殺せば殺すほど命が増える!!??~命喰らい~

タッツァー

魔族対魔族の終結

「その木偶人形が何体いようと僕には敵わない。それくらいは分かっているだろう?」

「ふんっ、慢心したお前を倒すことなど俺にとっては造作も無いことだ。」

「じゃあ見せてもらおうか!!」

クイがその巨大な体とは裏腹に風のような速度でガゼルの形をした動像ゴーレムに近づき、心臓部分を手でえぐる。すると心臓部分をえぐられた動像ゴーレムは程なくして砂のような小さな粒子に変わり風とともにどこかへと消えていった。クイはすぐに次の動像ゴーレムへと走る。

「ほう…、動像ゴーレムコアを潰してくるとは確かに700年の知識とやらは伊達じゃないと言うことか…。だが、コアが心臓部分にあるとは思わないことだ。すべての動像ゴーレムは俺の魔力を流してある。そのおかげで俺の思いのままに動き、思いのままにコアを動かすことが出来る!!苦しむがいい、俺に抗う愚かなヴァンパイアよ!!」

「君はよく吠える犬のようだね。君のような奴は大抵が負け犬と呼ばれるのを知らないのかい?」

話しながらクイは動像ゴーレムを破壊する。コアが別の場所へと移動したにも関わらず、簡単そうにコアを破壊し回る。

「なっ、なぜコアの場所が分かるんだ!?」

ウグイの操作で確かにコアの場所は変わっている。しかしクイは一撃で動像ゴーレムコアを破壊する。まるでそこに存在すると確信しているようだった。

「僕にとって動像ゴーレムなんてすでに研究対象外さ。昔、何度も造ったからね。動像ゴーレムを見ればどこにコアがあるかなんてお見通しってわけだ。
…さて、全ての動像ゴーレムを倒したけどまだ何かあるのかい?なければ君を今すぐに倒す!
ラウルのかたきを取り、ラウルの夢だった人間とヴァンパイアの共存した世界を作るために君はいらないんだよ。」

クイはその憎悪で溢れた目でウグイを睨み、ゆっくりと近づいていく。それはウグイに最大限の恐怖を与え、楽に死なせないといった心があったからだ。

「……ふっ、お前も怒りに支配されれば簡単に手玉に取れる。」

追い詰められているはずのウグイが不思議なことを言う。クイはその言葉を虚言と判断して、大きな手でウグイの首を掴む。そして少しずつ力を入れていく。

「ガ、ガハッ!……フハハ!馬鹿め!忠告したのに俺の善意を無視するとはな。…死ねぇ!!」

するとウグイの心臓部分が赤く光る。

「なっ、何だこれは!?どうなっているんだ!?」

疑問を説いているクイだが頭では分かっていた。それが自爆であることを。しかし、本当に自爆する者を見たのは初めてのあまり動揺していた。

「これは実験の際に生まれた最悪の失敗兵器である爆弾だ!!範囲はここにいる人間やヴァンパイア全てを巻き込む程の大爆発を起こす。お前たちに倒されるくらいなら俺の手でこの国を終わらせてやる!!フハハハハハハハハハハハハハハ!!」

「……お前という奴は…。お前たちが守ってきた人間を殺すなんて人間の守護者として失格だ!!例え、どんなクズ野郎でも最後は身を犠牲にしてでも守ることくらい出来ないのか!?」

「ハハハハハハ!!人間程度に何を思っているんだ?所詮は家畜の存在。ただの経験値くらいにしか思ってはいない!!それにお前たちだって食料としか思っていないんだろ?同じじゃないか。きれい事を並べるのはよせよ。俺たちは同じ魔族なんだからよ!!」

「違う!!僕たちは君たちとは違う!!僕たちは人間を殺すつもりはないし、人間たちと共に歩んでいくつもりだ!決して君のように人間を犠牲にしたりはしない!!」

「ふんっ、そうこうしている間にもう数十秒でこの国は終わりだ!!」

ウグイは両手を真横に広げた。体はすでに真っ赤に光り、狂気に満ちた笑顔を見せている。

クイは目を閉じた。数秒の間だったがクイは先程の怒りを完全に落ち着かせ、いつも通りの冷静なクイに戻っていた。

「……マーレイ!!」

珍しくクイは大きな声を発した。それはマーレイに対して問いかけるような響きで顔には真剣な表情をしていた。

「我に何用だ?」

ブラッド・インベージョンのリーダーを務めるマーレイ=ブラッドウォンはもうすぐ爆発するというのにゆっくり滑らかに答える。また高貴な雰囲気を発し、クイを見下ろしているようにも感じられた。

「…必ず人間たちに危害を加えず守っていくつもりだな!!?このサンライ族とは違い、独裁的な政治をせずに人間たちと共に歩むと誓えるかい!!?」

その大きな声はヴァンパイア族に集められたサヨキル王国の住民たちにも聞こえていた。

「あ、あのヴァンパイアは本当に俺たちの味方なのか?」
「目を覚ませよ!どうせ俺たちを利用しようとしているだけだぜ!」
「でもよ、あのヴァンパイアが嘘をついているようには感じられないんだよ。」
「…それはそうだけどよ。あの魔族の言うことが信用できるのかよ!!」
「そりゃ、信用は出来ないけどよ…サンライ家も魔族って言ってたんだぞ!何を信用していいのか分かんなくなったんだよ!」
「あなたたち止めなさいよ!今はあのヴァンパイアの言うことを信じるしかないのよ。…例え嘘をついていても私達には抗う力はないのだから…。」

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マーレイはクイの問いにすぐに答えた。

「もちろんだ。我とクイ、ラウルの契約だ。忘れてはおらん。人間とヴァンパイアの共に生きる国を作るかわりにクイとラウルがブラッド・インベージョンに入ると言うことは今でも覚えているぞ。」

「…そうか。本当に、本当に信じていいんだな!?」

念を押すようにクイはマーレイに問う。

「くどいぞ。我が言ったことを自ら破るようなマネはしない。」

「…なら任せた。……人間たちとヴァンパイア族に繁栄あれ!!」

クイは足を曲げて思いっきり空へと跳んだ。一瞬で見えなくなり数秒すると赤い光が飛び散った爆発が起きた。

ドガアァァァァァーーン!!

「……見事な散りざまだな。」

マーレイはクイの死を何とも思っていなく平然としている。

「マーレイ様、この国の邪魔者が消えたところでこれからどういたしますか?」

タティオルが今からの行動についてリーダーであるマーレイに問う。その様子を見てサヨキル王国の住民たちは困惑した。なぜ権力の高そうな五大吸血鬼の一人が死んだのにこうも簡単に話をしているのか?クイがヴァンパイア族や人間たちを守るために身を犠牲にして死んだのにお礼の一言や感謝の言葉が無いのを聞いて嫌な事を予想した。

「決まっておろう。今から、人間たちの選別を始めるのだ。顔の醜いも者や年齢が40をきる者は即刻処刑しろ。」

マーレイが当たり前のように言ったことを理解するのに住民たちは数秒かかった。それもそうだろう。クイとの契約を守ると言ったばかりの男が何食わぬ顔で破ったのだ。

「な、何を言ってんだ!!あの小さなヴァンパイアとの契約はどうしたんだよ!!俺たちを選別だと?それじゃあ独裁政治と同じだろ!!」

思わず1人の男が思っていることをぶちまけてしまった。マーレイはそれを聞いてゆっくりとその男の方を向いた。そして口を開けてこう言った。

「何を言っているんだ?貴様、聞いていなかったのか?我がクイと結んだのは契約だ。だが契約者であるクイもラウルも死んでしまえば契約は無効になる。それすらも分からん人間など我の国にはいらんな。殺せ。」

「はっ!」

後ろに控えていたヴァンパイアが返事をしてその男に走って向かう。

「ちょ、ちょっと待てよ!!俺は「ズバッ!!」………。」

男が話していたにも関わらずまるで気にせずその男の首を切った。住民たちは身体を震えさせた。ここで逃げても必ず殺されるそう分かっている以上、一歩も動けずに早くこの悪夢が覚めるようにと神へと祈る。しかし一向に悪夢が覚めることは無い。

「我らとて人間であればどんな奴の血でもよいわけではない。我ら男のヴァンパイアであれば若い容姿の整った女の血が良いし、女のヴァンパイアならその逆である顔の良い男の血が吸いたい。まぁ、個人差はあるものの我らヴァンパイアは共通して飲みたくない人間の条件もいる。それが顔の醜い者や年齢の肥えた者たちだ。そのような人間は我の国にはいらん。そうは思わないか?」

「素晴らしいお考えです!!マーレイ様!!」
「さすがマーレイ様!世界の真理を知っているとは一生マーレイ様に仕える覚悟です!!」
「マーレイ様万歳!!万歳!!万歳!!万歳!!」

ヴァンパイアたちは一斉にマーレイを褒めたたえる。それがサヨキル王国の住民たちを更なる恐怖へとなった。この国は終わりだと神などこの世界にはいないとそう思っていた矢先、ある声が隣で聞こえた。

「おい、あんた。あんた、冒険者ギルドの受付嬢だよな?クエスト達成してきたんだけど冒険者ギルドに誰もいなかったんだがどうなってるんだ。」

白銀の全身鎧プルプレートを着けた大きな男であり、僅か1ヶ月でマナリィ王国のS級冒険者まで登り詰めた男、《白銀》のレイがそこにはいた。



どうも皆さんタッツァーです!!
ついについについにようやく令の登場でごさいます!長かったヴァンパイア対勇者やヴァンパイア対サンライ族も遂に終止符を打ち令の出番でごさいます!テンションが上がってきたので明日続きを必ず投稿します!!皆さん明日を楽しみにしてください!!
ではではヾ(^_^) byebye!!




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コメント

  • タッツァー

    ありがとうごさいます!最高のほめ言葉です。

    1
  • たわわ

    なかなか、良いとこで切るねw
    いつも楽しみにしています。次の投稿も待ってます。

    3
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