異世界でもプロレスラーになれますか?
第5話 未知の職業
色々シルフィにからかわれていたニアさんだが、ようやく落ち着いたようなので俺の冒険者登録を進めることになった。
「それでは竜平さんの冒険者登録を行います。こちらの石板に手をかざして下さい」
そう言うと、ニアさんは四角い石板をカウンターに置く。単なる石の様に思えたその石板に手をかざすと突如石板が光り出し、まるで立体映像の様に空中に文字が刻まれていく。どうやら言葉だけじゃなく文字も読めるようになっている様だ。女神よありがとう。
文字が全て刻まれていくとニアさんがカウンターに用意した1枚のカードの様なものに立体映像の文字が吸い込まれる様に消えていく。
「はい。これで登録の方は完了になります。それでは竜平さんの職業を発表いたします」
いつのまにかこのギルドにいる全員が俺の後ろに立っている。そんなに気になるの?ちょっと恥ずかしいんだけど。まぁ格闘家とか武闘家とかが希望かな?
「竜平さんの職業はーーープロレスラーですね!って、え?ちょっプロレスラーって何ですか!?聞いたこともない職業なんですけど……」
ギルド中の人がざわついている。というか俺は驚きのあまり、立ち尽くすことしかできない。
シルフィに背中を叩かれようやく落ち着いてきたので改めて話を聞くことにした。
「ス、ステータスやスキル、魔法適性なども発表していきますね」
なんだか聞くのが怖くなってきたんだが。
「レベルはまだ登録したばかりですので1になります。
ステータスですが……本当にレベル1なんでしょうか。攻撃の数値が異常に高いです。ですが魔法攻撃の数値は平均レベルですね。だいたいどの職業も最初は同じくらいの数値なのですが。あ!耐久力も異常なほど高いです! これなら勇者と戦っても問題ないレベルですよ!」
なんだか色々と聞いてきたがとにかくすごいらしい。
初心者、つまり駆け出しの冒険者のステータスは基本的に100〜150あたりが一般的らしい。だが俺の場合、攻撃と耐久の数値だけが大幅にそれを超えている様だ。攻撃が6000、耐久7000。
そして魔法に関してだがこの世界には火・水・雷・風・土の5つの魔法の属性があるらしい。俺は全ての属性の適性があるようだが、それは別に珍しいことではない様だ。
ただ1つおかしな点を挙げると、この世界では固有スキルと呼ばれるものがあるそうだ。しかし俺の固有スキルは……
ラリアット、ドロップキック、逆水平チョップ、パイルドライバーなど数えるのがめんどくさいくらいある。だがそのほとんどがプロレスの技であった。
「あのー、竜平さん。このスキルの数々は一体……」
「……き、きっとこのプロレスラーっていう職業特有のスキルですよ!ほら!みんな見たこともない職業だし!」
めんどくさいことになりそうなので慌てて知らないふりをする。
するとシルフィがジーっと疑うような眼差しを向けてくる。
「竜平、何か知ってるんでしょ?」
ギクリと明らかに動揺してしまった。
「ま、まぁ知らないと言ったら嘘になってしまうのか分からないくらいに微妙なところです……」
勘の鋭い子だなシルフィは。まぁ明らかに動揺してたし、流石に怪しまれるよな。
「ふーん、そう。ま、あまり詮索はしないけど全く知らないってのも不気味よね。少しくらい何か教えてくれてもいいんじゃない?」
「……そうだね、まぁ簡単に説明すると武闘家みたいなものだよ。武器は使わず、素手で相手と戦う。ま、時に凶器を使うこともあるんだけどね。基本的には素手で様々な技を駆使して闘い、かつ相手の攻撃も受けきり、最後の最後に逆転するっていうところにロマンを感じる、とても素晴らしい職業なんだ。まぁプロレスラーの中にもヒールって呼ばれる悪役を演じるレスラーや覆面を被って正体を隠しながら戦うレスラーなんかもいるんだけど、そういうのが今の流行というかなんというか……」
いつのまにかギルドが静まり返っていた。いかん、熱く語りすぎてしまったか。この沈黙が痛い……。
すると突如。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ギルド内が歓喜に包まれる。なんでそんな嬉しそうなの?
「これで希望が見えてきたぞ!我らが勇者の誕生だ!」
いやいや、勇者を倒すのに勇者って。まぁ細かいことは気にしないでおこう。
「しかしなんでそんなに喜んでんだ?確かに攻撃や耐久は高いがそこまでチートってわけじゃ無いだろ?」
魔法攻撃なんかも平均レベルだし、そこまで役に立てるほどでも無いんだがなぁ。
するとシルフィは満面の笑みを浮かべながら説明してくれる。
「むしろ物理攻撃特化な竜平だからみんな喜んでるんだよ!いい?現在勇者と呼ばれる人間たちは7人、全員魔法耐性が非常に高くて並みの魔法じゃどうしようもないの。だから私たちはずっと竜平みたいな人が現れるのを待ってたんだよ!竜平みたいなパワーバカを!」
パワーバカで悪かったな。どうせ俺は脳筋野郎ですよ。というかそこまで正直に言わなくてもいいじゃないか。ちょっと泣くぞ俺……
という感じでギルドでは大好評だった。
なんか疲れたし、宿でも探してゆっくり休もう。
「とりあえず登録は済ましたし、今日は休みたいんだが、宿ってどこにあるんだ?」
当たり前のように隣を歩くシルフィに聞く。なんでついてきてるんだろう?
「あー宿なら私と同じところに泊まりなよ。ご飯も美味しいし、宿代も高くないしね。さ、行こ行こ!あ、もちろん部屋は別だから変な事考えないでよね?」
「はいはい。何も考えてないよ」
適当にスルーしておく。という事でシルフィと同じ宿に泊まることになった。
とりあえず、今回はギルド内でのお話でした。
お次はようやく戦闘シーンを加えていきたいと思っています。
「それでは竜平さんの冒険者登録を行います。こちらの石板に手をかざして下さい」
そう言うと、ニアさんは四角い石板をカウンターに置く。単なる石の様に思えたその石板に手をかざすと突如石板が光り出し、まるで立体映像の様に空中に文字が刻まれていく。どうやら言葉だけじゃなく文字も読めるようになっている様だ。女神よありがとう。
文字が全て刻まれていくとニアさんがカウンターに用意した1枚のカードの様なものに立体映像の文字が吸い込まれる様に消えていく。
「はい。これで登録の方は完了になります。それでは竜平さんの職業を発表いたします」
いつのまにかこのギルドにいる全員が俺の後ろに立っている。そんなに気になるの?ちょっと恥ずかしいんだけど。まぁ格闘家とか武闘家とかが希望かな?
「竜平さんの職業はーーープロレスラーですね!って、え?ちょっプロレスラーって何ですか!?聞いたこともない職業なんですけど……」
ギルド中の人がざわついている。というか俺は驚きのあまり、立ち尽くすことしかできない。
シルフィに背中を叩かれようやく落ち着いてきたので改めて話を聞くことにした。
「ス、ステータスやスキル、魔法適性なども発表していきますね」
なんだか聞くのが怖くなってきたんだが。
「レベルはまだ登録したばかりですので1になります。
ステータスですが……本当にレベル1なんでしょうか。攻撃の数値が異常に高いです。ですが魔法攻撃の数値は平均レベルですね。だいたいどの職業も最初は同じくらいの数値なのですが。あ!耐久力も異常なほど高いです! これなら勇者と戦っても問題ないレベルですよ!」
なんだか色々と聞いてきたがとにかくすごいらしい。
初心者、つまり駆け出しの冒険者のステータスは基本的に100〜150あたりが一般的らしい。だが俺の場合、攻撃と耐久の数値だけが大幅にそれを超えている様だ。攻撃が6000、耐久7000。
そして魔法に関してだがこの世界には火・水・雷・風・土の5つの魔法の属性があるらしい。俺は全ての属性の適性があるようだが、それは別に珍しいことではない様だ。
ただ1つおかしな点を挙げると、この世界では固有スキルと呼ばれるものがあるそうだ。しかし俺の固有スキルは……
ラリアット、ドロップキック、逆水平チョップ、パイルドライバーなど数えるのがめんどくさいくらいある。だがそのほとんどがプロレスの技であった。
「あのー、竜平さん。このスキルの数々は一体……」
「……き、きっとこのプロレスラーっていう職業特有のスキルですよ!ほら!みんな見たこともない職業だし!」
めんどくさいことになりそうなので慌てて知らないふりをする。
するとシルフィがジーっと疑うような眼差しを向けてくる。
「竜平、何か知ってるんでしょ?」
ギクリと明らかに動揺してしまった。
「ま、まぁ知らないと言ったら嘘になってしまうのか分からないくらいに微妙なところです……」
勘の鋭い子だなシルフィは。まぁ明らかに動揺してたし、流石に怪しまれるよな。
「ふーん、そう。ま、あまり詮索はしないけど全く知らないってのも不気味よね。少しくらい何か教えてくれてもいいんじゃない?」
「……そうだね、まぁ簡単に説明すると武闘家みたいなものだよ。武器は使わず、素手で相手と戦う。ま、時に凶器を使うこともあるんだけどね。基本的には素手で様々な技を駆使して闘い、かつ相手の攻撃も受けきり、最後の最後に逆転するっていうところにロマンを感じる、とても素晴らしい職業なんだ。まぁプロレスラーの中にもヒールって呼ばれる悪役を演じるレスラーや覆面を被って正体を隠しながら戦うレスラーなんかもいるんだけど、そういうのが今の流行というかなんというか……」
いつのまにかギルドが静まり返っていた。いかん、熱く語りすぎてしまったか。この沈黙が痛い……。
すると突如。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
ギルド内が歓喜に包まれる。なんでそんな嬉しそうなの?
「これで希望が見えてきたぞ!我らが勇者の誕生だ!」
いやいや、勇者を倒すのに勇者って。まぁ細かいことは気にしないでおこう。
「しかしなんでそんなに喜んでんだ?確かに攻撃や耐久は高いがそこまでチートってわけじゃ無いだろ?」
魔法攻撃なんかも平均レベルだし、そこまで役に立てるほどでも無いんだがなぁ。
するとシルフィは満面の笑みを浮かべながら説明してくれる。
「むしろ物理攻撃特化な竜平だからみんな喜んでるんだよ!いい?現在勇者と呼ばれる人間たちは7人、全員魔法耐性が非常に高くて並みの魔法じゃどうしようもないの。だから私たちはずっと竜平みたいな人が現れるのを待ってたんだよ!竜平みたいなパワーバカを!」
パワーバカで悪かったな。どうせ俺は脳筋野郎ですよ。というかそこまで正直に言わなくてもいいじゃないか。ちょっと泣くぞ俺……
という感じでギルドでは大好評だった。
なんか疲れたし、宿でも探してゆっくり休もう。
「とりあえず登録は済ましたし、今日は休みたいんだが、宿ってどこにあるんだ?」
当たり前のように隣を歩くシルフィに聞く。なんでついてきてるんだろう?
「あー宿なら私と同じところに泊まりなよ。ご飯も美味しいし、宿代も高くないしね。さ、行こ行こ!あ、もちろん部屋は別だから変な事考えないでよね?」
「はいはい。何も考えてないよ」
適当にスルーしておく。という事でシルフィと同じ宿に泊まることになった。
とりあえず、今回はギルド内でのお話でした。
お次はようやく戦闘シーンを加えていきたいと思っています。
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