魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第41陣秘密の夜 前編
「これはどういう事ですか! ネネさんならともかく、何故敵のヨシモトがいるんですか!」
騒ぎの後、ノブナガさんに俺とヒデヨシとネネが揃って説教を受ける事に。ヨシモトはというと、どさくさに紛れて逃亡に成功。まあ、こやて捕まったら自分達以上に酷い目に合わされていたに違いない。
「すいません、ヒデヨシが意地でも二人で入りたいって聞かなくて。ネネは知りませんが」
「ヒッシーだって、何だかんだで入ろうとしたくせに、そういう時だけずるいよ!」
「そうです。私はお姉様と一緒に入る予定だったのですから、余所者は引っ込んでいるべきですわ!」
「誰が余所者だ! そもそもな」
「言い訳は無用です! ヒスイ様とヒデヨシさんは、夕食抜き、ネネさんは今すぐ城に戻って大人しくしていてください!」
『そんなー』
夕飯抜きは冗談かと思いきや、ノブナガさんは本気だったらしく、その日俺とヒデヨシはお腹を空かしたまま就寝の時間を迎えることになったのだった。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「あー、腹減った。こんなんで寝れるわけないだろ」
その日の夜遅く、当然の如く空腹で目を覚ましてしまった俺は、縁側で一人ボーッとしていた。
「勝手にご飯食べたら、怒られるよな絶対」
お腹がグゥと鳴る。朝からあれだけ体を動かしたのだから、お腹だって減るのは当たり前なのに、これじゃあ訓練というよりは、ただのの拷問だ。
「布団にいないと思ったら、こんな所にいたんですね、ヒスイ様」
一人空腹と戦い続けていると、俺の隣に座りながらノブナガさんが声をかけてきた。
「もしかして起こしちゃいましたか?」
「いえいえ。私は少し考え事をしていて、寝れなかったんです」
「考え事ですか?」
「ちなみにヒスイ様は? もしかしてお腹が減ってとかではありませんよね?」
「全くもってその通りですよ。ノブナガさん」
「そんなの自業自得じゃないですか」
「ですから、俺は何も悪く……」
「それではどうしてヨシモトをすぐに追い出そうとしなかったんですか? もしくはどうして私を呼んでくれなかったのですか?」
「それは……」
「彼女は私達の敵ですよ? それを相手にどうしてヒスイ様は、平然としていられるのですか?」
「平然だなんて俺は」
ノブナガさんの言っていることは間違っていなかった。丸腰だったとはいえど、戦うことはできたはずだ。それなのに俺は、一瞬でも油断してしまっていた。簡単に言うならば、悪ふざけのような感じがしてしまっていた。
「ヒスイ様はもう何度か戦を経験しているから分かっているとは思いますが、今回みたいに油断していると命を落とす危険性があります。それで一つの軍が崩れてしまう可能性だってあるんです」
「そんな大げさな」
「大げさではありません。たった一つの油断が、大きなミスにつながる可能性があるんです。だから分かってほしいんです。私達がいるのは戦場であることを」
ノブナガさんはそう一言残して、寝室に戻って行った。
(それは俺も分かっているんだよノブナガさん)
自分の小さなミスで、一生償えない傷を抱えてしまうことを。それなのに、これだとまるで、
(俺は何も分かってないみたいじゃないか……)
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ノブナガさんが去った後も眠れないでいた俺は、どうしたものかと悩んでいると、思わぬ人物が目の前に現れた。
「何情けない顔をしているのです? お姉様のことを考えているなら、すぐにやめてほしいですわ」
それはネネだった。彼女とは昨日の事もあって、二度と話せないのではないかと思っていたが、彼女の方から話しかけてくるとは予想外だった。
「何だよネネ、帰ったんじゃなかったのか?」
「帰れと言われて帰らないのがこの私。あなたとは今一度話をしておかなければならないと思ったのです」
「話?」
勝手に隣に座るネネ。そして彼女はそのまま、話を始めた。
「先日、あなたはあの忍から私の秘密を聞こうとしましたわね。あれの理由を教えてほしいのです」
「理由って言われてもな。単純にお前が何故徳川軍に狙われたのか、それだけが気になっただけだよ」
「確かに私が不覚を取って、迷惑をかけたのはお詫びいたしますわ。でもそれとこれとは、訳が違うと私は思いますわよ」
「違くはないだろ。現にボクっ娘はお前には重大な秘密があるから、狙ったって言ってたし、それを教えてくれようともした。だからそれが原因だと考えたって、おかしな話じゃないだろ」
「確かにそうかもしれませんわ。しかしそれを知った所で、あなたには何の意味もなさないはず」
「俺個人では意味がないかもな。だが、これが織田軍として考えたらどうなる? お前はこの前と同じようにまた捕まって、俺達が助ければいいのか? それだったら、予め理由を知っておいて、お前の守備も固めておいた方が楽だろ?」
「それは確かに、そうかもしれませんわ」
最もらしい理由を並べて、何とかその道を開いてみる。ヒデヨシ以外にほとんど心を開かないネネの秘密を聞くのは、今しかないと思った俺は、迷わず彼女に尋ねた。
「なあネネ、教えてくれないか? お前がどうして徳川から狙われているのか。その秘密を」
騒ぎの後、ノブナガさんに俺とヒデヨシとネネが揃って説教を受ける事に。ヨシモトはというと、どさくさに紛れて逃亡に成功。まあ、こやて捕まったら自分達以上に酷い目に合わされていたに違いない。
「すいません、ヒデヨシが意地でも二人で入りたいって聞かなくて。ネネは知りませんが」
「ヒッシーだって、何だかんだで入ろうとしたくせに、そういう時だけずるいよ!」
「そうです。私はお姉様と一緒に入る予定だったのですから、余所者は引っ込んでいるべきですわ!」
「誰が余所者だ! そもそもな」
「言い訳は無用です! ヒスイ様とヒデヨシさんは、夕食抜き、ネネさんは今すぐ城に戻って大人しくしていてください!」
『そんなー』
夕飯抜きは冗談かと思いきや、ノブナガさんは本気だったらしく、その日俺とヒデヨシはお腹を空かしたまま就寝の時間を迎えることになったのだった。
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「あー、腹減った。こんなんで寝れるわけないだろ」
その日の夜遅く、当然の如く空腹で目を覚ましてしまった俺は、縁側で一人ボーッとしていた。
「勝手にご飯食べたら、怒られるよな絶対」
お腹がグゥと鳴る。朝からあれだけ体を動かしたのだから、お腹だって減るのは当たり前なのに、これじゃあ訓練というよりは、ただのの拷問だ。
「布団にいないと思ったら、こんな所にいたんですね、ヒスイ様」
一人空腹と戦い続けていると、俺の隣に座りながらノブナガさんが声をかけてきた。
「もしかして起こしちゃいましたか?」
「いえいえ。私は少し考え事をしていて、寝れなかったんです」
「考え事ですか?」
「ちなみにヒスイ様は? もしかしてお腹が減ってとかではありませんよね?」
「全くもってその通りですよ。ノブナガさん」
「そんなの自業自得じゃないですか」
「ですから、俺は何も悪く……」
「それではどうしてヨシモトをすぐに追い出そうとしなかったんですか? もしくはどうして私を呼んでくれなかったのですか?」
「それは……」
「彼女は私達の敵ですよ? それを相手にどうしてヒスイ様は、平然としていられるのですか?」
「平然だなんて俺は」
ノブナガさんの言っていることは間違っていなかった。丸腰だったとはいえど、戦うことはできたはずだ。それなのに俺は、一瞬でも油断してしまっていた。簡単に言うならば、悪ふざけのような感じがしてしまっていた。
「ヒスイ様はもう何度か戦を経験しているから分かっているとは思いますが、今回みたいに油断していると命を落とす危険性があります。それで一つの軍が崩れてしまう可能性だってあるんです」
「そんな大げさな」
「大げさではありません。たった一つの油断が、大きなミスにつながる可能性があるんです。だから分かってほしいんです。私達がいるのは戦場であることを」
ノブナガさんはそう一言残して、寝室に戻って行った。
(それは俺も分かっているんだよノブナガさん)
自分の小さなミスで、一生償えない傷を抱えてしまうことを。それなのに、これだとまるで、
(俺は何も分かってないみたいじゃないか……)
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
ノブナガさんが去った後も眠れないでいた俺は、どうしたものかと悩んでいると、思わぬ人物が目の前に現れた。
「何情けない顔をしているのです? お姉様のことを考えているなら、すぐにやめてほしいですわ」
それはネネだった。彼女とは昨日の事もあって、二度と話せないのではないかと思っていたが、彼女の方から話しかけてくるとは予想外だった。
「何だよネネ、帰ったんじゃなかったのか?」
「帰れと言われて帰らないのがこの私。あなたとは今一度話をしておかなければならないと思ったのです」
「話?」
勝手に隣に座るネネ。そして彼女はそのまま、話を始めた。
「先日、あなたはあの忍から私の秘密を聞こうとしましたわね。あれの理由を教えてほしいのです」
「理由って言われてもな。単純にお前が何故徳川軍に狙われたのか、それだけが気になっただけだよ」
「確かに私が不覚を取って、迷惑をかけたのはお詫びいたしますわ。でもそれとこれとは、訳が違うと私は思いますわよ」
「違くはないだろ。現にボクっ娘はお前には重大な秘密があるから、狙ったって言ってたし、それを教えてくれようともした。だからそれが原因だと考えたって、おかしな話じゃないだろ」
「確かにそうかもしれませんわ。しかしそれを知った所で、あなたには何の意味もなさないはず」
「俺個人では意味がないかもな。だが、これが織田軍として考えたらどうなる? お前はこの前と同じようにまた捕まって、俺達が助ければいいのか? それだったら、予め理由を知っておいて、お前の守備も固めておいた方が楽だろ?」
「それは確かに、そうかもしれませんわ」
最もらしい理由を並べて、何とかその道を開いてみる。ヒデヨシ以外にほとんど心を開かないネネの秘密を聞くのは、今しかないと思った俺は、迷わず彼女に尋ねた。
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