Slip~タイムスリップから始まる1つの物語~

オレンジのえんぴつ

第1章終話(第8話) エピローグ・アンド・プロローグ(前編)

[25.消えゆく物語~その1]
2020年夏>午前>Y線普通列車内
______あの不幸から数週間。街のインフラはほとんどが回復し、人々にもようやく笑いが見えるようになってきた。俺は今、両親の行方を確かめるため、自宅に向かっている______

R「そんな険しい顔しないでよ〜…」
M「…今は…そっとしといてあげたら?」
R「…はい」

────そもそもこんなに甚大な被害を出したにもかかわらず、死者・行方不明者・負傷者があまりにも少ない。その上、震源からの距離に関わらず、局地的に大きく揺れることがあった。実際に震源からかなりの距離があるミナト地域があんなに揺れた。これはどういうことなのか…?そして…なぜ俺の親だけ連絡が取れないのか…?────
Jの頭の中ではひとつの考えが浮かび上がっていた。しかし、Jは誰にも言わなかった。
アナウンス「次は〜○○〜…」

Jの住んでいた家は残っていた。しかも傷は1つもみられない。
インターホンを押すため、手を伸ばしたJはあることに気がついてしまった。

────表札が変わっていた。
全く知らない苗字に。

……。

両親は本当に消滅してしまった。
これを知ったJは確信した。
「俺の両親は…すごい…
────いや、危険だ」

[26.50年後の再会]
??年>昼>??
ここは…?
ボヤけた視界に注意をこらす。
草原…?
?「もしかして!Y?!…大きくなったわね〜」
?「おお〜それにしてもずいぶん大きくなったな〜」
Y「母さん…父さん…どうして…?」
もう一生会えないはずだったのに…!
そこに父さんと母さんが!
私は涙も拭かずに駆け寄る。
父「それくらい分かるよ〜自分の息子くらい」
母「もぅー、こんなにいい大人になっちゃってw」
Y「驚かないのか…?」
父「そりゃびっくりしたよ」
母「きっとタイムスリップでもしてきたって言うんでしょう?」
っ…!なぜ分かった!
父「で?後ろの可愛い娘さんは…?もしかして…?」
…まずいな。孫だと思ってる…?この年の差で結婚相手なんて言ったら完全に犯罪者に…
S「わ、私は!33年前のYさんと婚約したんです」
…静寂。
母「そうなの〜!」
父母『おめでとう!!』
…分かってるのかな…?
父「じゃあ、この報告のためにわざわざ来てくれたのか!」
母「わざわざこんなところまで来なくても良かったのに〜…なんてね☆」
父「そうだな、その頃の俺らに伝えてくれれば良かったのにな〜w」
…それはできないんだよ!なぜなら…母さんと父さんはあの日…
うつむくとすぐ下に生えていた雑草…いや、花が今、咲こうとしていた。
…ってことはここは!!
母「どうしたの?暗い顔して…」
Y「ごめん。私たち、もう行かなきゃ行けないから…」
父「私…?お前、自分のこと私って呼んでたっけ…?」
父さんは不思議そうな顔を、母さんは全てを悟ったような顔をしている。
母「…そうなの。分かったわ。気を付けるのよ、私たちみたいにうっかりで落ちないようにね」
Y「え…?今何て…?」
母「あ…え?なんでもない!ほら!早く行かないと!」
Y「うん。それじゃあ…」
父「幸せに生きろよ!俺の息子!」
母「あと、その娘も幸せにするのよ!」
Y「ありがとう!父さん!母さん!…」
涙で言葉に詰まる。
Y「…じゃあ…ね」
そう言った直後、YとSはタイムマシンを操作することなく、その場所から消えてしまった。

[27.エピローグ~タイムスリップから始まる物語]
2004年春>夜>とある都市郊外の一軒家
あれは2003年のこと_______
Y「ここは…?」
S「工場っぽいですね」
「ん?お前らいつからここにいた?」
Y「え!あ、えーとですね。それには深い訳が…」
「お前さん、白衣着てるじゃねえか!ちょっとこの作業手伝ってくれよ!」
Y&S「(´・ω・`)」
────2003年にスリップした私たちは宿も借りて数日この工場で手伝いをした。…まぁ、研究で使ってた材料もあったから、たまたま詳しかったのだが。
そして家も借り、数ヶ月。私たちの間に子供が産まれた。もちろんこの年の差で子供がいるのは世間的におかしい。怪しまれるのを防ぐため、貯まったお金でT都郊外の一軒家を買い、住むことにした。村の人々と別れる時、お礼とまた来た時に泊めてもらう約束をした。そしてこの子の名前はこっちでの生活が落ち着いてから決めることにしていた。…まぁ、元々決まっていたのだが…。
────
Y「なぁ、名前の話なんだが…」
S「私はもう決めたわ」
Y「えっ?私ももう決めたんだけど…」
S「じゃあ、せーので言いましょ」
Y「えっえe))
S「せーの!」
『Jet!!』
こうして少年Jは誕生したのであった。

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