異世界でもプロレスラーになれますか?
第12話 殲滅
「怖い顔してどうしたよハイル?俺が憎いか?そうだよな。俺の親はお前の両親を殺し、俺はお前を殺そうとしてたんだもんな。憎くて当然だ」
まるでハイルさんを挑発するかのようにエルドは嘲笑いながら言う。
「はっ、俺がそんな事いつまでも根にもってると思ってんのか?笑わせんな」
「強がんなよハイル。さっきから殺気が凄えぞ?俺を殺したくてたまんねぇんだろ?今のお前を見りゃ一目瞭然だ」
エルドの言う通りだ。今のハイルさんからは尋常じゃない殺気が溢れている。それは明らかにエルドに向けられているものだ。
「何度も言わせんなよ。俺は両親を殺したてめぇら親子に恨みがあるわけじゃねぇ」
一瞬の間の後、ハイルさんはエルドに向かって拳を放つ。
「ずっとダチだと信じてたてめぇに裏切られた事が心底むかついてんだよぉぉぉ!!!」
直後、ハイルさんの放った拳による衝撃波によってエルドは吹き飛ばされる。そのまま十数メートル吹っ飛ばされたエルドは大の字に地面に倒れこんだ。
するとなぜか攻撃を仕掛けた側のハイルさんを見ると血反吐を吐いて膝をついていた。
「ハ、ハイルさん!?」
俺はハイルさんのそばへと駆け寄る。何が起きたのかは分からないが、明らかに様子がおかしい。見たところ目立った外傷は無いように見えるが。
「ようやく効いてきたようだな」
むくりと立ち上がったエルドがニヤリと笑いながら言う。どうゆう事だ?
「悪りぃな竜平、離れててくれや。こいつとはサシでやり合いてぇんだよ」
「でもハイルさん……」
見るからに苦しそうなハイルさんは立ち上がりエルドに向かい合う。
「安心しろや。ハイルは俺が直々に殺してやる。お前ら2人の相手もちゃんと用意してあるからよ」
エルドが指をパチンと鳴らす。すると突如地鳴りが発生し、マッスルロックゴーレムが現れる。それも1体2体ではない。全部で……9体か。サイズは10メートルに及ばないがそれでも脅威に変わりはない。
ハイルさんはエルドとサシでケリをつけたいと言った。ならばこいつらを倒すのは俺らの役目だ。ハイルさんを信じよう。
「ハイルさん!絶対勝って下さいよ?もしあんなクズ野郎に負けたら溜まりに溜まった借金は誰が払うんですか?」
「ははっ、そりゃもしもの時は……竜平、頼んだわ」
俺かよ。同じ組織に所属はしているがまだ新入りだぞ?新入りに丸投げするなよこの人は。
まぁ大丈夫。ハイルさんは絶対に負けない。俺は俺の仕事をしよう。
そう決意し、俺はゴーレムの群れに立ち向かう。
「シルフィ!俺たちはこいつらを殲滅するぞ!サポート頼む!」
「分かったわ。正直凄い怖いけど、ハイルさんの邪魔はさせない!」
気合いを入れる俺とシルフィ。俺は近接、シルフィは完全な魔法戦だ。
すると東側に現れたゴーレム3体が早くも動き出し、こちらに向かってきた。
「よし、まずはあっちの3体を潰すぞシルフィ!」
「オッケー!とっととやっちゃってー!」
「早速俺任せですか!?」
明らかに俺から距離をとったシルフィ。サポート頼むって言ったのに……。
「大丈夫よ!危なくなったらちゃんとサポートするから!気にせず戦って!」
はい。分かりましたよっと。
俺はとりあえず逆水平を叩き込む体勢をとる。さらにそこへ魔法の力を付与する。前回アクアヴェールで水属性を付与した時気がついたが、元々の物理攻撃が強いので他の属性でもいけるんじゃないかと思っていた。
「よっしゃ、それじゃ今回は風属性でいってみるかな?ウィンドヴェール!」
身体に風を纏うような感覚だ。地球ではカマイタチという現象がある。刃物で切られたような傷が出来るが、痛みはなく、傷からは血は出ないという。
今回はそのカマイタチを参考にしてみることにした。
「逆水平!」
風属性を纏った手刀から放たれたのはまさに風の刃。それがまっすぐにゴーレムへ向かっていき、見事に真っ二つになった。しかしそれだけでは終わらなかった。
俺が狙ったゴーレムは真っ二つになったが、風の刃はゴーレムを切り裂くとそのまま後ろにいた2体のゴーレムまでをも切り裂き、真っ二つにしてしまったのだ。
「凄い威力だったなぁ」
呆然とその光景を眺めていた俺だがあまりに無防備過ぎた。別の方角から来ていたゴーレムに気づかず、至近距離までの接近を許してしまった。
俺の真後ろに立つゴーレムは今にも俺を踏み潰さんと片足を俺の頭上に上げているところだった。流石にこれはまずいな。
すると突如ゴーレムの動きが止まった。
「アイスグラウンド!」
ゴーレムの足元が氷に包まれ動きが止まったのだ。
「ちょっと竜平!何余裕かましてんの。ゴーレムはまだ残ってるんだから最後まで気を抜かないの!冒険者としてはまだまだヒヨッコなんだから。帰ったら冒険者の心得をみっちり教えてあげるから覚悟しておきなさい!」
「あ、あぁすまん。なんか技が凄い威力だからつい見入っちまって。とりあえず残りのゴーレムもさっさと片付けちゃおうぜ」
シルフィには借りができちゃったな。今度何かプレゼントでもしてやろう。
でもまずは残りの6体だ。
「次はっと。よしこれで行こう」
俺は自分のスキルの中から使いたかった技を選ぶ。氷で身動きが取れないゴーレムに向かって俺は技を繰り出す。
「おっしゃー!アックスボンバー!」
バゴォォォォォン!!
アックスボンバーは腕をくの字型に折り曲げ、走りながら相手の顔や喉元にぶつける打撃技である。でかいゴーレム相手だと流石に顔へは届かないのでとりあえず当てるだけ当ててみたが……見事に粉々だった。
そのままの勢いで他のゴーレムへもアックスボンバーを叩きつけた。
結果残りのゴーレムは1体となり、形勢は完全に逆転した。まだまだ試したい技が沢山あったんだが、ちょっと調子に乗りすぎたな。
「凄いじゃない竜平!あれだけの数のゴーレムをこんなにあっさり倒しちゃうなんて」
「いやぁ正直シルフィが助けてくれなかったら危なかったよ。ほんとありがとうシルフィ」
「ふふん!感謝してよね!帰ったらとびっきり甘い凄く高ーーいスイーツを奢ること!」
難易度上がった。俺もそこまでお金あるわけじゃないんだけどなぁ。ゴーレムの報酬貰ったわけだけど、そもそもそのお金しか無いわけで。
と、そんな事考えてる場合じゃなかった。ゴーレムはあと1体残ってた。スキルリストを見ていると1つ気になるスキルがあることに気づく。
まるでハイルさんを挑発するかのようにエルドは嘲笑いながら言う。
「はっ、俺がそんな事いつまでも根にもってると思ってんのか?笑わせんな」
「強がんなよハイル。さっきから殺気が凄えぞ?俺を殺したくてたまんねぇんだろ?今のお前を見りゃ一目瞭然だ」
エルドの言う通りだ。今のハイルさんからは尋常じゃない殺気が溢れている。それは明らかにエルドに向けられているものだ。
「何度も言わせんなよ。俺は両親を殺したてめぇら親子に恨みがあるわけじゃねぇ」
一瞬の間の後、ハイルさんはエルドに向かって拳を放つ。
「ずっとダチだと信じてたてめぇに裏切られた事が心底むかついてんだよぉぉぉ!!!」
直後、ハイルさんの放った拳による衝撃波によってエルドは吹き飛ばされる。そのまま十数メートル吹っ飛ばされたエルドは大の字に地面に倒れこんだ。
するとなぜか攻撃を仕掛けた側のハイルさんを見ると血反吐を吐いて膝をついていた。
「ハ、ハイルさん!?」
俺はハイルさんのそばへと駆け寄る。何が起きたのかは分からないが、明らかに様子がおかしい。見たところ目立った外傷は無いように見えるが。
「ようやく効いてきたようだな」
むくりと立ち上がったエルドがニヤリと笑いながら言う。どうゆう事だ?
「悪りぃな竜平、離れててくれや。こいつとはサシでやり合いてぇんだよ」
「でもハイルさん……」
見るからに苦しそうなハイルさんは立ち上がりエルドに向かい合う。
「安心しろや。ハイルは俺が直々に殺してやる。お前ら2人の相手もちゃんと用意してあるからよ」
エルドが指をパチンと鳴らす。すると突如地鳴りが発生し、マッスルロックゴーレムが現れる。それも1体2体ではない。全部で……9体か。サイズは10メートルに及ばないがそれでも脅威に変わりはない。
ハイルさんはエルドとサシでケリをつけたいと言った。ならばこいつらを倒すのは俺らの役目だ。ハイルさんを信じよう。
「ハイルさん!絶対勝って下さいよ?もしあんなクズ野郎に負けたら溜まりに溜まった借金は誰が払うんですか?」
「ははっ、そりゃもしもの時は……竜平、頼んだわ」
俺かよ。同じ組織に所属はしているがまだ新入りだぞ?新入りに丸投げするなよこの人は。
まぁ大丈夫。ハイルさんは絶対に負けない。俺は俺の仕事をしよう。
そう決意し、俺はゴーレムの群れに立ち向かう。
「シルフィ!俺たちはこいつらを殲滅するぞ!サポート頼む!」
「分かったわ。正直凄い怖いけど、ハイルさんの邪魔はさせない!」
気合いを入れる俺とシルフィ。俺は近接、シルフィは完全な魔法戦だ。
すると東側に現れたゴーレム3体が早くも動き出し、こちらに向かってきた。
「よし、まずはあっちの3体を潰すぞシルフィ!」
「オッケー!とっととやっちゃってー!」
「早速俺任せですか!?」
明らかに俺から距離をとったシルフィ。サポート頼むって言ったのに……。
「大丈夫よ!危なくなったらちゃんとサポートするから!気にせず戦って!」
はい。分かりましたよっと。
俺はとりあえず逆水平を叩き込む体勢をとる。さらにそこへ魔法の力を付与する。前回アクアヴェールで水属性を付与した時気がついたが、元々の物理攻撃が強いので他の属性でもいけるんじゃないかと思っていた。
「よっしゃ、それじゃ今回は風属性でいってみるかな?ウィンドヴェール!」
身体に風を纏うような感覚だ。地球ではカマイタチという現象がある。刃物で切られたような傷が出来るが、痛みはなく、傷からは血は出ないという。
今回はそのカマイタチを参考にしてみることにした。
「逆水平!」
風属性を纏った手刀から放たれたのはまさに風の刃。それがまっすぐにゴーレムへ向かっていき、見事に真っ二つになった。しかしそれだけでは終わらなかった。
俺が狙ったゴーレムは真っ二つになったが、風の刃はゴーレムを切り裂くとそのまま後ろにいた2体のゴーレムまでをも切り裂き、真っ二つにしてしまったのだ。
「凄い威力だったなぁ」
呆然とその光景を眺めていた俺だがあまりに無防備過ぎた。別の方角から来ていたゴーレムに気づかず、至近距離までの接近を許してしまった。
俺の真後ろに立つゴーレムは今にも俺を踏み潰さんと片足を俺の頭上に上げているところだった。流石にこれはまずいな。
すると突如ゴーレムの動きが止まった。
「アイスグラウンド!」
ゴーレムの足元が氷に包まれ動きが止まったのだ。
「ちょっと竜平!何余裕かましてんの。ゴーレムはまだ残ってるんだから最後まで気を抜かないの!冒険者としてはまだまだヒヨッコなんだから。帰ったら冒険者の心得をみっちり教えてあげるから覚悟しておきなさい!」
「あ、あぁすまん。なんか技が凄い威力だからつい見入っちまって。とりあえず残りのゴーレムもさっさと片付けちゃおうぜ」
シルフィには借りができちゃったな。今度何かプレゼントでもしてやろう。
でもまずは残りの6体だ。
「次はっと。よしこれで行こう」
俺は自分のスキルの中から使いたかった技を選ぶ。氷で身動きが取れないゴーレムに向かって俺は技を繰り出す。
「おっしゃー!アックスボンバー!」
バゴォォォォォン!!
アックスボンバーは腕をくの字型に折り曲げ、走りながら相手の顔や喉元にぶつける打撃技である。でかいゴーレム相手だと流石に顔へは届かないのでとりあえず当てるだけ当ててみたが……見事に粉々だった。
そのままの勢いで他のゴーレムへもアックスボンバーを叩きつけた。
結果残りのゴーレムは1体となり、形勢は完全に逆転した。まだまだ試したい技が沢山あったんだが、ちょっと調子に乗りすぎたな。
「凄いじゃない竜平!あれだけの数のゴーレムをこんなにあっさり倒しちゃうなんて」
「いやぁ正直シルフィが助けてくれなかったら危なかったよ。ほんとありがとうシルフィ」
「ふふん!感謝してよね!帰ったらとびっきり甘い凄く高ーーいスイーツを奢ること!」
難易度上がった。俺もそこまでお金あるわけじゃないんだけどなぁ。ゴーレムの報酬貰ったわけだけど、そもそもそのお金しか無いわけで。
と、そんな事考えてる場合じゃなかった。ゴーレムはあと1体残ってた。スキルリストを見ていると1つ気になるスキルがあることに気づく。
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