魔法を戦国時代に持ち込んだら何か無双した
第66陣いつか見た星空の下で 後編
俺は高校生のあの夏から今にかけて、沢山の事を学んできた。魔法とかそんな不思議な力だけでなく、もっと大切なもの。
それは仲間。
かつてサクラ達と旅をしてきた時だって、何度挫けそうになったか計り知れない。でもそんな時俺を支えてくれたのは、サクラを始めとする沢山の仲間。そしてここにいる師匠。
別れはすごく辛かったけど、あの時も俺は誓った。いつかまた、会う事を。たとえそれが叶わないものだとしても、それだけは忘れなかった。
それは今だって同じ事だ。ここで死ぬよりはもっと長く生きて、いつかもう一度会えるその時を待つ方がずっといい。だから俺は、そっちの道を選ぶ事にした。
「それがヒスイ様の答えなんですか?」
俺の意志を聞いた上で、ノブナガさんは俺に尋ねた。
「はい。たとえこれから先会えなくても、いつかはきっと会えると信じています俺は。だからこうして師匠と再会もできたんです」
その選んだ道が本当に正しいのか、それは分からない。それでも俺は、自分の選んだ道を貫く。
「私達とヒッシー、もう会えなくなるかもしれないけどいいの?」
「会えなくなるかなんて分からないよヒデヨシ。信じてればきっと、いつかまた会える」
だからその時までは、この世界とはサヨナラする。
「やっぱりヒスイは出会った時から変わってませんね。そういう真っ直ぐなところは好きですよ」
「ありがとうございます師匠」
「い、一応お姉様を助けてもらった恩もありますから、私からも言わせてもらいますけど、必ず帰ってきてくださいよ」
相変わらずツンとした言い方なものの、ネネもしっかりと俺の言葉を聞いてくれたようだ。
(これでいいんだよな)
「あ、もうすっかり夜ですよ。ほら皆さん、空に星が」
ノブナガさんに言われて、空を見上げる。そこには二ヶ月前にも見た星達が、空に点々と輝いていた。
「やっぱり綺麗だね、ヒッシー」
「ああそうだな」
この二ヶ月、本当に色々な事があった。戦国時代にタイムスリップしたと思っていたから、命を張ることばかりだと思っていたけどそれは違う。
時には城下町でスイーツを食べ歩きしたり、
時には誰かと手合わせしたり、
時には喧嘩をしたり、
時には結婚を申し込まれたり。
ノブナガさんやヒデヨシ、ネネやミツヒデ、それにリキュウさん。他にも沢山の武将と出会った。皆女性ばかりだったけど、皆それぞれ独特な性格をしていたし、皆強い人ばかりだった。
「ねえノブナガさん」
「はい?」
「いつかまたここに戻ってきたら、またこうして星空を眺めたいですね」
「そうですね……」
その中でもノブナガさんは誰よりも強くて、そして優しい人だった。本当は沢山感謝したいところだけど、それはまた今度にしよう。
「また見れますよきっと」
◼︎◻︎◼︎◻︎◼︎◻︎
一夜明けて、師匠と共にこの世界から離れるのが三日後と決まり、それまで俺は思い思いの時間を過ごすことになった。
「と言っても、特にやる事がないんですけどね」
「特に何かを持ってきたとかもありませんからね」
残りの三日間どう過ごすかノブナガさんと話し合った結果、こんな結論に至った。
「俺が二人の料理を、ですか?」
「はい。この前の料理対決がなくなってしまったんで。折角ですからヒスイ様も作ってみるのはどうですか?」
ノブナガさんが提案したのは、この前緊急事態が起きたせいでなくなった、ヒデヨシとノブナガさんの料理対決。折角だから俺も参加してみてはとの事だが、俺からも別の提案があった。
「それは構わないんですけど、俺も一つ考えたんですけどいいですか?」
「何ですか?」
「折角の最後の日なんで、料理対決も込めてこんな事をしてみるのはどうですか?」
俺が考えた企画をノブナガさんに話す。
「確かにそれは面白いですけど、ヒスイ様の体の方は大丈夫なんですか?」
「一日くらい本気出しても大丈夫ですよ。それに最後くらい盛大にやりたいじゃないですか」
「分かりました。ただし、無理だけはやめてくださいよ」
「心配しないでください」
「闘技大会、ですか。まあそのレベルのものなら体はもつと思いますけど」
俺が考えたのは、城の近くにあるあの闘技場みたいなところを使った、小さな闘技大会だった。何故これを開催してみたいのかというと、今まで二度ほどノブナガさんと手合わせをしているので、最後にもう一度というのと、
「折角だから師匠も出てくださいよ」
「私もですか?」
折角だから師匠にも出てもらって、楽しんでもらおうという理由だからだ。
「でも私なんか出たら、優勝間違いないかと」
「心配なのはそこですか。でもそうならないかもしれませんよ」
「何故ですか?」
「ノブナガさんも強いですし、俺だってあの時よりも成長していますから」
実は俺が成長した姿も見てもらいたいというのもあったりなかったり。
「なるほどそれは面白いですね。でもやるからには私は本気ですよ」
ニヤリと笑う師匠。彼女はこういう催し物が好きなのは俺は知っていたので、断る事はないと分かっていた。
「俺だって負けられませんからね」
こうして翌日、この世界を去る前日に闘技大会が開かれることになったのであった。
それは仲間。
かつてサクラ達と旅をしてきた時だって、何度挫けそうになったか計り知れない。でもそんな時俺を支えてくれたのは、サクラを始めとする沢山の仲間。そしてここにいる師匠。
別れはすごく辛かったけど、あの時も俺は誓った。いつかまた、会う事を。たとえそれが叶わないものだとしても、それだけは忘れなかった。
それは今だって同じ事だ。ここで死ぬよりはもっと長く生きて、いつかもう一度会えるその時を待つ方がずっといい。だから俺は、そっちの道を選ぶ事にした。
「それがヒスイ様の答えなんですか?」
俺の意志を聞いた上で、ノブナガさんは俺に尋ねた。
「はい。たとえこれから先会えなくても、いつかはきっと会えると信じています俺は。だからこうして師匠と再会もできたんです」
その選んだ道が本当に正しいのか、それは分からない。それでも俺は、自分の選んだ道を貫く。
「私達とヒッシー、もう会えなくなるかもしれないけどいいの?」
「会えなくなるかなんて分からないよヒデヨシ。信じてればきっと、いつかまた会える」
だからその時までは、この世界とはサヨナラする。
「やっぱりヒスイは出会った時から変わってませんね。そういう真っ直ぐなところは好きですよ」
「ありがとうございます師匠」
「い、一応お姉様を助けてもらった恩もありますから、私からも言わせてもらいますけど、必ず帰ってきてくださいよ」
相変わらずツンとした言い方なものの、ネネもしっかりと俺の言葉を聞いてくれたようだ。
(これでいいんだよな)
「あ、もうすっかり夜ですよ。ほら皆さん、空に星が」
ノブナガさんに言われて、空を見上げる。そこには二ヶ月前にも見た星達が、空に点々と輝いていた。
「やっぱり綺麗だね、ヒッシー」
「ああそうだな」
この二ヶ月、本当に色々な事があった。戦国時代にタイムスリップしたと思っていたから、命を張ることばかりだと思っていたけどそれは違う。
時には城下町でスイーツを食べ歩きしたり、
時には誰かと手合わせしたり、
時には喧嘩をしたり、
時には結婚を申し込まれたり。
ノブナガさんやヒデヨシ、ネネやミツヒデ、それにリキュウさん。他にも沢山の武将と出会った。皆女性ばかりだったけど、皆それぞれ独特な性格をしていたし、皆強い人ばかりだった。
「ねえノブナガさん」
「はい?」
「いつかまたここに戻ってきたら、またこうして星空を眺めたいですね」
「そうですね……」
その中でもノブナガさんは誰よりも強くて、そして優しい人だった。本当は沢山感謝したいところだけど、それはまた今度にしよう。
「また見れますよきっと」
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一夜明けて、師匠と共にこの世界から離れるのが三日後と決まり、それまで俺は思い思いの時間を過ごすことになった。
「と言っても、特にやる事がないんですけどね」
「特に何かを持ってきたとかもありませんからね」
残りの三日間どう過ごすかノブナガさんと話し合った結果、こんな結論に至った。
「俺が二人の料理を、ですか?」
「はい。この前の料理対決がなくなってしまったんで。折角ですからヒスイ様も作ってみるのはどうですか?」
ノブナガさんが提案したのは、この前緊急事態が起きたせいでなくなった、ヒデヨシとノブナガさんの料理対決。折角だから俺も参加してみてはとの事だが、俺からも別の提案があった。
「それは構わないんですけど、俺も一つ考えたんですけどいいですか?」
「何ですか?」
「折角の最後の日なんで、料理対決も込めてこんな事をしてみるのはどうですか?」
俺が考えた企画をノブナガさんに話す。
「確かにそれは面白いですけど、ヒスイ様の体の方は大丈夫なんですか?」
「一日くらい本気出しても大丈夫ですよ。それに最後くらい盛大にやりたいじゃないですか」
「分かりました。ただし、無理だけはやめてくださいよ」
「心配しないでください」
「闘技大会、ですか。まあそのレベルのものなら体はもつと思いますけど」
俺が考えたのは、城の近くにあるあの闘技場みたいなところを使った、小さな闘技大会だった。何故これを開催してみたいのかというと、今まで二度ほどノブナガさんと手合わせをしているので、最後にもう一度というのと、
「折角だから師匠も出てくださいよ」
「私もですか?」
折角だから師匠にも出てもらって、楽しんでもらおうという理由だからだ。
「でも私なんか出たら、優勝間違いないかと」
「心配なのはそこですか。でもそうならないかもしれませんよ」
「何故ですか?」
「ノブナガさんも強いですし、俺だってあの時よりも成長していますから」
実は俺が成長した姿も見てもらいたいというのもあったりなかったり。
「なるほどそれは面白いですね。でもやるからには私は本気ですよ」
ニヤリと笑う師匠。彼女はこういう催し物が好きなのは俺は知っていたので、断る事はないと分かっていた。
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