魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第57陣男と女の戦い
相手の方の動きがあるまではしばらくは様子見という事になり、今回の件は確信的な事が起きるまでは誰にも話さないと約束した。
「それにヒスイ様はもうすぐミツヒデとの決闘じゃないですか。少し休まれた方がいいですよ。まあ私も料理対決がありますけど」
だかそれよりも先に俺達にはやる事があった。俺はミツヒデとの決闘、ノブナガさんはヒデヨシとの料理対決。どちらも譲れない戦いであるので、気を引き締めなければならなかった。
そしてあっという間に迎えた約束の日。俺はミツヒデと共に最初に俺が試験させられたあの闘技場へとやって来ていた。
「よく逃げないで来たなヒスイ」
「変に誤解されるよりはマシだと思ってな。それにそっちが本気だというなら、俺だって容赦しない」
「そうか」
そう言うとミツヒデは普段から使っている二刀流の小刀を手に持つ。俺は鞘から太刀を抜いた
「じゃあ行くぞ、ミツヒデ」
「来い!」
決闘開始の合図と共に俺逹は間合いを一気に詰め、そして刃を重ねた。
「何だ魔法を使うと思ったのだが」
「最初はお手並み拝見って事で、使わないんだよ!」
つばぜり合いから次の攻撃に投じたのは俺だった。二つの剣を受け止めた状態から、前に押し出し敵との距離を開ける。そしてそこから低く横薙ぎをする。
「甘い!」
だがミツヒデはそれを寸前の所で飛んで交わす。だが俺もそれは予測済み。太刀を左手に持ち替えた俺は、降りてきた彼女の脇腹を目掛けて一閃。
「くっ」
それでも彼女はそれを小刀で受けきり、俺を弾き飛ばす。態勢を崩した俺は、咄嗟に身を守る為の軽い火の魔法を発動させる。直撃とまではいかなかったが、それによってミツヒデの次の一撃を避けられた。
「やっと使ったな、魔法」
「こっちも本気だからな」
お互い再び構え直す。さあ、戦いはまだこれからだ。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
一方その頃、
「約束通り来ましたねヒデヨシさん」
「私も負けられないプライドがあるんですよ、ノブナガ様」
もう一つの戦いが、調理場で繰り広げられようとしていた。
「恐らく今ヒスイ様とミツヒデの戦いが繰り広げられている頃ですから、私達も早速始めましょうか」
「はい」
あらかたの準備は事前に終わらせてある二人は、早速作業に取り掛かる。
(私達の場合は戦いというよりは、ただの料理自慢な気がしますけど)
調理を始めながらノブナガは思う。果たしてこの対決は自分に、どんな意味をもたらすのだろうかと。突然だったとはいえ、断る事も本来ならできるのではないかと。
(でも断れなかった。私にもブライドがあるから)
ヒデヨシがヒスイに好意を持っているのは分かっている。結婚まで申し込むくらいなのだから、その気持ちは本気なのだろう。
では果たして自分はどうなのだろうか?
「ノブナガ様はどう思っていますか?」
「え? な、何をですか?」
「ヒッシーの事ですよ。誤解だったとはいえ、結婚騒動にまで発展しましたけど、ノブナガ様の気持ちはどうなのかなって」
唐突な質問をするヒデヨシ。それに対してノブナガは一瞬だけ動揺をしたが、それは何とか隠せた。
「私……ですか? 私は……」
深くは考えた事がなかった。かれこれヒスイとは半年以上同じ時間を共にしている。その中で自分は彼にどんな想いを持っているのか。正直誤解でもあの言葉は嬉しかった。あの瞬間の喜びを言葉に表すとしたら、恐らく自分は……。
「でもヒッシーには届かないのかな、きっと」
ヒデヨシがボソッと呟く。その言葉はどこか寂しさが感じられた。
「どうしてそう思うんですか?」
「ノブナガ様も知っての通り、一度ヒッシーに振られているますし、それにヒッシーはこの世界の人間ではないですから」
「それは確かにそうですけど」
ヒデヨシの言う通り彼と自分達は文字通り住む世界が違う。彼には帰るべき場所がある。好きな人も……いるのかもしれない。それに彼もいつかは帰る時が来る。そう遠くない未来にきっと。
「それでも諦める必要はないんじゃないんですか?」
「え?」
「好きなら好きで、いいと思います。その気持ちは大切ですから」
「ノブナガ様……」
ノブナガの言葉を受けてヒデヨシは、最近モヤモヤしていた気持ちが少しだけ晴れた気がした。
半年間彼と一緒に生活して、一緒に戦って、一緒に和菓子を食べて、色々な事をしてきた。その時間の中で自分の気持ちはより強いものになり、いつか来てしまうであろう別れを考えたくなくなってしまっていた。
だから迷っていた。ずっとこの気持ちを持ち続けていいのかと。
「伝令! 大変ですノブナガ様」
少しだけしんみりした空気で料理が続く中で、突然伝令が入ってきた。
「何かありましたか?」
「ヒスイ様とミツヒデ様が……」
「え?」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「くっそ」
それは突然やってきた。俺逹の戦いを邪魔するかのように。
「かつて勇者を支えた者としてどのくらいの力かと思いましたが、私が本気を出せばこんなものですかね」
「ヒスイ、私も……」
「いやミツヒデ、お前じゃ歯が立たない。俺がなんとかする」
「しかし」
「いいから!」
そいつの名は今川義元、否、つい先日正体が判明したばかりの魔王の娘だった。
「この前は聞きそびれたが、お前の目的はなんだ」
「そんなの決まっているじゃないですか。私の父を倒した者への復讐、そして世界の征服です」
「世界の征服だと」
この世界を征服して何の意味がある。何の因縁もないこの世界を。
「その第一歩としてあなたを倒させてもらいます。魔法使い桜木翡翠!」
ミツヒデとの決闘は、彼女の参戦で思わぬ方向へと動き出していた。
「それにヒスイ様はもうすぐミツヒデとの決闘じゃないですか。少し休まれた方がいいですよ。まあ私も料理対決がありますけど」
だかそれよりも先に俺達にはやる事があった。俺はミツヒデとの決闘、ノブナガさんはヒデヨシとの料理対決。どちらも譲れない戦いであるので、気を引き締めなければならなかった。
そしてあっという間に迎えた約束の日。俺はミツヒデと共に最初に俺が試験させられたあの闘技場へとやって来ていた。
「よく逃げないで来たなヒスイ」
「変に誤解されるよりはマシだと思ってな。それにそっちが本気だというなら、俺だって容赦しない」
「そうか」
そう言うとミツヒデは普段から使っている二刀流の小刀を手に持つ。俺は鞘から太刀を抜いた
「じゃあ行くぞ、ミツヒデ」
「来い!」
決闘開始の合図と共に俺逹は間合いを一気に詰め、そして刃を重ねた。
「何だ魔法を使うと思ったのだが」
「最初はお手並み拝見って事で、使わないんだよ!」
つばぜり合いから次の攻撃に投じたのは俺だった。二つの剣を受け止めた状態から、前に押し出し敵との距離を開ける。そしてそこから低く横薙ぎをする。
「甘い!」
だがミツヒデはそれを寸前の所で飛んで交わす。だが俺もそれは予測済み。太刀を左手に持ち替えた俺は、降りてきた彼女の脇腹を目掛けて一閃。
「くっ」
それでも彼女はそれを小刀で受けきり、俺を弾き飛ばす。態勢を崩した俺は、咄嗟に身を守る為の軽い火の魔法を発動させる。直撃とまではいかなかったが、それによってミツヒデの次の一撃を避けられた。
「やっと使ったな、魔法」
「こっちも本気だからな」
お互い再び構え直す。さあ、戦いはまだこれからだ。
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
一方その頃、
「約束通り来ましたねヒデヨシさん」
「私も負けられないプライドがあるんですよ、ノブナガ様」
もう一つの戦いが、調理場で繰り広げられようとしていた。
「恐らく今ヒスイ様とミツヒデの戦いが繰り広げられている頃ですから、私達も早速始めましょうか」
「はい」
あらかたの準備は事前に終わらせてある二人は、早速作業に取り掛かる。
(私達の場合は戦いというよりは、ただの料理自慢な気がしますけど)
調理を始めながらノブナガは思う。果たしてこの対決は自分に、どんな意味をもたらすのだろうかと。突然だったとはいえ、断る事も本来ならできるのではないかと。
(でも断れなかった。私にもブライドがあるから)
ヒデヨシがヒスイに好意を持っているのは分かっている。結婚まで申し込むくらいなのだから、その気持ちは本気なのだろう。
では果たして自分はどうなのだろうか?
「ノブナガ様はどう思っていますか?」
「え? な、何をですか?」
「ヒッシーの事ですよ。誤解だったとはいえ、結婚騒動にまで発展しましたけど、ノブナガ様の気持ちはどうなのかなって」
唐突な質問をするヒデヨシ。それに対してノブナガは一瞬だけ動揺をしたが、それは何とか隠せた。
「私……ですか? 私は……」
深くは考えた事がなかった。かれこれヒスイとは半年以上同じ時間を共にしている。その中で自分は彼にどんな想いを持っているのか。正直誤解でもあの言葉は嬉しかった。あの瞬間の喜びを言葉に表すとしたら、恐らく自分は……。
「でもヒッシーには届かないのかな、きっと」
ヒデヨシがボソッと呟く。その言葉はどこか寂しさが感じられた。
「どうしてそう思うんですか?」
「ノブナガ様も知っての通り、一度ヒッシーに振られているますし、それにヒッシーはこの世界の人間ではないですから」
「それは確かにそうですけど」
ヒデヨシの言う通り彼と自分達は文字通り住む世界が違う。彼には帰るべき場所がある。好きな人も……いるのかもしれない。それに彼もいつかは帰る時が来る。そう遠くない未来にきっと。
「それでも諦める必要はないんじゃないんですか?」
「え?」
「好きなら好きで、いいと思います。その気持ちは大切ですから」
「ノブナガ様……」
ノブナガの言葉を受けてヒデヨシは、最近モヤモヤしていた気持ちが少しだけ晴れた気がした。
半年間彼と一緒に生活して、一緒に戦って、一緒に和菓子を食べて、色々な事をしてきた。その時間の中で自分の気持ちはより強いものになり、いつか来てしまうであろう別れを考えたくなくなってしまっていた。
だから迷っていた。ずっとこの気持ちを持ち続けていいのかと。
「伝令! 大変ですノブナガ様」
少しだけしんみりした空気で料理が続く中で、突然伝令が入ってきた。
「何かありましたか?」
「ヒスイ様とミツヒデ様が……」
「え?」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
「くっそ」
それは突然やってきた。俺逹の戦いを邪魔するかのように。
「かつて勇者を支えた者としてどのくらいの力かと思いましたが、私が本気を出せばこんなものですかね」
「ヒスイ、私も……」
「いやミツヒデ、お前じゃ歯が立たない。俺がなんとかする」
「しかし」
「いいから!」
そいつの名は今川義元、否、つい先日正体が判明したばかりの魔王の娘だった。
「この前は聞きそびれたが、お前の目的はなんだ」
「そんなの決まっているじゃないですか。私の父を倒した者への復讐、そして世界の征服です」
「世界の征服だと」
この世界を征服して何の意味がある。何の因縁もないこの世界を。
「その第一歩としてあなたを倒させてもらいます。魔法使い桜木翡翠!」
ミツヒデとの決闘は、彼女の参戦で思わぬ方向へと動き出していた。
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