魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第124陣師から弟子へ
「魔法を伝授するとはいえ、時間が残されていないので、今この場所で授けますね」
最後の戦いの為にノア師匠が俺に伝授してくれる魔法。その言葉の通りきっとこれが本当に最後の教えになるだろう。ノブナガさん曰く、この戦いで城の防衛で協力してくれているらしく、今この場所が安全なのは彼女のお陰だということ。
(一つの魔法を守れるほどの防御壁、流石は師匠だな……)
ただ片手で唱えた以上、大きな魔力は乗せられていないらしく、それも長くは持たないらしい。
「ボーッとしている時間はありませんよ、ヒスイ。今から私が教える事をそのまま真似してください」
「は、はい」
最後の教えがどんな魔法なのかは分からないけど、今は師匠を信じて彼女の動きを真似するしかない。
「こうしてヒスイに何かを教えていると、あの頃を思い出しますね」
「あの頃?」
「ヒスイがまだ魔法をまともに使えなかった頃ですよ。魔力の器も持たない一般人であるあなたに魔法を教えて欲しいと言われた時は、流石に私も驚きました」
「俺の方が驚きましたけどね。いきなり魔法を覚えろなんて言われたんですから」
昔話をしながらも伝授は続く。本当最初はまるで雲を掴むような果てしない特訓の日々だったけど、改めて振り返ると決して悪くはなかったかもしれない。
「この魔法はたった一度しか使えません。しかしこれを確実にマルガーテに当てれば倒せます。それほど強力な魔法です」
「あのマルガーテを一撃で倒せる魔法、ですか」
いたってシンプルだが、確実に当てなければならないあたりは俺の技量が必要になってくる。でも今の俺には迷っている時間はない。師匠が与えてくれた力、絶対に無駄にはできない。
「はい、これで魔法の伝授は終わりました。あとは次の手順でこの魔法を唱えてください」
魔法を発動させる手順をノアさんから聞き終え、俺は立ち上がる。
「ありがとうございました師匠。俺、今度こそ決着をつけてきます」
「……信じていますよヒスイ。あなたが今度こそ英雄になって、この場所へ戻ってくる事を」
「分かっていますよ師匠。必ず……戻ってきます」
「決して一緒に自分もいなくなるみたいな事は考えないでくださいよ」
「……分かっています」
俺が今回犯してしまった罪は決して軽くはない。俺が自我をしっかりと保てていれば、闇に飲み込まれる事はなかったし、何より今のこの状況にはならなかった。
それはサクラの時だって同様だ。
だから償わなければならない。たとえそれは刺し違えてでも。
「ヒスイ!」
部屋を出る直前、ノアさんが俺を呼び止める。
「まだ……告白の答えを聞いていませんから、帰ってきたら聞かせてくださいよ。私、いえ私達はあなたの帰りを待っていますから」
「はい」
最後に俺はそう返事を返すと、駆け出した。
俺の……魔法使い桜木翡翠としての、最後の戦いがいよいよ幕を開ける。
■□■□■□
ノブナガさんを連れ改めて戦場へとやってきた俺は、すぐにヒデヨシの姿を見つけた。やはりというべきか、ヒデヨシは絶体絶命の状況。
「ヒスイ、ヒデヨシさんが」
「分かっています」
俺はノブナガさんと自身に移動速度をかけ、腰につけた鞘から刀を抜き、急いでヒデヨシの元へと向かう。マルガーテが放ったのはヒデヨシよりも何倍も大きい巨大な闇の塊。俺はその魔法に対して一閃、その魔法を切り魔法を破壊した。
「ヒッシー……ノブナガ様……」
「待たせて悪かったなヒデヨシ。よくここまで頑張った」
「遅すぎるよ、馬鹿……」
「色々ヒデヨシにも心配させたな。でももう大丈夫だから」
「……うん」
ヒデヨシを一度ノブナガさんに任せ、俺はマルガーテと対峙する。もう何度目になるか分からない彼女との対峙。だけどそれも今日で終わりにする。この世界に光を取り戻すために。
「まさか自分であの闇から抜け出すとは。私も侮っていましたよ」
「感謝しているよお前には。今度こそ大切なものを思い出させてもらった」
「敵の大将である私に感謝? あなたはつくづく馬鹿ね」
何があったのか知らないが、いつもと口調も態度も全てが違うマルガーテ。これが彼女の本性という事なのだろうが、
「別に馬鹿でも構わないさ。それが俺なんだから」
俺は改めて太刀を構え、マルガーテと向き合う。以前より増して彼女を覆う闇の大きさが、膨大になっているのが目に見えて分かる。だがそれに対して恐怖は覚えない。俺には覚悟ができている。
「ヒデヨシが受けた傷、そして今までお前に傷つけられた沢山の人達の想い、今度こそ全てお前にぶつける」
「何度も言うがお前は私に勝てない。何故ならお前は」
マルガーテのセリフを聞くよりも先に既に俺の体は動いている。まずは先手必勝。この太刀には師匠が俺にくれた光の力が込められている。闇を払うには光。光こそが闇を断ち切れる。
「一度闇に飲まれてしまっているのだから」
だが太刀に込めた光には黒いものが混ざっていた。本来混ざり合ってはいけない異物。それによってマルガーテに一撃を与えることができなかった。
「なっ、どうして」
「お前は完全な光にはもうなる事ができない。大人しく諦めろ」
その応酬として至近距離でマルガーテが魔法を放つ。
「ヒスイ!」
「ヒッシー!」
最後の戦いの為にノア師匠が俺に伝授してくれる魔法。その言葉の通りきっとこれが本当に最後の教えになるだろう。ノブナガさん曰く、この戦いで城の防衛で協力してくれているらしく、今この場所が安全なのは彼女のお陰だということ。
(一つの魔法を守れるほどの防御壁、流石は師匠だな……)
ただ片手で唱えた以上、大きな魔力は乗せられていないらしく、それも長くは持たないらしい。
「ボーッとしている時間はありませんよ、ヒスイ。今から私が教える事をそのまま真似してください」
「は、はい」
最後の教えがどんな魔法なのかは分からないけど、今は師匠を信じて彼女の動きを真似するしかない。
「こうしてヒスイに何かを教えていると、あの頃を思い出しますね」
「あの頃?」
「ヒスイがまだ魔法をまともに使えなかった頃ですよ。魔力の器も持たない一般人であるあなたに魔法を教えて欲しいと言われた時は、流石に私も驚きました」
「俺の方が驚きましたけどね。いきなり魔法を覚えろなんて言われたんですから」
昔話をしながらも伝授は続く。本当最初はまるで雲を掴むような果てしない特訓の日々だったけど、改めて振り返ると決して悪くはなかったかもしれない。
「この魔法はたった一度しか使えません。しかしこれを確実にマルガーテに当てれば倒せます。それほど強力な魔法です」
「あのマルガーテを一撃で倒せる魔法、ですか」
いたってシンプルだが、確実に当てなければならないあたりは俺の技量が必要になってくる。でも今の俺には迷っている時間はない。師匠が与えてくれた力、絶対に無駄にはできない。
「はい、これで魔法の伝授は終わりました。あとは次の手順でこの魔法を唱えてください」
魔法を発動させる手順をノアさんから聞き終え、俺は立ち上がる。
「ありがとうございました師匠。俺、今度こそ決着をつけてきます」
「……信じていますよヒスイ。あなたが今度こそ英雄になって、この場所へ戻ってくる事を」
「分かっていますよ師匠。必ず……戻ってきます」
「決して一緒に自分もいなくなるみたいな事は考えないでくださいよ」
「……分かっています」
俺が今回犯してしまった罪は決して軽くはない。俺が自我をしっかりと保てていれば、闇に飲み込まれる事はなかったし、何より今のこの状況にはならなかった。
それはサクラの時だって同様だ。
だから償わなければならない。たとえそれは刺し違えてでも。
「ヒスイ!」
部屋を出る直前、ノアさんが俺を呼び止める。
「まだ……告白の答えを聞いていませんから、帰ってきたら聞かせてくださいよ。私、いえ私達はあなたの帰りを待っていますから」
「はい」
最後に俺はそう返事を返すと、駆け出した。
俺の……魔法使い桜木翡翠としての、最後の戦いがいよいよ幕を開ける。
■□■□■□
ノブナガさんを連れ改めて戦場へとやってきた俺は、すぐにヒデヨシの姿を見つけた。やはりというべきか、ヒデヨシは絶体絶命の状況。
「ヒスイ、ヒデヨシさんが」
「分かっています」
俺はノブナガさんと自身に移動速度をかけ、腰につけた鞘から刀を抜き、急いでヒデヨシの元へと向かう。マルガーテが放ったのはヒデヨシよりも何倍も大きい巨大な闇の塊。俺はその魔法に対して一閃、その魔法を切り魔法を破壊した。
「ヒッシー……ノブナガ様……」
「待たせて悪かったなヒデヨシ。よくここまで頑張った」
「遅すぎるよ、馬鹿……」
「色々ヒデヨシにも心配させたな。でももう大丈夫だから」
「……うん」
ヒデヨシを一度ノブナガさんに任せ、俺はマルガーテと対峙する。もう何度目になるか分からない彼女との対峙。だけどそれも今日で終わりにする。この世界に光を取り戻すために。
「まさか自分であの闇から抜け出すとは。私も侮っていましたよ」
「感謝しているよお前には。今度こそ大切なものを思い出させてもらった」
「敵の大将である私に感謝? あなたはつくづく馬鹿ね」
何があったのか知らないが、いつもと口調も態度も全てが違うマルガーテ。これが彼女の本性という事なのだろうが、
「別に馬鹿でも構わないさ。それが俺なんだから」
俺は改めて太刀を構え、マルガーテと向き合う。以前より増して彼女を覆う闇の大きさが、膨大になっているのが目に見えて分かる。だがそれに対して恐怖は覚えない。俺には覚悟ができている。
「ヒデヨシが受けた傷、そして今までお前に傷つけられた沢山の人達の想い、今度こそ全てお前にぶつける」
「何度も言うがお前は私に勝てない。何故ならお前は」
マルガーテのセリフを聞くよりも先に既に俺の体は動いている。まずは先手必勝。この太刀には師匠が俺にくれた光の力が込められている。闇を払うには光。光こそが闇を断ち切れる。
「一度闇に飲まれてしまっているのだから」
だが太刀に込めた光には黒いものが混ざっていた。本来混ざり合ってはいけない異物。それによってマルガーテに一撃を与えることができなかった。
「なっ、どうして」
「お前は完全な光にはもうなる事ができない。大人しく諦めろ」
その応酬として至近距離でマルガーテが魔法を放つ。
「ヒスイ!」
「ヒッシー!」
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