い取りの書類の記入をへと向かった。
メーベルと言う男に会い沙羅の怪我の場所などを聞く。
商品の破損部分を聞かされているような感じがし腹が立つ。
話が終わり書類に名前を書こうとした時メーベルからある提案をされる。
 「お兄さんたち、こんな女に億なんて出すなんて相当な物好きだと見受けられた。
どうだ、このような女はまだ腐るほどいる。一度見に来ないか?」
予想外の展開。
自ら拠点まで案内しようとするメーベルを見て展開がスムーズに進みすぎだと怖くなるほどだった。
目的地まで連れていってくれると言うことで颯真に頼み俊哉は他の出品者に会いに行った。
 「俊哉、気を付けろよ。
冷静でいることを忘れるな。全面戦争になったとしても俺はお前の仲間でいることを忘れるな。」
そう、颯真は俊哉に呟きメーベルの元へと向かった。
次にオークの元へと向かう。
再び商品として出された人を物のようにしか見ていない胸くそ悪い説明を危機ながらイライラをこらえる。
やはり億なんて単位を出したのが原因なんだろう。
オークからも他の商品を見ないかと誘いが来る。
乗るしかないと、リッカと明美に場所の確認だけしてくるように頼み向かわせた。
最後にリオンを出品したモノケロスに会いに行く。
鍵と交換した十億と引換券をもち助けに行く。
モノケロスと話すため部屋へと連れていかれた俊哉。
扉を開けようとしたその時、中から話し声が聞こえるのに気がついた。
耳を澄ませるとリオンとモノケロスの会話が聞こえる。
 「お前らみたいなやつらは俺が今ここで倒す!」
ドスッ!という鈍い音の後に男の話声が聞こえた。
 「そんなにカリカリするなよ。
てめーはもう捨てられたんだよ。国から。
もう守るものはない。守る必要もない。
だから、代わりに守る対象をくれてやったんだよ。奴隷としてな?」
会話を聞き耐えられなくなった俊哉が扉を勢いよく開く。
リオンが俊哉を見て驚いているなか購入手続きを始める俊哉。
 「お前がこいつを買ったやつだな?
十億なんて金本当にあるのかよ?」
モノケロスに向かい一億の入ったアタッシュケースを十個投げつけ契約書にサインをする。
その態度の悪さにモノケロスが怒り始めた。
 「てめー、金を払ってる立場だからって威張ってんじゃねぇぞ?
たまにいるんだよ、勘違いしてるやつがよ。」
俊哉を殴ろうとするモノケロスの拳を魔術師のアルカナでよけ、腰についていたリオンの手錠の鍵をスムーズに奪い、そのまま一直線にリオンのもとに向かい手錠を外した。
 「俊哉君、何で?僕は君にあんな酷いことをしたのに。どうして君は助けてくれるんだい?」
反省しているリオンを無視しモノケロスの方を向く。
 「俊哉?聞いたことある名前だ。
それに、その顔。
思い出したぞ?お前、ノア様に以前ボコされて泣いていたやつだろ?」
高笑いするモノケロスに戦線布告をする。
 「この前の借りきっちり返してやるよ!」
出品者と会えなくなってしまうだろ!
それに明美の友達もどうなるかもわからない。抑さえろ!」
颯真とリッカに両肩を抑えつけられ身動きが取れない中、それでもジタバタと抵抗する俊哉。
 「でも…でも、リオンさんが!
リオンさんが!」
 「言いたいことはわかる。だが、今は抑えてくれ。
落札が始まったら買い取るぞ。こちらにはまだ五億はあるのだから。」
なんとか俊哉を落ち着かせ、競りの時を待つ。
場の空気は最高潮に高まった。
場の空気を更に盛り上げようと生気の失われたリオンを一回殴り、抵抗しないことを会場の皆に見せつけると、会場は更なる盛り上がりを見せた。
 「颯真、リッカ、どけよ!
あいつら殺す。あいつら!」
会場の皆への殺意に反応し俊哉の中から誰かが語りかけてくる。
(邪魔なんでしょ?
皆殺したいんでしょ?
許せないんでしょ?
なら、皆殺しちゃいなよ?
あなたにはそれだけの力があるんだから。)
俊哉の体からドス黒いドロドロとしたモヤが出てくる。
それを見た颯真が仕方なくアルカナを使いそのモヤを消すし、俊哉の腹に一撃入れた。
落ち着く俊哉に再度言い聞かせる。
 「今の力が何なのかは知らないが落ち着けよ!
今出ても意味ねえって言ってるのがわかんねえのか!
落札すればすべて終わる。
だから、それまで耐えろ!」
そんなやり取りをしているとが競りが始まった。
最強の騎手ともあり初めの金額は他の奴隷とはまったく異なっていた。
一億という高額からスタートし三億で止まった。誰もがそれ以降金額を提示しようとしない。
落札の直前今しかないと颯真が提示しようとしたその時。
 「十億!」
そのけた違いの額に誰もが敗けを認め場は一瞬で静寂と化す。
それは、俊哉も例外ではなかった。
オークション・ガヴェルの音がなりリオンは落札された。
目玉商品の落札が終わり、その日のオークションは幕を閉じる。
リオンを落札した金持ちの元へと向かう。
俊哉は落札された瞬間その男の顔を覚えることだけに真剣になっていた。
終了したオークションハウスを走り回り、男を見つけた俊哉はすぐさま交渉に入る。
ポッチャリとした、いかにも金持ちと思わせるような豪華な服装をした男に先ほど買い取ったリオンを手放してくれないか。または、解放してあげてくれないかと頭を下げる。
男は少し考えたのちある一つの条件を出す。
 「この世にはパンドラの箱という物が存在する。しかし箱は鍵がなければ開けることは出来ない。
私はその箱を開けるための鍵がほしい。
そう、パンドラの箱の鍵が!
それを持ってきてくれたのなら、この男をくれてやってもかまわない。」
普通の者ならまず無理だろう。
バカな富豪はやはり頭のネジが飛んでいると不満を抱きその場を立ち去るだろう。
だが、俊哉は違った。
鍵を持っていたからだ。
鍵を持っているだけで使い道のわかっていない俊哉は何のためらいもなく鍵を渡そうとした。すると颯真が耳元であることを話始める。
 「俊哉、鍵を渡すのはまずい。
その鍵がどれだけ危険なものなのか君は分かっていないのか?」
颯真の必死の説得は俊哉の心を動かすだけの力はなかった。
 「ごめん。颯真。
俺はこんな鍵より知り合いの方が大切だよ。
だから、この鍵はこの男に渡す。」
これまでの破天荒、無知から生まれる常識のなさ、だがそれでも颯真は俊哉を信じて仲間になった。
颯真はそんな自分を信じることとした。
 「わかった。
俺はお前の意見に従うよ。
リーダー。」
男に鍵を渡し、無事リオンを助けることができた俊哉は当初の目的である沙羅の買い取りの書類の記入をへと向かった。
メーベルと言う男に会い沙羅の怪我の場所などを聞く。
商品の破損部分を聞かされているような感じがし腹が立つ。
話が終わり書類に名前を書こうとした時メーベルからある提案をされる。
 「お兄さんたち、こんな女に億なんて出すなんて相当な物好きだと見受けられた。
どうだ、このような女はまだ腐るほどいる。一度見に来ないか?」
予想外の展開。
自ら拠点まで案内しようとするメーベルを見て展開がスムーズに進みすぎだと怖くなるほどだった。
目的地まで連れていってくれると言うことで颯真に頼み俊哉は他の出品者に会いに行った。
 「俊哉、気を付けろよ。
冷静でいることを忘れるな。全面戦争になったとしても俺はお前の仲間でいることを忘れるな。」
そう、颯真は俊哉に呟きメーベルの元へと向かった。
次にオークの元へと向かう。
再び商品として出された人を物のようにしか見ていない胸くそ悪い説明を危機ながらイライラをこらえる。
やはり億なんて単位を出したのが原因なんだろう。
オークからも他の商品を見ないかと誘いが来る。
乗るしかないと、リッカと明美に場所の確認だけしてくるように頼み向かわせた。
最後にリオンを出品したモノケロスに会いに行く。
鍵と交換した十億と引換券をもち助けに行く。
モノケロスと話すため部屋へと連れていかれた俊哉。
扉を開けようとしたその時、中から話し声が聞こえるのに気がついた。
耳を澄ませるとリオンとモノケロスの会話が聞こえる。
 「お前らみたいなやつらは俺が今ここで倒す!」
ドスッ!という鈍い音の後に男の話声が聞こえた。
 「そんなにカリカリするなよ。
てめーはもう捨てられたんだよ。国から。
もう守るものはない。守る必要もない。
だから、代わりに守る対象をくれてやったんだよ。奴隷としてな?」
会話を聞き耐えられなくなった俊哉が扉を勢いよく開く。
リオンが俊哉を見て驚いているなか購入手続きを始める俊哉。
 「お前がこいつを買ったやつだな?
十億なんて金本当にあるのかよ?」
モノケロスに向かい一億の入ったアタッシュケースを十個投げつけ契約書にサインをする。
その態度の悪さにモノケロスが怒り始めた。
 「てめー、金を払ってる立場だからって威張ってんじゃねぇぞ?
たまにいるんだよ、勘違いしてるやつがよ。」
俊哉を殴ろうとするモノケロスの拳を魔術師のアルカナでよけ、腰についていたリオンの手錠の鍵をスムーズに奪い、そのまま一直線にリオンのもとに向かい手錠を外した。
 「俊哉君、何で?僕は君にあんな酷いことをしたのに。どうして君は助けてくれるんだい?」
反省しているリオンを無視しモノケロスの方を向く。
 「俊哉?聞いたことある名前だ。
それに、その顔。
思い出したぞ?お前、ノア様に以前ボコされて泣いていたやつだろ?」
高笑いするモノケロスに戦線布告をする。
 「この前の借りきっちり返してやるよ!」
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