異世界破壊のファートゥム

蒼葉 悠人

21話 能力者狩り Ⅲ

三人で王都の入り口まで向かう。そこには頭のネジが外れたように狂っている謎の男の姿がまだあった。

 「どうして、どうして、どうして、どうして!」

男は頭を抱えながら発狂してた。

 「あなたたちですか?私の邪魔をするのは。あなたたちなんですかー!」

そういうと男は新たな魔物を召喚した。

 「そうですよ。私の邪魔をするなら地獄というのを見てもらはないと。来い、ハデス。」

魔法陣らしきものから大きなカマを持った男が出てきた。

 「俊哉君、あき、準備はいいかな?あれは確実に苦戦する相手だよ。」

俊哉とあきは覚悟を決め戦闘体勢に入る。

ガキーン!

一瞬だった。ほんの少し戦闘体勢に入るのが遅かったら確実に首が吹っ飛んでいた。あきがとっさに剣を出してくれていなかったら俊哉は死んでいた。
すぐに全能力強化をする俊哉。

 少し距離を取ったハデスは距離を取ったと同時にまたもすごいスピードで向かってくる。しかし、視力強化をしていた俊哉には走って向かってくる位のスピードに見えていた。剣を作りカマが振り落とされる方に剣をかざし防ぐ。ギーンという音と同時にあきとリオンが距離を取る。

 「あき見える範囲でいい剣を投げてくれ。」

 「その心配はないよ。」

そういうとあきはハデスのいる地面から無数の剣を作り出し一斉に放つ。ハデスは思わずカマを回転させながら距離をとる。

 「キアラナのお願いを叶えたからか能力の使い方がちゃんとわかるようになったんだ。だから投げる必要なんかない。なんならこんなことだってできる。」

そういうとあきは狂った男の半径1メートル範囲に剣を作り出した。何かを察した男はさらにもう一人召喚する。

 「メタトロン」

剣が男に刺さるギリギリでメタトロンを使い空に逃げる男。

「一体何体出てくるんだよ。」

 「俊哉、お前能力マネできるよね?あいつと同じ能力でなんか召喚できないの?」

 「やってみたけどできないんだよ。」

男が笑いだす。

 「当たり前だろー。たかが能力者の領域で天使に神が召喚できるかよ。魔法だよ魔法。あー、魔法なんて良いものなんだろう心が震えるよー。」

 「魔法、キテラ関係か?」

キテラという単語に反応した男は叫びだす。

 「お前ら下等なたかが能力者ごときがキテラ様を語ろうとするなよ。もういい死ねよ?死ねよ!死ねよ!死ねよ!死ねよ!」

またもや魔方陣を出す男。

 「俊哉君、あき、あれだけは止めろ。」

 「邪魔させるなハデス!」

ハデスが向かってくる。それを俊哉が動きを止める。

 「神に行動停止は効かねえよ!」

男が言うとおりハデスの動きは止まらない。

俊哉が一人でハデスの攻撃を止める。あきが剣を生み出す。リオンが出来る限りブラックホールで動きを制限する。しかしまだ届かない。

 「ゲームオーバーだよ。神話で殺してやるよ。来いトール。」

 魔法陣から出てきたのは神トールだった。
トールは魔法陣から出たと同時にウォーハンマーを振りかざす。

 「ミョルニルだよ。稲妻だよ。かっこいいねー。かっこいいー。死んだ?」

男が狂ったように喜ぶ。

ミョルニルの凄まじい勢いに回りの建物は姿を消し地面は平地とかした。俊哉含む三人は一歩も動けない状況になったがかろうじて生きていた。男はというと。

 「天使の加護ってやつだよ。愛されてるねー。俺愛されてるよねー。」

無傷だった。

 「さて、それでは地獄に行ってもらいましょう。さようならー。ハデスよろしく。」

ハデスが向かってくる。回復の能力を使ってはいるが、瀕死の状態での回復が追い付かず動きく事すらまだできない俊哉。どうしようもなく死ぬだけ。そう思われたとき。

 「アルカナカード死神」

その瞬間召喚された神たちが消滅していく。メタトロンが消滅したことにより謎の男が地面に叩きつけられた。

 「痛いじゃないかー、つか、誰なんだよー。良いとこなのにー。」

俊哉とリオンがなにも言えなくなる。洞窟での恐怖を思い出したからだ。いきなり現れたのはリーゴだった。

 「すまないね。少し邪魔するよ。」

 「俊哉くん傷は癒えたよね?詳しい話はまた今度紙に書いた場所でいつか話そう。とりあえずここは任せてくれないかな?」

いきなり出て来て任せろと言われても信用できない俊哉にリーゴは

 「君たちは知らないと思うけど、この騒ぎは今王都の至る所で行われている。ただ、こいつが一番派手だからそれ以外があまり目立っていないだけ。そしてこの騒ぎの狙いは王都の破壊何かじゃない。」

 「どういうことだよ。」

 「能力者狩りだよ。」

俊哉は何かを察した。

 「この中で一番早く姫の元に行けるのは君だ。だから頼んだよ。こちらとしてもこれ以上あいつの好きにはさせたくないからね。」

 「あきさんとリオンさんは。」

 「任せな。無傷で返して上げるよ。」

いろいろ切羽詰まっている俊哉はリーゴにすがるしかなかった。

 「わかりましたお願いします。」

 「名前はフレイア。能力は略奪。気をつけて、能力を取られたら終わるからね。」

同時刻

「あらあら、お姫様怖がったりはしないのね?」

 「あなたが来ることは知っていましたので。」

 「お得意の未来予知かしら?」

 「ええ、この目が教えてくらました。」

 「そうなら、この後どうなるのかもわかっているのかしら?」

 「ええ、わかっていますよ。」

 「そう。だからもう諦めたって?少しはビビってくれないとお姉さんつまらないわ。いい声で泣いてね。」

そういいフレイアがミアの胸にナイフを刺す。

ミアが笑う。

クザ!

フレイアの持っていたナイフは男の手を貫いた。

 「こうなることもわかっていましたので。この目が言っていましたから。」

フレイアが刺したのは、ゲートで移動した俊哉の手だった。

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