路地裏最強は異能力者学園へ

KOGARASI

救出1


side蒼井

「なんだよ……これ……」

目の前ではクラスメイトが次々と人を殺めていく

だがこの異常な光景も彼の表情によって薄れてしまっている。

………笑っているのだ、人を殺しているのに、だ

自分が通っている学園は強さを求め確かに人を殺している

だがそれは必ず蘇るシステムがあるからだ
蘇ると分かっているから抵抗も少ない

それなのに彼はこの蘇ることが出来ない船内で縦横無尽に殺し回っている

彼は本当に理解しているのか
彼は人の命の価値を分かっているだろうか
そして……彼は人間なのだろうか

その考えへとたどり着く頃にはもう目の前の惨劇は終わりを告げていた

「お、おい、月野!お前……何をしたかわかっているのか!?」

震える手を抑え必死に恐怖心を押さえつけながら彼に質問した

しかし彼からの答えは実にさっぱりとした返しだった

「人殺してんだよ…それがどうした」

「この船は学園のような蘇生システムは存在しない!死んだらそのままなんだぞ!」

「な!マジかよ……」

よかった…知らないだけだったなら次はもう殺さないだろう。
知らないで罪を犯すことはよくある事だ
仕方ない

そう納得出来ない心を無理やり納得させ安堵を浮かべると彼はそのまま続けた

「今度から半殺しにしなきゃな…情報が手に入らん。だが心折れるまで殺し続けなくていいなら楽になったと思うべきか?」

彼の言葉で感情が一変した

やはり彼は人の形をした何か…
『化け物』と言った方がいいンじゃないか……






月野side

早々と部屋にいた奴らを皆殺しにし、次の場所へ向かう

「おい……」

蒼井が再び口を開く、しばらく考え込んでいたようだが…

「なんだ」

「なんで……なんでそんなに簡単に人を殺せるんだよ!」

「それは……」

そういえばいつからだろう?考えたこともいなかった。
これは慣れた性か、それとも経験の性か?
いや、そんな後天性なものじゃない、これは先天性なもの……そうか、これは

「そもそも俺が壊れているからだ」

「なに?」

「だから俺は元から壊れてんだよ。だから何も感じないし、何も思わない」

「なっ!」

「俺は有難い才能を貰えたものだな」

蒼井は等々絶句してしまったので、とっととハイジャック犯を殺しに、もとい女子連中の救出しに行くか

どこに仲間がいるかわからないので警戒しながら進む

【侵食】で周囲のようすを確認しているとマシンガンを持った2人を感じとった

何か話しているようだ
会話を聞き取ろうと能力で影を薄めて近づこうとしたその時

「待ってくれ!!」

な!マジかよこいつ!
俺が驚愕していると蒼井はそのまま言葉を続けた

「俺も萃香や忍が心配なんだ!だから一緒に連れて行ってくれ!戦闘の邪魔はしない!頼む!」

蒼井が声を荒らげて頼み込むが俺はそんなことよりも気になるのは

「おい!誰だ!」
「気をつけろ!少なくとも2人はいるはずだ!」

ほらな!大声出すから見つかってしまった!
しょうがない。捕まえる他ない

辺りを【侵食】で覆っていたため捕縛すること自体はなんら問題ない
蒼井が来なくともするつもりだったからだ

だがホールで七人、今で二人合計九人を殺害、及び捕縛した

さすがに何人か連絡が取れないことに気がつくだろう

そのせいで人質が殺されては意味が無い
さすがにそこまで馬鹿じゃないと思うがそれでも断言はできない

とりあえず近くにあった部屋をこじ開け入る

「お、おい。何をするつもりだ」

事の発端の蒼井が問いてくる
感が悪いのか、頭が悪いのか、まぁこいつを含めクラスや学園のほとんどはこんな経験はしたことないだろう

「尋問…及び拷問だな」

いちいち答える俺は甘いのだろうか…
そんなことが頭をよぎるがそれよりも重要こちらに意識を回す

拷問で情報を引き出す場合は死なないように尚且つ死ぬほど痛みを与えなければならない
情報を吐いた方が楽で死なない。言わなければ地獄を見る…といった逃げ道を作ることだ

十五分……短い方だが思いのほか時間がかかった

結局殺してしまったが嘘はないだろう
まぁ…あれだ…コラテラル・ダメージってやつだ

「お前…本当に人間か?」

あまりにも不快な言葉が聞こえたが無視を決め込む
せっかく同行を許容してやったのにその態度はなんだ、一人で行きたいのか

どうやら船首に陣取って居るようだ
時間的にはもう数人ヤられているかもしれないが少しは急いだ方がいいだろう

晴と黒鉄がやられる前に……

ん?違和感がある
何に対してのものかは分からないが少しおかしい
なぜここまでスムーズに制圧ができた
なぜホールに生徒が集まっていると予測できていた
偶然にしては出来すぎていないだろうか

拷問で二人はもう息絶えた
説明させるにしても、もう遅い
仕方ない、ボス本人に聞くしかない

俺たちは走って船首に向かった



コメント

  • たくあん

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