異世界破壊のファートゥム

蒼葉 悠人

36話 海斗の修行

 「俊哉君、君アルカナカード使えるの!」

無意識で出てきた覇気がアルカナカードの能力だということに海斗の問で理解した俊哉は驚きのあまり返事をすることを忘れた。

 「出会って早々いろいろと情報を渡す人はいないか。わかった。」

鈴華方に行き何かを提案する海斗。

 「アルカナカードが使えるなら俺らが持ってるよりも、俊哉がもっていた方が安全かもしれない。ここは俊哉君に預けておくのがベストかもしれないよ?」

 「そうね。ねえ、もう一回見せてよ!その愚者の能力。」

どうやって出したか理解してない俊哉にはもう一度発動する何てことは出来なかった。

 「えっと。ごめんなさい。使えないんです。たまたまなんです。」

 「はーーー!呆れた。もういいわ。海斗やっぱり無理やりとりましょう。」

激怒する鈴華。
それに怯える俊哉。

 「鈴華、5日くれないかな?」

 「何をいってるの?」

 「このまま俊哉君から鍵を取るのなんて朝布団から出るよりも簡単なこと。でも、よく考えてよ。愚者のアルカナを持っているってことはいつか必ず彼の力を借りなきゃ行けない日が来るって事でしょ?」

 「何が言いたいのよ?」

 「俊哉君を修行してあげようと思ってる。」

 「はぁー。」

こいつは何を言ってるの。と呆れ返る鈴華。

 「何のメリットがあるのよ?」

 「それは…。」

困った海斗が俊哉をチラチラと見てくる。

 「この能力が使えたらその、4組織との戦いを有利にしてみせる。」

少し考える鈴華。

 「わかったわ。でも、5日だけよ。それ以上は待たないから。」

こうして海斗との修行の日々が始まった。

する事は基本毎日同じだった。
海斗にピンチな状況を作ってもらい発動のコツを掴む。それの繰り返し。
何度か発動はしたが今だ使いこなせてはいない。

 「俊哉くんそろそろコツを掴んでくれないと。」

 「わかってる。わかってるけど。」

焦り始める俊哉。

 「今日が最後だよ。」

最終日は鈴華も見物するらしい。

 「だめね。」

鈴華が呟く。

 「鈴華お前!」

珍しく怒る海斗にびっくりする。

 「アルカナ使っただろ。」

 「しょうがないじゃない。待つより調べた方が早いし!」

 「俊哉くんごめん。今日も1日頑張ろうか。」

 「いや、でも…」

やる気を失った俊哉に海斗が言う。

 「運命ごときでヘコタレルの?俊哉くんは運命と未来は変えるものだよ?僕らは異世界生活をやってるんだよ?非現実なんていくらでも作れるよ。」

海斗と言葉で助けられた俊哉は最後の1日を頑張ることにした。

 「じゃあ、始めるよ。」

海斗が塔のアルカナを使おうとしたその時だった。

 「草薙剣。」

激しい地響きと共に地面が割れ、土と回りの草木が触手のように俊哉を襲う。
身動きが取れなくなった俊哉に誰かが近づいてくる。

 「てめー、誰だよ?」

木々の影から姿を見せたのは俊哉のよく知っている人物だった。

 「あき。」

 「そうだよ。俊哉。」

不気味な笑みを浮かべながら話始める。

 「ねえ、俊哉あなたはここら辺で異世界生活を終わらせる気ない?どうせ能力も持ってないんだから。現実世界で大人しくしてなよ?」

 「いきなりなに言い出すんだよ。てか、どうしてお前が俺の能力の事を知ってる!」

 「そんな些細なことどうでもいいよ。」

どこか悲しそうなあき。

 「この触手のように動くこれはなんだよ?」

 「これ?草薙剣の能力だよ。」

俊哉と共に捕まった海斗が鈴華に草薙剣の能力を尋ねる。

 「草薙剣。それはスサノオがヤマタノオロチを倒したときに手に入れたとされている剣。だとするとこれはヤマタノオロチの首のようなものかしらね。」

冷静に解説する鈴華に海斗が余裕そうだね。と突っ込む。

 「余裕な訳ないだろ!ばか!」

 「その通りだよ。その土や草木はヤマタノオロチの首だと思ってくれて構わない。」

 「あき、どこでそんなものを。」

俊哉の質問に笑顔で答えるあき。

 「私の能力だよ。」

 「お前の能力は剣を作るだけのはず…。」

 「そうだよ。昔の私の能力はそれだけだった。いいや、それだけだと思ってた。って言った方がいいのかな。」

あきとの会話の途中で鈴華が割り込んでくる。

 「雑談はいいんだよ。てめ、何が目的だ!」

今だ見たことのない怖い顔。そして聞いたことのない口調。俊哉は気を引き締めました。

 「私の願いは1つ。俊哉に異世界生活をやめてほしい。それだけよ。」

 「どうして?」

俊哉の質問に悲しそうな顔をして答える。

 「俊哉はいつも死と隣り合わせだから。私は貴方に死んでほしくない。だから、決めたの、死なれる前に異世界から足を洗ってもらうって。無能な貴方はもうこの世界にはいなくていい。死ぬか異世界生活をやめるか選んで。」

 「待ちなさいよ!」

鈴華がまたも入り込んでくる。

 「死なれる前に異世界生活を止めさせるのが目的でしょ?なら、どうして俊哉を殺そうとするのよ。」

 「言葉の綾ってやつよ。本当には殺さないは。ただ、今の私なら異世界生活が出来ないようにするくらい雑作もない。」

 「さっきから聞いてればお前言ってることが無茶苦茶じゃないか!。」

アルカナを使い触手から抜け出す海斗。

 「海斗、あの女が能力を使う前にケリをつけろ!」

 「そんなこと、言われなくてもわかってるよ!」

 「貴方たちは黙っててくださいよ。」

 そういうとあきはポケットから何かを取り出した。

 「女帝のアルカナだよ。」

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