異世界破壊のファートゥム
51話 フードの男
アルカナの衝突で稲妻が走る。回りの建物を巻き込みながら次第に稲妻の威力が上がっていく。
 「リオンさん。アルカナなんて物いつから持ってたんですか?」
あきが驚いているようにリオンも驚いた。
お互いアルカナを手にしてから会ってなかったからだろう。
リオンを女帝のアルカナで奴隷にしすぐ済ませるはずだったあきの考えは一瞬にして崩れた。
 「君の戦いかたはわかってたからね。剣を作り投げ飛ばし、相手はそれを防ぐのに精一杯となっている間に距離を縮め接近戦へと持ち込む。それがいつもの君のやり方だ。だから、それを防ぐために剛毅のアルカナを使ったが…。まさか君もアルカナ所持者だったとはね。」
お互い簡単には終わらせてくれないと分かり本気を出す。
稲妻の走る中あきが草薙剣を出しリオンの動きを止めようとしたその時、リオンがブラックホールを大量に形成する。
下手に動くとブラックホールの餌食となるこの状況で草薙剣は使えない事を理解するとあきは呼び出す武器を変えた。
禍々しいオーラを放ちながらあきて腕にドロドロト纏わり付く。
一目見れば明らかだ。あの剣はヤバイと。
 「―ティルヴィングー」
あきのゆっくりとした一振り。
揺ったりと、力がなく、正確な直線。
その一振りから繰り出された斬撃はリオンの作ったブラックホールを無視し、ただリオンの体のみをめがけて進んだ。
 「狙った獲物は逃さない。必ず当てる必中の剣。それがこのティルヴィング。この剣にはもう一つ能力があるの。」
あきの登場から戸惑い足が動かない俊哉が気になるものを見つけた。
あきの手の甲に3と書かれた数字が浮かび上がっていたのだ。
 「このブラックホールを消せ。ティルヴィング!」
あきの手の甲の数字が3から2に変わると同時にリオンの作ったブラックホールが消えてなくなった。
 「リオンさん。これでわかったでしょ?貴方じゃ私に敵わない。」
稲妻が消えた。お互い戦う気が無くなったのだろう。
稲妻の走っていたほんの数分間の戦いを見入ってしまった俊哉にあきが説教を始める。
 「あんた何でまだここにいるの?私は行けっていったの。」
戦いを見た後だったからあきに恐怖を持っていた。
 「ごめんなさい。」
素で謝る俊哉。
すぐに我に返り質問を始める。
 「いや、違う。違わないけど。
どうしてあきがここに?
それにどうして俺を助ける?敵になったんじゃ?」
 「質問ばかりしないで。
一つ目のどうして?って言うのは答えられない。
二つ目の質問は答えて上げる。」
少し間が空きあきが話始める。
 「私のしたいこと。しなきゃ行けないこと。それを成し遂げるためには必要だったのよ。貴方を助けることが。」
答になっていない答に俊哉がアルカナを握りしめる。
それと同時にあきの顔が変わる。
 「今女教皇のアルカナを使っても無駄だよ。
私は貴方に教える気は無い。
その強い意思を持っている以上貴方は私の心を覗く事は出来ない。」
 「どうしてアルカナの事を知って。」
俊哉がゆっくりと握りしめていたアルカナを手放す。
 「理由は答えない。とにかく貴方は早く行きなさい。じゃないと私がここに来た意味が無くなるのよ。」
何も説明しようとしないあきにこれ以上時間を使っても意味がないと諦めた俊哉は優花の元に向かうことにした。
あきとミアに礼を言うとすぐに走り出した。
お花畑まではゲートの能力を使っていたのもあり曖昧な記憶を頼りに覚えている道を走った。
魔物を無視しただひたすらに。
どれだけの時間がたったのだろう。
リオンと揉めていた時の空は青色だったが、今はオレンジ色になっていた。
地平線の向こうでは月が顔を出している。
迷って迷ってようやくお花畑につく。
 「遅かったね。もう少し早かったら優花の運命を変えることができたかも知れないのに。君はいつも遅い。だから失う。」
俊哉の目の前には、荒らされた汚いお花畑。そして倒れた優花。優花の前に立つフードの男の姿があった。
俊哉の中で何かが弾ける。
 「テメー!優花になにした!」
言葉と同時に体が動いた。
まだ荒らされていないお花を踏みつけながらフードの男に接近する。
拳に力を入れフードの男の顔めがけてストレートに拳を放つ。
 「おいおい、拳って…。ガキの喧嘩かよ?
異世界の喧嘩はこうやるんだよ!」
男が影を操り俊哉を拘束する。
拳に力をいれ俊哉のみぞおちに一発入れると俊哉は口から血を吐きながらぶっ飛んだ。
 「この痛み…。紅林の強化能力と同じ力。」
 「正解だよ。よくわかったね。やっぱり使ったことのある能力だと体が覚えてるのかな?」
楽しそうに腹を抱えながら笑うフードの男。
身動きの取れない俊哉はただただ見てるしかなかった。
 「弱いし、死ねよ。どうせ他の君がうまくやるさ。君ではうまく立ち回れなかった。今までお疲れ様。」
フードの男が剣を作り動けない俊哉の心臓めがけて投げ飛ばした。
回転せずまっすぐ、垂直に進む剣は俊哉の心臓に確実に近づいていた。
俊哉はとっさに愚者のアルカナを使うとフードの男もアルカナを使った。
 「知ってるか?愚者のアルカナだけはアルカナの衝突と言うもんが無いんだよ。愚者はどのアルカナよりも優先される。だが、例外もある。」
アルカナの衝突。稲妻が凄まじい勢いで花を燃やし尽くす。
 「愚者同士の衝突だけは、れ。い。が。い。」
楽しそうに笑うフードの男。
愚者同士の衝突により消すことのできなかった剣が俊哉の肩に刺さる。
アルカナの衝突により発生した爆風と稲妻で剣の軌道がズレた。
フードの男が再び剣を投げ飛ばす。
今度は邪魔ができぬよう影で俊哉の手を封じて。
アルカナは使えない。
死へのカウントダウンが始まる。
(変われ!俺が何とかする。)
精神世界から男の声が聞こえる。
(早くしろ。死にたくないだろ!)
徐々に近づく剣。
考える時間は残されていない。
俊哉は再び心の声に頼ることにした。
俊哉の影が壁となり剣を防ぐ。
 「ようやくか。遅かったじゃねえか。」
フードの男が入れ替わった俊哉容赦なく剣を投げ飛ばす。
 「キテラ来いよ!」
愚者のアルカナで剣を消すと同時に入れ替わった俊哉の影からキテラが出てくる。
キテラと、入れ替わった俊哉がタイミングよく宣戦布告した。
 「テメーは、俺がここで殺す。」
 「リオンさん。アルカナなんて物いつから持ってたんですか?」
あきが驚いているようにリオンも驚いた。
お互いアルカナを手にしてから会ってなかったからだろう。
リオンを女帝のアルカナで奴隷にしすぐ済ませるはずだったあきの考えは一瞬にして崩れた。
 「君の戦いかたはわかってたからね。剣を作り投げ飛ばし、相手はそれを防ぐのに精一杯となっている間に距離を縮め接近戦へと持ち込む。それがいつもの君のやり方だ。だから、それを防ぐために剛毅のアルカナを使ったが…。まさか君もアルカナ所持者だったとはね。」
お互い簡単には終わらせてくれないと分かり本気を出す。
稲妻の走る中あきが草薙剣を出しリオンの動きを止めようとしたその時、リオンがブラックホールを大量に形成する。
下手に動くとブラックホールの餌食となるこの状況で草薙剣は使えない事を理解するとあきは呼び出す武器を変えた。
禍々しいオーラを放ちながらあきて腕にドロドロト纏わり付く。
一目見れば明らかだ。あの剣はヤバイと。
 「―ティルヴィングー」
あきのゆっくりとした一振り。
揺ったりと、力がなく、正確な直線。
その一振りから繰り出された斬撃はリオンの作ったブラックホールを無視し、ただリオンの体のみをめがけて進んだ。
 「狙った獲物は逃さない。必ず当てる必中の剣。それがこのティルヴィング。この剣にはもう一つ能力があるの。」
あきの登場から戸惑い足が動かない俊哉が気になるものを見つけた。
あきの手の甲に3と書かれた数字が浮かび上がっていたのだ。
 「このブラックホールを消せ。ティルヴィング!」
あきの手の甲の数字が3から2に変わると同時にリオンの作ったブラックホールが消えてなくなった。
 「リオンさん。これでわかったでしょ?貴方じゃ私に敵わない。」
稲妻が消えた。お互い戦う気が無くなったのだろう。
稲妻の走っていたほんの数分間の戦いを見入ってしまった俊哉にあきが説教を始める。
 「あんた何でまだここにいるの?私は行けっていったの。」
戦いを見た後だったからあきに恐怖を持っていた。
 「ごめんなさい。」
素で謝る俊哉。
すぐに我に返り質問を始める。
 「いや、違う。違わないけど。
どうしてあきがここに?
それにどうして俺を助ける?敵になったんじゃ?」
 「質問ばかりしないで。
一つ目のどうして?って言うのは答えられない。
二つ目の質問は答えて上げる。」
少し間が空きあきが話始める。
 「私のしたいこと。しなきゃ行けないこと。それを成し遂げるためには必要だったのよ。貴方を助けることが。」
答になっていない答に俊哉がアルカナを握りしめる。
それと同時にあきの顔が変わる。
 「今女教皇のアルカナを使っても無駄だよ。
私は貴方に教える気は無い。
その強い意思を持っている以上貴方は私の心を覗く事は出来ない。」
 「どうしてアルカナの事を知って。」
俊哉がゆっくりと握りしめていたアルカナを手放す。
 「理由は答えない。とにかく貴方は早く行きなさい。じゃないと私がここに来た意味が無くなるのよ。」
何も説明しようとしないあきにこれ以上時間を使っても意味がないと諦めた俊哉は優花の元に向かうことにした。
あきとミアに礼を言うとすぐに走り出した。
お花畑まではゲートの能力を使っていたのもあり曖昧な記憶を頼りに覚えている道を走った。
魔物を無視しただひたすらに。
どれだけの時間がたったのだろう。
リオンと揉めていた時の空は青色だったが、今はオレンジ色になっていた。
地平線の向こうでは月が顔を出している。
迷って迷ってようやくお花畑につく。
 「遅かったね。もう少し早かったら優花の運命を変えることができたかも知れないのに。君はいつも遅い。だから失う。」
俊哉の目の前には、荒らされた汚いお花畑。そして倒れた優花。優花の前に立つフードの男の姿があった。
俊哉の中で何かが弾ける。
 「テメー!優花になにした!」
言葉と同時に体が動いた。
まだ荒らされていないお花を踏みつけながらフードの男に接近する。
拳に力を入れフードの男の顔めがけてストレートに拳を放つ。
 「おいおい、拳って…。ガキの喧嘩かよ?
異世界の喧嘩はこうやるんだよ!」
男が影を操り俊哉を拘束する。
拳に力をいれ俊哉のみぞおちに一発入れると俊哉は口から血を吐きながらぶっ飛んだ。
 「この痛み…。紅林の強化能力と同じ力。」
 「正解だよ。よくわかったね。やっぱり使ったことのある能力だと体が覚えてるのかな?」
楽しそうに腹を抱えながら笑うフードの男。
身動きの取れない俊哉はただただ見てるしかなかった。
 「弱いし、死ねよ。どうせ他の君がうまくやるさ。君ではうまく立ち回れなかった。今までお疲れ様。」
フードの男が剣を作り動けない俊哉の心臓めがけて投げ飛ばした。
回転せずまっすぐ、垂直に進む剣は俊哉の心臓に確実に近づいていた。
俊哉はとっさに愚者のアルカナを使うとフードの男もアルカナを使った。
 「知ってるか?愚者のアルカナだけはアルカナの衝突と言うもんが無いんだよ。愚者はどのアルカナよりも優先される。だが、例外もある。」
アルカナの衝突。稲妻が凄まじい勢いで花を燃やし尽くす。
 「愚者同士の衝突だけは、れ。い。が。い。」
楽しそうに笑うフードの男。
愚者同士の衝突により消すことのできなかった剣が俊哉の肩に刺さる。
アルカナの衝突により発生した爆風と稲妻で剣の軌道がズレた。
フードの男が再び剣を投げ飛ばす。
今度は邪魔ができぬよう影で俊哉の手を封じて。
アルカナは使えない。
死へのカウントダウンが始まる。
(変われ!俺が何とかする。)
精神世界から男の声が聞こえる。
(早くしろ。死にたくないだろ!)
徐々に近づく剣。
考える時間は残されていない。
俊哉は再び心の声に頼ることにした。
俊哉の影が壁となり剣を防ぐ。
 「ようやくか。遅かったじゃねえか。」
フードの男が入れ替わった俊哉容赦なく剣を投げ飛ばす。
 「キテラ来いよ!」
愚者のアルカナで剣を消すと同時に入れ替わった俊哉の影からキテラが出てくる。
キテラと、入れ替わった俊哉がタイミングよく宣戦布告した。
 「テメーは、俺がここで殺す。」
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