魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
最終陣新しい時代へ
――魔法使いとして生き抜いた二度目の人生。
異世界で勇者のサクラと出会って、冒険をして、世界を救った。
けどその代償はとても大きくて、世界を救った俺に残っていたものは喪失感だった。だから逃げるように元の世界に戻って、存在してはいけないものとして怠惰な生活を過ごしていた。
そしてこの戦国時代に飛ばされ、また魔法使いとしての自分が必要とされ、ある意味で三度目の人生をここで送った。
「ヒデヨシ、俺はお前の役に立てたか?」
「当たり前だよ。私ヒッシーと戦えてすごく幸せだった。ありがとう」
「まさかお前に礼を言われるなんてな……」
最初はサクラを失ったことがトラウマで、戦場に身を投じる事が怖かった。また誰かを失うんじゃないのかって。けれどノブナガさんやヒデヨシが俺に背中を預けてくれて、俺もその背中を彼女達に預けるようになっていた。
「ヒッシーは幸せだった? 私達と戦って」
「最初は魔法使いとして俺が必要とされている事が怖かったよ。サクラの事もあったからな。けれど、お前やノブナガさんは俺の事を信じてくれた。だから俺も信じられるようになったんだ」
「私も最初はヒッシーの怖かったよ」
「その割にいきなりそんな呼び方していたけどな」
「そ、それは、その方が親しみやすいかなって思ったからで」
「親しみやすいあだ名とは到底思えないけどな」
それでも戦いの中で仲間を失う事もあった。特にこの世界にマルガーテがやって来て、皆をその戦火に巻き込んでからは。幼馴染の桜、かつての仲間であるリアラ。そして師匠のノアさん。守れるものもあったけど、守れなかったものもあった。その点については散っていった仲間たちに謝っても謝りきれない。
「ヒッシー、もう体動かせないの?」
「ああ、もうろくに体を動かせなくなった。結構体に無理させたからな」
でももうすぐ俺も彼女達の元へ向かう。長かった延長戦ももうすぐ終わる。
「ごめん私が無理をさせたばかりに」
「無理なんかしたつもりはないよ。これが俺が選んだ道なんだって」
「ヒッシー……」
「ただ、お前の夢を最後まで見届けられなかったのはちょっと悔しいかな。お前が天下統一する姿を見たかったよ」
「私も最後までヒッシーに……隣にいてほしかったよ。もうすぐ、もうすぐなのにヒッシーが隣にいないなんて嫌だよ」
「……ごめんな」
本当は最後までこの体には頑張ってもらいたかった。その為に魔法を使うのもやめた。けど、体はやはり正直で、こうして会話しているのもやっとなくらいこの体はボロボロだった。
「俺は最後まで隣にはいられないけど、ヒデヨシがちゃんと天下を統一できるって俺は信じている。お前は強くなった。だから自分を信じろ」
「……うん。ヒッシーから教わったことは絶対に忘れない。ヒッシーの事も全部」
「忘れてほしい事もあるけど、覚えてくれているならそれでいい。だから……頑張れよ」
俺は気が付けば目を閉じていた。もうその目を開くこてはきっとない。この最後の時、俺が思い出すのはノブナガさんの顔、そしてサクラの顔だった。
(サクラ……、ノブナガさん……。俺も今からそっちに行きます)
「……シー、ヒ……シ……」
かすれかすれでヒデヨシの声が聞こえる。彼女の声を聞けるのもこれで最後だ。俺は魔法使いとして生きた二度目の人生もここで終わる。長い長い贖罪の人生も、終点だ。
(ヒデヨシ、皆最後までありがとう)
こんな俺を最後まで頼ってくれて、仲間としていてくれてありがとう。
■□■□■□
今日も空は晴れていた。
外から聞こえる小鳥のさえずりが、私の耳に届く。
とても気持ちのいい日だった
(ノブナガ様、ヒッシー、私あれから頑張って、叶えたよ。夢)
ノブナガ様が居なくなってから一年、ヒッシーが居なくなってから半年。私は二人が作り上げてきたこの場所をずっと守り続けて、そしてついに今日天下統一を果たした。ノブナガ様には話してはいなかったけど、私はずっと胸の内でその目標を掲げて生きていた。ただ、ノブナガ様自身にもその目標があったのは分かっていたので、私がその遺志を継ぐような形で今日この日を迎えた。
「お姉様、起きていますか?」
そんな気持ちのいい日、私の元に最初にやって来たのはネネだった。ネネは相変わらず私の事をお姉様と呼んできて、そちらの世界に呼び込もうとして来る。けど、以前よりかは幾分かましになった気もする。
「起きているというより昨日から寝てないわよ」
「じゃあ今から私と一緒に寝ませんか?」
「何事もないようによくそんな事をサラッと言えるよね?!」
気のせいな気がしなくもないけど。
「冗談は置いておくとして、実はお姉様に一つご報告が」
「報告?」
「実は例の噂について分かったことがありまして」
ネネには私が天下統一を果たしている間に、独自にとある調査をしてもらっていた。その報告を聞くなり、居てもたってもいられずに動き出していた。
「お姉様、どちらへ」
「そんなの決まっているじゃん。その噂が本当なら」
確かめたい。確かめずにはいられない。
「私から会いにいかないと!」
長く続いた戦国時代。
豊臣秀吉が天下を収めた事によって、その世界は新しい時代を迎える。
だがその時代もまた、戦火に包まれる時代になる事になるとは、彼らはまだ知らない。
異世界で勇者のサクラと出会って、冒険をして、世界を救った。
けどその代償はとても大きくて、世界を救った俺に残っていたものは喪失感だった。だから逃げるように元の世界に戻って、存在してはいけないものとして怠惰な生活を過ごしていた。
そしてこの戦国時代に飛ばされ、また魔法使いとしての自分が必要とされ、ある意味で三度目の人生をここで送った。
「ヒデヨシ、俺はお前の役に立てたか?」
「当たり前だよ。私ヒッシーと戦えてすごく幸せだった。ありがとう」
「まさかお前に礼を言われるなんてな……」
最初はサクラを失ったことがトラウマで、戦場に身を投じる事が怖かった。また誰かを失うんじゃないのかって。けれどノブナガさんやヒデヨシが俺に背中を預けてくれて、俺もその背中を彼女達に預けるようになっていた。
「ヒッシーは幸せだった? 私達と戦って」
「最初は魔法使いとして俺が必要とされている事が怖かったよ。サクラの事もあったからな。けれど、お前やノブナガさんは俺の事を信じてくれた。だから俺も信じられるようになったんだ」
「私も最初はヒッシーの怖かったよ」
「その割にいきなりそんな呼び方していたけどな」
「そ、それは、その方が親しみやすいかなって思ったからで」
「親しみやすいあだ名とは到底思えないけどな」
それでも戦いの中で仲間を失う事もあった。特にこの世界にマルガーテがやって来て、皆をその戦火に巻き込んでからは。幼馴染の桜、かつての仲間であるリアラ。そして師匠のノアさん。守れるものもあったけど、守れなかったものもあった。その点については散っていった仲間たちに謝っても謝りきれない。
「ヒッシー、もう体動かせないの?」
「ああ、もうろくに体を動かせなくなった。結構体に無理させたからな」
でももうすぐ俺も彼女達の元へ向かう。長かった延長戦ももうすぐ終わる。
「ごめん私が無理をさせたばかりに」
「無理なんかしたつもりはないよ。これが俺が選んだ道なんだって」
「ヒッシー……」
「ただ、お前の夢を最後まで見届けられなかったのはちょっと悔しいかな。お前が天下統一する姿を見たかったよ」
「私も最後までヒッシーに……隣にいてほしかったよ。もうすぐ、もうすぐなのにヒッシーが隣にいないなんて嫌だよ」
「……ごめんな」
本当は最後までこの体には頑張ってもらいたかった。その為に魔法を使うのもやめた。けど、体はやはり正直で、こうして会話しているのもやっとなくらいこの体はボロボロだった。
「俺は最後まで隣にはいられないけど、ヒデヨシがちゃんと天下を統一できるって俺は信じている。お前は強くなった。だから自分を信じろ」
「……うん。ヒッシーから教わったことは絶対に忘れない。ヒッシーの事も全部」
「忘れてほしい事もあるけど、覚えてくれているならそれでいい。だから……頑張れよ」
俺は気が付けば目を閉じていた。もうその目を開くこてはきっとない。この最後の時、俺が思い出すのはノブナガさんの顔、そしてサクラの顔だった。
(サクラ……、ノブナガさん……。俺も今からそっちに行きます)
「……シー、ヒ……シ……」
かすれかすれでヒデヨシの声が聞こえる。彼女の声を聞けるのもこれで最後だ。俺は魔法使いとして生きた二度目の人生もここで終わる。長い長い贖罪の人生も、終点だ。
(ヒデヨシ、皆最後までありがとう)
こんな俺を最後まで頼ってくれて、仲間としていてくれてありがとう。
■□■□■□
今日も空は晴れていた。
外から聞こえる小鳥のさえずりが、私の耳に届く。
とても気持ちのいい日だった
(ノブナガ様、ヒッシー、私あれから頑張って、叶えたよ。夢)
ノブナガ様が居なくなってから一年、ヒッシーが居なくなってから半年。私は二人が作り上げてきたこの場所をずっと守り続けて、そしてついに今日天下統一を果たした。ノブナガ様には話してはいなかったけど、私はずっと胸の内でその目標を掲げて生きていた。ただ、ノブナガ様自身にもその目標があったのは分かっていたので、私がその遺志を継ぐような形で今日この日を迎えた。
「お姉様、起きていますか?」
そんな気持ちのいい日、私の元に最初にやって来たのはネネだった。ネネは相変わらず私の事をお姉様と呼んできて、そちらの世界に呼び込もうとして来る。けど、以前よりかは幾分かましになった気もする。
「起きているというより昨日から寝てないわよ」
「じゃあ今から私と一緒に寝ませんか?」
「何事もないようによくそんな事をサラッと言えるよね?!」
気のせいな気がしなくもないけど。
「冗談は置いておくとして、実はお姉様に一つご報告が」
「報告?」
「実は例の噂について分かったことがありまして」
ネネには私が天下統一を果たしている間に、独自にとある調査をしてもらっていた。その報告を聞くなり、居てもたってもいられずに動き出していた。
「お姉様、どちらへ」
「そんなの決まっているじゃん。その噂が本当なら」
確かめたい。確かめずにはいられない。
「私から会いにいかないと!」
長く続いた戦国時代。
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