草も生えない冒険譚

たかし

1話【出会い】

前書き


両親がこの世を去り、
妹と2人っきりの借金生活
毎日借金取りに追われ続け、遂に追い詰められてしまう2人…!
しかしなんとか間一髪で逃れるものの
神の導きを受け…



俺の名前は「頼璋宇宙」
そこらへんに落ちている高校生だ。
俺には妹がいる。「頼璋芹那」だ。
こうやって今はお茶を飲みながら妹とのんびりしているが、毎日地獄がやってくる。
俺の家は両親がいない。
ついこの間、亡くなってしまったのだ。
父親が借金残して死んでしまったため
俺ら二人がその負担を受け、借金取りに追われ続けているってことだ。
まぁ俺らは特別足が早くて捕まったことはないし捕まる予感すらしない、っていうか捕まらない。

そうやって調子こいてると痛い目見るってことは重々承知の上なんだが…

ドンドンドンドンドンッッ!!

「おいクソ餓鬼ども!!今日こそは捕まえて絶対金返してもらうからな!覚悟しろよ!」

ほら、またきた、ほんとめんどくさい。

「いけ!お前ら!!」

そう言って、正面玄関ドアを蹴破り、堂々と入ってくる黒Tシャツ姿の男達。
いつもは裏口から出て逃げるのだが
どうやら裏口にも監視役がいるようだ。
こんな時のためにプランCも作ってある。
二階の妹の部屋の窓からロープを地上まで伸ばして降りて脱出するというもの。

「芹那!プランCだ!!」

「あいあいさー!」

こうして俺らは生き延びてきた。
両親が死んで、誰にも助けられずただひたすら借金取りに追われ続ける生活。
いつまで続くんだろうか。
いやきっと終わりなんてないんだろう。
あいつらはきっと死ぬまで俺らを追い回しつづける、それがあいつらの仕事なんだろう。

そんな事を思ってる内に二階につき
窓から周辺を見渡し…

「なっ…!?」

なんてことだ。
ロープの真下にも監視役がいた。
これはまずい、どうすれば…

「ふははははっ!どうした!いつものようになにかしら小細工して逃げるんじゃないのか?」

そんな挑発をよそに
俺と妹はおもむろにトイレに駆け込んだ。
鍵を閉めてもすぐに蹴破られる。
そんなことわかってる、
だけどまだ死にたくないんだ、まだ生きたい
何度だって足掻いてやる、くるならこい。

妹と息を殺して
気配を殺して
存在も消えてしまうぐらいに偲んだ。
それからどれぐらい時が立ったろうか。
そして奴らの声や物音、足音の全てが聞こえなくなってホっとした。

「危なかったな…死ぬかと思ったよ」

そう俺が呟いてドアを開けると

そこは

見知らぬ景色だった。



「……えっ?」

妹と俺の反応はもちろん同じ。
唖然と驚愕することしかできなかった。
見知らぬ景色というか…
こんな世界があったのか、という疑いすらする。
ファンタジックでおしゃれな家に
店はRPGゲーム内の商売のような感覚だった。

というかそもそもなんでトイレを開けたらこんな場所に?おかしいだろ?

「お、お兄ちゃん…」
唖然としていた妹が口を開いた。

「な、なんだ…?」

「ここ…どこ?」

こっちが聞きたいわ!!!
逆に俺にわかると思うのか!?
自宅のトイレ開けたらこんな正体不明の場所に繋がってる理由なんて知ってると思いますか?っていうか分かると思いますか!?

「あ、あぁ…どこだろうな」

妹の素朴な疑問にはそう答えるほかなかった。

「と、とりあえずさ!ここらへんの人になにか聞いてみよう!そしたら何かわかるかもしれないし!」

「そ、そうだね!」

と言ったものの、言語通じるのか?この人達…
はぁ、信憑性のないこと言っちゃったなぁ…

とりあえず俺はここがどこなのかの聞き込み調査を始めた。

「す、すみません、ちょっと聞きたいことがあるんですけどー」

俺は道行く優しそうなお兄さんに話しかけた

「はい?なんでしょう?私の力では至らぬ場合も御座いますができるだけお力添えできるように頑張らせていただきますが…」

うっわめっちゃいい人!!やっぱ見た目って大事だな!!
そんなこと思うと自分が悲しくなってくる…

ひとまず日本語は通じるのか…
それだけで充分な収穫だが、欲を出してみる、

「僕達、遠い所から来ていて、ここがどこかまだ分かってないんですけど、ここがどこか教えていただけますかね?」

なるべく怪しまれないように言った。

「ここはルシファン国ですよ。南の方の国って言われてますね」

……は?

いや、日本じゃないの?
え、なにるしふぁんこくって?
そんなの地理で習わなかったんですけど…
ますます頭がこんがらがるな…

「あ、ありがとうございました!」

「いえいえ!」

はぁ、こんな様子で大丈夫なのだろうか

はっ!こんな時こそ携帯で検索っ…

あ…部屋に置きっぱなしだ…やっちまった。

「芹那さぁ、携帯持ってる?」

「持ってるよ~」

あぁ!流石我が妹よ!愛しておるぞ!
どんな時でもお兄ちゃんはお前の事離さないからな!!

「ちょっと調べたいことがあってさ」

「うん!いいよー!」

そう言って携帯を開く芹那だったが
眉をひそめて俺に槍を指す。

「お兄ちゃん~圏外だってさー」

ぐはっ!!
なんかそう来るんじゃないかと心の奥底で言っていたような……
こういうのお決まりの展開なのか…?

どうしよう、完全に詰んだ。
詰んだ詰んだ詰みまくってる。

また聞き込みするか?
いやでもそれじゃ時間がかかる…
第一お金って日本のでいいのかな…?

「お兄さん、これはどこの国の金銭かな?ちょっとうちじゃ扱えないなぁ」

無理でした。
そりゃそうですよね
ルシファン国ですもんね。
あぁあ~!なんならさっきの人に全部聞いときゃよかったぁ!!
はぁ、仕方ないか、ここでくよくよ悩んでても仕方ないし聞き込みを…

「お兄ちゃん!あそこに青い妖精が!」

はぁ?こんな非常事態になにをいきなり…

「まじだ…」

「でしょでしょ?あ!お兄ちゃん逃げちゃうよあの妖精さん!追いかけなきゃ!」

いや追いかける必要はないんじゃないか…?
青い妖精追いかけてなにかメリットがあるのか?
こういう時優先すべきは聞き込みであって
突如現れた不思議な妖精ちゃんを追いかけることではな…

「ほら早く!お兄ちゃんも!」

そう言って妹に手を引っ張られ
しぶしぶその青い妖精を追いかけた。
そして走りに走って行き着いたそこは
なにかの古代遺跡のような所だった。

足は早いが体力がなく、その他の運動神経が絶望的に悪いこの俺様にこれだけ走らせてなにもなかったらただじゃおかねぇぞ。

「よくぞおいでなさいましたね。」

するとその古代遺跡の前で
俺らの追っていた青い妖精が姿を変化させ
大きな天女っぽい人になった。
なにこの展開。

「あのぉ…あなたは?」

「私はネルディ、天の神です。あなた達をこの異世界に転生させたのはこの私です。」

へ?天の神?異世界?転生?
すまないが何を言ってるのかさっぱりなんだが…
理解に追いついていけないぞ俺は

「なるほど!」

妹は飲み込みが早いな!
良いんだか悪いんだか…

「あなたがたの事情は知っています。両親を亡くし、借金取りから逃げ続けているんでしょう?そんなあなた達を助けてあげたいと思い、この世界に転生したのです。」

なんだこいつ…
初対面なのに俺らの事情知ってるって
もしや本物の神か…?
にわかには信じ難いが、空飛んでるし、でかいし、神様オーラめちゃくちゃ放ってるし、ひとまずは信じてやるか…

「つまりネルディさんは私たちを助けてくれたんですね!」

「正式にはあなた達が救われる手助けをしただけですが…」

「つまり、俺らをこの世界に送って、ひとまずはあの借金取りから逃がそうと…?」

俺が悟ったように言うと

「まぁそういうことになるわね、あと、この世界での生き方も説明するわ。」

おお、異世界で生きるなんてすごい男としてはロマン溢れるんだけど!
魔法だろ?なぁなぁ魔法なんだろ?いっちゃえよ神様!魔法があんだろ?

「この世界には魔法があります。」

キターーー!!魔法キターーー!!
やはり異世界はこうでなくっちゃなぁ!
魔法なくして異世界あらずだぜ!

「ですがモンスターを倒して経験値を得なければ魔法は取得できません。」

「でもよ、俺らこんな格好で、武器もなにも持ってないのにモンスターと戦えって無理があるくないか?」

その俺の発言に神は

「言ったでしょう、私はあなた達の手助けをするだけだと、そのほかの事は自分達でなんとかしなさい。」

「あっ!ちょっと、まっ…」

俺が止めるまもなく神は消えた。
夢にまで見た異世界ライフだが…
いざ自分が異世界にくるとなると、何をしていいのか全くわからない
働くしかないのか?
いやモンスターを倒してその素材を売れば金になるのだろうか、
まぁ、俺ら丸腰でもなんとか知恵を駆使すれば勝てなくはないのだが…
あぁあー!頭がおかしくなりそうだ…
まぁ妹と協力してこの異世界を生き延びろって
事なのかな…



後書き


異世界へと転生された宇宙と芹那。
ひとまずは金を手にしないとなにも始まらないと思い。モンスターを倒さなければならない。
その為には2人では無理だ。
それなので仲間探しに行く2人であった。
はい。

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