日本VSトーホク地方
日本VSトーホク地方
十年ほど前だったか、元東北地方のお偉いさん方が集結し、日本の政府にこう宣言した。
「今、経済は関東圏に集中しつつある。地方創生など、謳っておきながらこのざまだ。人口はどんどん関東へと流出している。東北を経済圏にしろ!」
通称、東北経済化宣言。当然のごとく政府はこれを却下した。
そして、東北地方は戦争を引き起こした。政府を相手に。
それも、デモなんて生易しいものではない。軍事戦争である。
所詮は国と地方。
人口が減りつつある地方になんてかなうわけがないとたかをくくっていた。
しかし、戦争はすでに十年近く、続いている。しかも、今のところ国の方が劣勢なのである。
東北地方は、実は戦争を行うにあたって、様々な軍事兵器を開発していたのである。
東北地方はトーホク地方と何故かカタカナ明記に変えた。お偉いさん曰く、かっこいからだそう。
あほか?
なかなか終わらない戦争に嫌気がさしたのか、関東圏に住んでいた人たちもトーホク地方へと次々と移住してきている。
そして、トーホク地方の中心都市である仙台市には、日々軍事兵器を開発している研究所が存在していた。
その研究所の名は、トーホク軍事開発研究所仙台支部。
ここには天才科学者がいた。その名はこの俺、伊達真斗。
「おはようございまーす」
俺は気だるげに挨拶し、職場の自分の席に着席した。
「お前、遅刻だぞ。ちゃんと時間どうりに出社しろ。」
上司に注意された。この上司の名前は佐武一範さん。仕事に関して、少々厳しいところもあるが、いい個人的には上司だと思う。一年前からこの研究所に来て俺の上司になった。
「すみません、気をつけます。」
「お前、ウィザードシステムのアップデート作業は昨日終わったのか?」
「ええ、まぁ。これで国のやつらが来ても前より楽に勝てると思います。いやぁ、楽しみだなぁ。早く試したい。」
俺の作る兵器は強いと自負している。なんども国のやつらが来ては俺の兵器に負け、逃げ出しているのを見ている。
国も俺の兵器に対抗しようと、軍事開発を行っているのだが、いかんせん性能が俺のものよりも劣る。
当然だ。データもなしに、やつらに同じものを作れるわけがない。
俺より優れた科学者は日本、いや世界にだって実在しないのである。
「言っておくが、お前は戦闘にはださんぞ。そういう指示が上から出てる」
「ええ! そんなぁ......」
「当然だろうが! お前が戦死したら、実質、戦争終わるぞ」
俺は今年で三十歳になる。
この研究所には二十歳くらいの時に勤めた。俺は飛び級で大学を卒業したのだが、卒業研究の際に老化を防ぐ研究を行い、見事に実現させた。
それゆえに俺の見た目は二十歳の時とさほど変わらない。
俺の研究で人類の老化速度を遅らせることができたのである。
まあ、そんなことはともかく、俺の研究は主に医療、軍事の二つに役立っている。
骨折程度の怪我なら二、三日で全治することができるようになった。
戦闘には人間ではなくロボットを主流に使うようになった。
しかし、俺が昨日、アップデートさせた兵器はロボットではない。これは生身の人間が装着する装置、ウィザードシステム。
これは人間の想像力を武器に使うシステムである。見た目は全身パワードスーツのような見た目だが、これを使うことでまるで魔法使いのような戦闘を楽しむことができる。
火よでろと念じれば、パワードスーツの手の装甲から火をだしたり、高速移動をイメージし、走ると最大、百メートルを一秒代で走ることができる。
参考までに、ワンピースの剃は百メートル四秒代である。
当然、できることには限界があるのだが、できることをグレードアップさせた。
戦闘を身体強化以外では火の力だけで戦うのが今までのウィザードシステムだったのに対し、火に加えて水、風、雷の力を使えるようにアップデートした。
背景には、国の奴らが、火の攻撃の対策として、耐熱性の防具を改良してきたからである。
「た、大変です! 国の奴が研究所に攻め込んできました!」
研究所の女性職員が慌てて俺と佐武さんに慌てた様子で伝えてきた。
「何? 国の奴らがせめこんできたなんて報告聞いてないぞ」
「どうやら、仙台市民の中に国のスパイが紛れてたみたいです。どんどん近づいてきてます。お二人は逃げてください!」
女性職員はスパイを止めに、向かった。佐武さんは、監視カメラの映像を見た。
ロボットが次々と倒されていた。スパイはこれ、ウィザードシステムを使ってるのか? 火の玉を使って、ロボットを倒している。
ウィザードシステムはトーホク地方には一着しか存在しない。
開発費が馬鹿高なので、量産が難しいのである。
「どういうことだ? ウィザードシステムを使ってるのか? しょうがない......おい、伊達、ウィザードシステムを貸せ。俺がスパイを止めてくる。お前は逃げろ。」
「分かりました。でも、俺も食い止めにいきます。これを開発したのは俺ですから、使い方に関して佐武さんにアドバイスできるはずです」
「やれやれ......しょうがないな。わかった」
俺と佐武さんはスパイがロボットと戦闘を繰り広げているところへと向かった。スパイはすでにロボットを全て、破壊していた。
先ほど、食い止めにいった女性職員も気を失って倒れていた。
「待て!」
佐武さんが叫んだ。
「おお、どうも。これは佐武さん、お久しぶりです。さて、早速、目的の伊達を殺しましょう」
「佐武さん、これは......?」
「悪いな。俺、こっち(国)側の人間なんだ」
佐武さんはウィザードシステムを起動させた。
ウィザードシステムの変身音が鳴り響いた。
「エラー」
「何? ぐわ!」
佐武さんの体に電撃が流れた。
「悪いな。佐武さん、あんたが裏切りものなのは知ってたんだ。ある時、暇つぶしに他人のパソコンをハッキングして、覗き見してたんだけど、あんたが国のやつらとやりとりしてた履歴を発見してな。ウィザードシステムのデータをコピーしてたのに気づいたんだよ。それで、急いでアップデートさせたってわけ。ちなみにこっちが本物。コンパクトになっただろ?」
テニスボールくらいの球体のウィザードシステムをポケットから取り出した。ちなみに元のウィザードシステムはバスケットボールくらいの大きさで持ち運びに不便である。
「き、貴様.....!」
「ふん、変身する前に倒すまでだ」
スパイの男が殴りかかってきた。
「変身!」
急いで、起動ボタンを押した。
俺も抵抗した。もちろん拳で。
奴の炎のパンチに対して、俺は水のパンチである。
「ふん、力は互角か。」
負けフラグまんまんのセリフをスパイの男が言った。
「倒す前に聞いていいか? お前の名前は?」
「俺の名前は東太郎だ! 東京で軍隊として働いている。お前を倒せば俺は一気に昇格だ! 容赦はしないぜ!」
再び殴りかかったので、俺は文字どうり、空を飛んだ。
「な、なに? 飛んでるだと!? そんなこともできるのか?」
「旧式には無理だな。せいぜい、高くジャンプするのが精一杯だ」
「なら、ジャンプで攻撃だ!」
マリオのごとし、東くんはジャンプして攻撃を試みるものの俺を楽々交わした。
「お、お前! ずるいぞ!」
「スパイ送り込んでそのセリフはないんじゃない?」
「せ、正論だ......」
こいつ、納得しやがった。東くん、結構いい子だな。
「東! お前の力はそんなものじゃないだろ!」
佐武は東くんに声援を送った。俺はもはやこいつの存在を忘れかけていた。
「そろそろフィニッシュといこうか。」
俺はやつの真上へと移動した。
「最後に、これが雷の力だ!」
「ぐぎゃぁ!」
俺は雷を発生させて、東くんに浴びせてやった。東くんは感電し、気を失った。
「な、なんてこった! パンナコッタ! 逃げるしかねぇ!」
伊達はものすごい速度で走ったが、百メートルを一秒以下で走れるウィザードシステムの敵ではなくあっさりと追いついた。
「それじゃ、佐武さん、今までありがとう。」
伊達さんに電撃をお見舞いした。
「待て待て待て! 一応、元上司......ぎゃぁぁぁっぁ!」
佐武は気絶した。一応言っておくが、二人とも殺してはいない。
俺は東くんと佐武さんは警察へと引き渡した。
戦闘でボロボロになった研究室へと戻るとある女性が待っていた。この人は、研究所長の吉村妙子さんである。見た目二十歳前後だが、歳は四十を超えてるらしい。
「お疲れ様、伊達くん。色々と大変だったね。」
「まぁ。でもいつか佐武が裏切るのは知ってましたから。」
「それにしてもどうして裏切りに気づいたの?」
ギクリとした。さすがにいたずらでハッキングしたなんて言えない。
「や、野生の感っていいますか......」
「ふーん、そうなんだぁ。」
疑わしげな目で見てきた。怖い。
「まぁ、君に死なれたら困るからあんまり無茶しないでね。」
「大丈夫ですよ。死にませんから。」
自信満々で俺は答えた。
俺は死なない。
これからも国とトーホク地方の戦争は続くのだから。
「今、経済は関東圏に集中しつつある。地方創生など、謳っておきながらこのざまだ。人口はどんどん関東へと流出している。東北を経済圏にしろ!」
通称、東北経済化宣言。当然のごとく政府はこれを却下した。
そして、東北地方は戦争を引き起こした。政府を相手に。
それも、デモなんて生易しいものではない。軍事戦争である。
所詮は国と地方。
人口が減りつつある地方になんてかなうわけがないとたかをくくっていた。
しかし、戦争はすでに十年近く、続いている。しかも、今のところ国の方が劣勢なのである。
東北地方は、実は戦争を行うにあたって、様々な軍事兵器を開発していたのである。
東北地方はトーホク地方と何故かカタカナ明記に変えた。お偉いさん曰く、かっこいからだそう。
あほか?
なかなか終わらない戦争に嫌気がさしたのか、関東圏に住んでいた人たちもトーホク地方へと次々と移住してきている。
そして、トーホク地方の中心都市である仙台市には、日々軍事兵器を開発している研究所が存在していた。
その研究所の名は、トーホク軍事開発研究所仙台支部。
ここには天才科学者がいた。その名はこの俺、伊達真斗。
「おはようございまーす」
俺は気だるげに挨拶し、職場の自分の席に着席した。
「お前、遅刻だぞ。ちゃんと時間どうりに出社しろ。」
上司に注意された。この上司の名前は佐武一範さん。仕事に関して、少々厳しいところもあるが、いい個人的には上司だと思う。一年前からこの研究所に来て俺の上司になった。
「すみません、気をつけます。」
「お前、ウィザードシステムのアップデート作業は昨日終わったのか?」
「ええ、まぁ。これで国のやつらが来ても前より楽に勝てると思います。いやぁ、楽しみだなぁ。早く試したい。」
俺の作る兵器は強いと自負している。なんども国のやつらが来ては俺の兵器に負け、逃げ出しているのを見ている。
国も俺の兵器に対抗しようと、軍事開発を行っているのだが、いかんせん性能が俺のものよりも劣る。
当然だ。データもなしに、やつらに同じものを作れるわけがない。
俺より優れた科学者は日本、いや世界にだって実在しないのである。
「言っておくが、お前は戦闘にはださんぞ。そういう指示が上から出てる」
「ええ! そんなぁ......」
「当然だろうが! お前が戦死したら、実質、戦争終わるぞ」
俺は今年で三十歳になる。
この研究所には二十歳くらいの時に勤めた。俺は飛び級で大学を卒業したのだが、卒業研究の際に老化を防ぐ研究を行い、見事に実現させた。
それゆえに俺の見た目は二十歳の時とさほど変わらない。
俺の研究で人類の老化速度を遅らせることができたのである。
まあ、そんなことはともかく、俺の研究は主に医療、軍事の二つに役立っている。
骨折程度の怪我なら二、三日で全治することができるようになった。
戦闘には人間ではなくロボットを主流に使うようになった。
しかし、俺が昨日、アップデートさせた兵器はロボットではない。これは生身の人間が装着する装置、ウィザードシステム。
これは人間の想像力を武器に使うシステムである。見た目は全身パワードスーツのような見た目だが、これを使うことでまるで魔法使いのような戦闘を楽しむことができる。
火よでろと念じれば、パワードスーツの手の装甲から火をだしたり、高速移動をイメージし、走ると最大、百メートルを一秒代で走ることができる。
参考までに、ワンピースの剃は百メートル四秒代である。
当然、できることには限界があるのだが、できることをグレードアップさせた。
戦闘を身体強化以外では火の力だけで戦うのが今までのウィザードシステムだったのに対し、火に加えて水、風、雷の力を使えるようにアップデートした。
背景には、国の奴らが、火の攻撃の対策として、耐熱性の防具を改良してきたからである。
「た、大変です! 国の奴が研究所に攻め込んできました!」
研究所の女性職員が慌てて俺と佐武さんに慌てた様子で伝えてきた。
「何? 国の奴らがせめこんできたなんて報告聞いてないぞ」
「どうやら、仙台市民の中に国のスパイが紛れてたみたいです。どんどん近づいてきてます。お二人は逃げてください!」
女性職員はスパイを止めに、向かった。佐武さんは、監視カメラの映像を見た。
ロボットが次々と倒されていた。スパイはこれ、ウィザードシステムを使ってるのか? 火の玉を使って、ロボットを倒している。
ウィザードシステムはトーホク地方には一着しか存在しない。
開発費が馬鹿高なので、量産が難しいのである。
「どういうことだ? ウィザードシステムを使ってるのか? しょうがない......おい、伊達、ウィザードシステムを貸せ。俺がスパイを止めてくる。お前は逃げろ。」
「分かりました。でも、俺も食い止めにいきます。これを開発したのは俺ですから、使い方に関して佐武さんにアドバイスできるはずです」
「やれやれ......しょうがないな。わかった」
俺と佐武さんはスパイがロボットと戦闘を繰り広げているところへと向かった。スパイはすでにロボットを全て、破壊していた。
先ほど、食い止めにいった女性職員も気を失って倒れていた。
「待て!」
佐武さんが叫んだ。
「おお、どうも。これは佐武さん、お久しぶりです。さて、早速、目的の伊達を殺しましょう」
「佐武さん、これは......?」
「悪いな。俺、こっち(国)側の人間なんだ」
佐武さんはウィザードシステムを起動させた。
ウィザードシステムの変身音が鳴り響いた。
「エラー」
「何? ぐわ!」
佐武さんの体に電撃が流れた。
「悪いな。佐武さん、あんたが裏切りものなのは知ってたんだ。ある時、暇つぶしに他人のパソコンをハッキングして、覗き見してたんだけど、あんたが国のやつらとやりとりしてた履歴を発見してな。ウィザードシステムのデータをコピーしてたのに気づいたんだよ。それで、急いでアップデートさせたってわけ。ちなみにこっちが本物。コンパクトになっただろ?」
テニスボールくらいの球体のウィザードシステムをポケットから取り出した。ちなみに元のウィザードシステムはバスケットボールくらいの大きさで持ち運びに不便である。
「き、貴様.....!」
「ふん、変身する前に倒すまでだ」
スパイの男が殴りかかってきた。
「変身!」
急いで、起動ボタンを押した。
俺も抵抗した。もちろん拳で。
奴の炎のパンチに対して、俺は水のパンチである。
「ふん、力は互角か。」
負けフラグまんまんのセリフをスパイの男が言った。
「倒す前に聞いていいか? お前の名前は?」
「俺の名前は東太郎だ! 東京で軍隊として働いている。お前を倒せば俺は一気に昇格だ! 容赦はしないぜ!」
再び殴りかかったので、俺は文字どうり、空を飛んだ。
「な、なに? 飛んでるだと!? そんなこともできるのか?」
「旧式には無理だな。せいぜい、高くジャンプするのが精一杯だ」
「なら、ジャンプで攻撃だ!」
マリオのごとし、東くんはジャンプして攻撃を試みるものの俺を楽々交わした。
「お、お前! ずるいぞ!」
「スパイ送り込んでそのセリフはないんじゃない?」
「せ、正論だ......」
こいつ、納得しやがった。東くん、結構いい子だな。
「東! お前の力はそんなものじゃないだろ!」
佐武は東くんに声援を送った。俺はもはやこいつの存在を忘れかけていた。
「そろそろフィニッシュといこうか。」
俺はやつの真上へと移動した。
「最後に、これが雷の力だ!」
「ぐぎゃぁ!」
俺は雷を発生させて、東くんに浴びせてやった。東くんは感電し、気を失った。
「な、なんてこった! パンナコッタ! 逃げるしかねぇ!」
伊達はものすごい速度で走ったが、百メートルを一秒以下で走れるウィザードシステムの敵ではなくあっさりと追いついた。
「それじゃ、佐武さん、今までありがとう。」
伊達さんに電撃をお見舞いした。
「待て待て待て! 一応、元上司......ぎゃぁぁぁっぁ!」
佐武は気絶した。一応言っておくが、二人とも殺してはいない。
俺は東くんと佐武さんは警察へと引き渡した。
戦闘でボロボロになった研究室へと戻るとある女性が待っていた。この人は、研究所長の吉村妙子さんである。見た目二十歳前後だが、歳は四十を超えてるらしい。
「お疲れ様、伊達くん。色々と大変だったね。」
「まぁ。でもいつか佐武が裏切るのは知ってましたから。」
「それにしてもどうして裏切りに気づいたの?」
ギクリとした。さすがにいたずらでハッキングしたなんて言えない。
「や、野生の感っていいますか......」
「ふーん、そうなんだぁ。」
疑わしげな目で見てきた。怖い。
「まぁ、君に死なれたら困るからあんまり無茶しないでね。」
「大丈夫ですよ。死にませんから。」
自信満々で俺は答えた。
俺は死なない。
これからも国とトーホク地方の戦争は続くのだから。
コメント