魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第24陣徳川の罠
夕方になるまでボクっ娘忍者を鍛えてあげた後、彼女も交えて夕飯を取ることに。
「へえ、ヒッシーって忍者を知っているんだ」
「実際にいるかいないかは別として、そういうのはアニメや漫画の世界だけの人物程度の知識だけどな」
「あにめ? まんが?」
「あ、えっと、簡単に言うとそんなの絶対にいないと思っていたって事」
「ボク忍者だよ?」
「それはよく分かった。だから驚いているんだろ?」
「そっか」
遠い昔、そういうのがいたって話くらいは聞いたことがあるけど、今となってはその存在が判明しただけでもニュースになっているに違いない。
「でも何かヒッシーってちょっと不思議だよね」
「どうしたんだよいきなり。そんな事言い出して」
「だってさ、ヒッシーはまるで最初から私達の存在を知っているみたいだし、そのマホウだって普通考えたら信じられないもん」
「それは俺が……」
ここでまた自分が未来から来ている事を口走りそうになり、ギリギリのところで止める。果たしてここが過去の世界なのかも定かではないが、また余計な事を口走るとヒデヨシが余計に変なことを考えてしまうに違いない。
「ヒッシーが?」
「あ、えっと、お、俺が、ちょ、超能力者だからだ」
「ちょうのうりょく?」
だがその代わりの言葉が余計な誤解を招くことになってしまった。
(いや、確かに普通の人から見たら超能力者みたいなものだけどさ)
「へえ、シショーはそもチョウノウリョクシャなんだ」
「そこで納得されてもこまるし、何だよ師匠って」
「え? だってボクに剣を教えてくれるシショーでしょ?」
「いや、確かに剣を教えているのは俺だけど、その師匠って呼び方恥ずかしいんだけど」
「えー格好いいじゃん。ヒッシー師匠、略してヒッショー」
「変な風に略すな! それだとまるで俺が必ず勝つ人間みたいじゃないか」
「間違ってないよ。ヒッシーが戦ってくれた戦一度も負けなしじゃん」
「いや、そうだとしてもだな……」
この先必ず勝てるなんて分からない。たとえ強い力を持っていたとしても、それが必ずしも勝利につながらない。それを俺はあの世界で学んだ。
「別に師匠って呼ばれるのは、ちょっと恥ずかしいけど構わない。でもあまり人前では呼ぶなよな」
「じゃあなんて呼べばいいの?」
「別にヒスイで構わないよ。ヒデヨシだけ変わった呼び方しているけど、大体皆そう呼んでいるから」
「分かった。じゃあ不思議な力のヒスイって事で、フナッスイーって呼ぶね」
「やめろ、それだけはやめろ」
「どうして?」
「何か色々と引っかかりそうだから」
「色々?」
「色々は色々だ。分かったら別の名前で呼べ」
「分かったー」
危ない危ない、字は違うとは言えニュアンス的にどっかのキャラクターに引っかかる所だった。
■□■□■□
夕飯を終え、ボクっ娘を帰したあと、俺とヒデヨシは寝る準備をするためにこの城の中で最も広い座敷に布団を敷いていた。いつもならそれぞれ別の部屋で就寝を取るのだが、昨晩のことも考えてすぐに戦いに出向けるようにまとまって寝ることになった。
「そういえばずっとネネを見かけてないけど、あいつはどこにいったんだ?」
「それが私も昨晩の戦いの前から見かけていないんだ。どこかに出かけた様子も見られないし」
「ヒデヨシすらも見かけていないって、珍しいな。しょっちゅう追いかけっこしているのに」
「私は好きで追いかけっこやってないからね!」
「分かってるって」
確か昨晩の戦の前、ヒデヨシはネネは何か別の仕事をしてもらっているとか言っていたけど、そもそも戦は大きなことが起きることなく終わってしまったのだから、もうなにも起きないはずだ。それなのに……。
(何か嫌な予感がするな……)
そもそも徳川軍が行った今回の作戦、ちょっとおかしい気がする。いくら俺を討つためとはいえ普段から隠密行動をするボクっ娘を最前線に出すなんて、陽動作戦にしてもおかしい。
(ん? 陽動作戦?)
確かボクっ娘が考えたのは、俺の策を利用して確実に俺を討ち取ろうとした作戦。だから俺は今回の敵将はボクっ娘だと思っていた。だが、もし仮にそれが徳川軍のある行動から俺達の目を背けるものだとしたら……。
「ヒデヨシ!」
「ど、どうしたのヒッシー。いきなり大声なんか出して」
「昨日の戦いの前、ネネはどこにいたか分かるか?」
「確か最後に話したのはネネの部屋だったから、多分そこだと思うけど」
「戦いが終わったあと、一度でもそこに行ったか?」
「一回だけ行ったけど、その時には誰もいなかったよ?」
「してやられた! 徳川の狙いはネネだったんだ!」
「え? どういう事なの?」
「細かいことは分からない。これはただの推測だけど、何かしらの理由で奴らはネネの首を狙っていた。だからあえてボクっ娘を前線に出して、俺達を城の外に出しその誰もいない間に一人の彼女を狙った」
「それってつまり……」
「そうだ。ネネは徳川に攫われた」
「でもあの部屋にそんな痕跡なかったよ?」
「痕跡なくできる人達がいるじゃないか」
「それってまさか……」
「そう。ボクっ娘が言っていたあいつ以外の忍者たちだ」
今回起きたこと全て徳川が仕組んでいたことだとしたら、とんでもない策士だ。俺はそれにまんまとはめられて、ネネを捕らえられてしまった。
(もしかしてボクっ娘もその作戦の為に俺達と接触したのか?)
いや、でも彼女のあの様子からしてそれはあり得ない。だとしたら……。
(あいつまでも利用したのか?)
「ヒッシー、どうするの?」
「どうするもなにも。決まっているだろ。ネネを今から助けに行くぞ!」
「へえ、ヒッシーって忍者を知っているんだ」
「実際にいるかいないかは別として、そういうのはアニメや漫画の世界だけの人物程度の知識だけどな」
「あにめ? まんが?」
「あ、えっと、簡単に言うとそんなの絶対にいないと思っていたって事」
「ボク忍者だよ?」
「それはよく分かった。だから驚いているんだろ?」
「そっか」
遠い昔、そういうのがいたって話くらいは聞いたことがあるけど、今となってはその存在が判明しただけでもニュースになっているに違いない。
「でも何かヒッシーってちょっと不思議だよね」
「どうしたんだよいきなり。そんな事言い出して」
「だってさ、ヒッシーはまるで最初から私達の存在を知っているみたいだし、そのマホウだって普通考えたら信じられないもん」
「それは俺が……」
ここでまた自分が未来から来ている事を口走りそうになり、ギリギリのところで止める。果たしてここが過去の世界なのかも定かではないが、また余計な事を口走るとヒデヨシが余計に変なことを考えてしまうに違いない。
「ヒッシーが?」
「あ、えっと、お、俺が、ちょ、超能力者だからだ」
「ちょうのうりょく?」
だがその代わりの言葉が余計な誤解を招くことになってしまった。
(いや、確かに普通の人から見たら超能力者みたいなものだけどさ)
「へえ、シショーはそもチョウノウリョクシャなんだ」
「そこで納得されてもこまるし、何だよ師匠って」
「え? だってボクに剣を教えてくれるシショーでしょ?」
「いや、確かに剣を教えているのは俺だけど、その師匠って呼び方恥ずかしいんだけど」
「えー格好いいじゃん。ヒッシー師匠、略してヒッショー」
「変な風に略すな! それだとまるで俺が必ず勝つ人間みたいじゃないか」
「間違ってないよ。ヒッシーが戦ってくれた戦一度も負けなしじゃん」
「いや、そうだとしてもだな……」
この先必ず勝てるなんて分からない。たとえ強い力を持っていたとしても、それが必ずしも勝利につながらない。それを俺はあの世界で学んだ。
「別に師匠って呼ばれるのは、ちょっと恥ずかしいけど構わない。でもあまり人前では呼ぶなよな」
「じゃあなんて呼べばいいの?」
「別にヒスイで構わないよ。ヒデヨシだけ変わった呼び方しているけど、大体皆そう呼んでいるから」
「分かった。じゃあ不思議な力のヒスイって事で、フナッスイーって呼ぶね」
「やめろ、それだけはやめろ」
「どうして?」
「何か色々と引っかかりそうだから」
「色々?」
「色々は色々だ。分かったら別の名前で呼べ」
「分かったー」
危ない危ない、字は違うとは言えニュアンス的にどっかのキャラクターに引っかかる所だった。
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夕飯を終え、ボクっ娘を帰したあと、俺とヒデヨシは寝る準備をするためにこの城の中で最も広い座敷に布団を敷いていた。いつもならそれぞれ別の部屋で就寝を取るのだが、昨晩のことも考えてすぐに戦いに出向けるようにまとまって寝ることになった。
「そういえばずっとネネを見かけてないけど、あいつはどこにいったんだ?」
「それが私も昨晩の戦いの前から見かけていないんだ。どこかに出かけた様子も見られないし」
「ヒデヨシすらも見かけていないって、珍しいな。しょっちゅう追いかけっこしているのに」
「私は好きで追いかけっこやってないからね!」
「分かってるって」
確か昨晩の戦の前、ヒデヨシはネネは何か別の仕事をしてもらっているとか言っていたけど、そもそも戦は大きなことが起きることなく終わってしまったのだから、もうなにも起きないはずだ。それなのに……。
(何か嫌な予感がするな……)
そもそも徳川軍が行った今回の作戦、ちょっとおかしい気がする。いくら俺を討つためとはいえ普段から隠密行動をするボクっ娘を最前線に出すなんて、陽動作戦にしてもおかしい。
(ん? 陽動作戦?)
確かボクっ娘が考えたのは、俺の策を利用して確実に俺を討ち取ろうとした作戦。だから俺は今回の敵将はボクっ娘だと思っていた。だが、もし仮にそれが徳川軍のある行動から俺達の目を背けるものだとしたら……。
「ヒデヨシ!」
「ど、どうしたのヒッシー。いきなり大声なんか出して」
「昨日の戦いの前、ネネはどこにいたか分かるか?」
「確か最後に話したのはネネの部屋だったから、多分そこだと思うけど」
「戦いが終わったあと、一度でもそこに行ったか?」
「一回だけ行ったけど、その時には誰もいなかったよ?」
「してやられた! 徳川の狙いはネネだったんだ!」
「え? どういう事なの?」
「細かいことは分からない。これはただの推測だけど、何かしらの理由で奴らはネネの首を狙っていた。だからあえてボクっ娘を前線に出して、俺達を城の外に出しその誰もいない間に一人の彼女を狙った」
「それってつまり……」
「そうだ。ネネは徳川に攫われた」
「でもあの部屋にそんな痕跡なかったよ?」
「痕跡なくできる人達がいるじゃないか」
「それってまさか……」
「そう。ボクっ娘が言っていたあいつ以外の忍者たちだ」
今回起きたこと全て徳川が仕組んでいたことだとしたら、とんでもない策士だ。俺はそれにまんまとはめられて、ネネを捕らえられてしまった。
(もしかしてボクっ娘もその作戦の為に俺達と接触したのか?)
いや、でも彼女のあの様子からしてそれはあり得ない。だとしたら……。
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