9話

赤い石を置き、森へと入る準備が完了したことで僕は森の中へと入ることにした。

「それじゃ行くか！」

僕はミスリルソードを腰にかけて森の中へと進んで行く。

「うわぁ～何にも見えないな」

僕が受けた依頼の達成条件はこの森に発生している深い霧の原因究明である。この森はもともと霧なんてなく普通の森だったのだ。それが突然霧に包まれたが、何も害がないことがわかったのでいつか消えるだろうとほっておいたらこのように一寸先も見えないほど深い霧に包まれたのだ。この森にはたくさんの果物が取れたのだが霧に包まれるといつの間にか果物が消えていたのだ。そのためこの森を管理している人が冒険者ギルドに依頼したのだ。

そして僕が受けた依頼は霧の原因解決ではなく原因究明であるので霧を発生させているモノの見つけ出すことだ。

「それにしても特に異常はないんだよな～」

この森には特にこれと言ったおかしな様子は見当たらなかった。

「何が原因なんだろう～？」

僕は森の奥へと進んで行く。その際に森に何かないか注意深く見渡しながら進んでいった。

「ん？何か聞こえる？」

僕が森の奥へと進んでいるとどこからか何か聞こえてきたような気がした。

「なんだろ？」

この森へと来てから今まで特にこれと言ったものがなかったので何か手がかりはないかと僕は音がする方へと向かうことにした。

「あ、誰かの声みたいだ！」

音が聞こえてくる方へと近づくとその音が誰か人が発するような声だということがわかった。

「誰かいるのかな？」

もしかしたら僕と同じく冒険者ギルドでこの森の依頼を受けた人が迷子になったのかもしれないと思い音が聞こえてくる方へと早足で向かう。

「お腹すいたよ～」

音が聞こえてくる方へと近づいて行くと「お腹すいたよ～」という声が聞こえてきた。さっきまでは誰かが喋っていることはわかったのだがその喋っている内容まではわからなかったので僕が音の聞こえる方へと着実に近づいていることがわかる。声が聞こえるまでに近づいたのならあともう少しでその人のところへたどり着くことが出来るだろう。

「あと少しだ！」

僕は木々を抜けその声の主の元へと進んで行く。