路地裏最強は異能力者学園へ

KOGARASI

仲間とは

あれから一週間、晴とは一度も話していない

これは晴が避けている訳では無い。俺が避けている

晴が話しかけようとしても【影渡り】で移動し、
寮に帰っても自室に篭もりっぱなし、(実は【影渡り】でいろんな場所に移動しているが)
まぁ、避けるのもちゃんと理由が三つほどある、

一つ目は、顔を合わせづらい
あれ以降、晴の顔をずっと見ることは出来ない

二つ目は、俺に話す気がない
今、俺は学園中に悪評がまわっている。そんな状態で話すことは出来ない

三つ目は、俺は俺よりも弱いやつを仲間にする気は無い
俺はあいつを一度も仲間と思ったことは無い

俺は、弱者を守って死ぬなんてことは御免こうむる。
かと言って強者は背中を預けれるほど信用出来ない

後から攻撃されたら一溜りもない

だから……俺は人を信用しない

以上のことから、俺は仲間を作る気は無い





side晴


あれからケイくんと一度も話していない

いつも話そうとしてもすぐどこかに行ってしまう

寮でもずっと部屋にいるし、実際はどっかに行ってるかもしれないけど

席はいつも隣なのにずっと遠くにいる気がする

「はあぁ、どうしよう」

「ふ、少年よ、どうかしたか?」

ボクは今、窓枠から外を向いている

なのにどうしてだろうか、目の前に女の人がいる

「うっわぁぁぁぁ!!」

「ふふ、かなり驚いたようだな」

「そりゃ、驚きますよ!《理事長》!!」

そう、この学園の理事長、その人が宙に浮いていた

「それより、悩みかい?少年よ」

「ボクは女です」

「ふむ、なんと言ったかな…せ、せい……」

「性同一性障害じゃありませんよ」

「そうそれだ、なんだ違うのか」

「違いますよ!普通………ちょっと男の子見られやすい可哀想な女の子ですよ!」

「自分で可哀想とかいうか?まぁ、そこまで言うのなら、女なのだな、君、名前は?」

ケイくんのように頭ごなしに否定されなかっただけよしとしよう

「獣山林晴です」

「そうかそうか、では獣山林君悩み事かい?」

「はい、実は………」

理事長に今の状況を相談してみる
理事長ならいいか…と思ったのと正直誰かに話したいと思っていたからだ

「………そうかい、つまり獣山林君は想い人が自分を避けているからどうにかしたいと……」

「ブフッ!な、にゃ、にゃ、にゃに言い出すんですかぁ!?友達ですぅ!ルームメイトですぅ!想い人なんかじゃないんですぅ!!」

そうだよそうだよ!ボクは別にケイくんのことが好きなわけじゃない!ただこれは尊敬とか敬愛とか好意とか……って違ぁぁう!
そ、そうだ、理事長の誤解を解かないと!

「だ、だから違うんですよ!尊敬とか敬愛ですよ!」

「うんうん、私にもそういう時期があったよ…」

「あ!ダメだこの人話聞いてない!」

「獣山林君、確かに想い人に避けられるのは悲しいことだよ」

「だから違うのにぃ」

「でもね、それはきみのためかもしれないよ」

「え?」

相談の結果、帰ってきた回答は予想外のことだった

「ボクの……ため?」

「そうだ、大勢の前で彼はそんなことをしたんだろう?少なくとも好印象を受けている者は少ないはずだ。それに武道場前の一悶着もある。何故かは分からないが彼は望んで《悪役》へとなったのさ」

「そ、そんなこと!は……」

「ないとはいえないだろう?……でその後に君との友好関係を見てみろ。流石にBクラス最強を破った彼には無理だろうがDクラスでもそこそこな君は格好の餌食だろうね」

「やっぱり…強くないといけないですよね…」

「そうだね。君はまだまだ弱いな。けど、強さは一朝一夕でつくものでは無い。そんなもの一部の天才共だけだ。」

じゃあ、ボクはこのままずっとケイくんと話せないのか…………嫌だな

「ふふ、そんな顔するものじゃないよ。獣山林君」

「え?」

「実は、今ある問題があってね。あるBクラスの少女が絶賛不登校中でね」

え?それってもしかして

「そう、君が思ってる通りの子……Bクラス一位の如月氷火きさらぎひょうかよ」

やっぱりか…あんなことされたんだトラウマになって登校拒否もありえることだろう

それでもボクとなんの関係があるんだろう

「これから月野君に如月君を登校させるよう依頼するつもりだったんだ。君も来るかい?そしたら少しは喋れると思うけど」

なんでケイくんに依頼するのか、ケイくんが依頼を受けるとは思えないとか、いろいろ思う所はあるけど、とにかく一度は話したいな

「わかりました。行きます。行かせてください。」

「うん、いいだろう」

理事長はそのまま教室へと入ってき、地に足を下ろした

「では、行くぞ」

そのまま寮へと歩き始める

歩けたんだ

「何をしている、遅いぞ」

ボクは慌てて理事長のあとをおった

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