世界最強都市"ヨミ"の魔王

もちあ

第10話 雪斗とこの世界の情報&今後の方針2

 薄暗い洞窟の中で、綺麗な花が一面に咲いている。洞窟内の空中には、大きな石が浮いている。その下に、小さなカプセルが埋まってある。その近くに2人、何か話している。1人は学生服を着ている目つきの悪い男。もう1人は、水色の髪色のロングヘアーの少女が。その男の名を雪斗、その少女の名は【ツキミ】という。将来魔王になる男と、その右腕となる少女だ。
 その2人は小さな箱を手に周りの花を積みだした、それを小さな箱の中に入れていく。いくら入れても溢れる気配はない。
 そんなことができる理由は、この世界にマナという物質があるからだ…雪斗達がここに来て1週間経つ。その間雪斗は、空中に浮いていた、あの石……マナストーンをカプセルの中に入っていた道具で取り、色々な実験をしていた。【ツキミ】によると、このサイズのマナストーンは珍しいらしい。その大きなマナストーンの半分を雪斗の臓器に埋め込む様と、【ツキミ】のロボット化の為にとった。そして、もう半分は、ある道具を作るのに使った。それが、さっきの小さな箱のことである。雪斗の開発能力と、【ツキミ】の情報力を使って魔道具を開発したのだ。魔道具とは、魔法を付与した道具のことである。また、直接マナストーンを埋め込んでも魔道具は作れる。ただし、マナストーンを埋め込んで魔道具を作ろうとすれば、最低でもLv.7以上の魔物のマナストーンが必要だ。『Lv.』とは化の世界で使われている、魔物や冒険者のランクを表している。
 Lv.1で駆け出し級
 Lv.2で初級
 Lv.3で新初級
 Lv.4で中級
 Lv.5で新中級
 Lv.6で上級
 Lv.7で新上級
 Lv.8で極級
 Lv.9で超極級
 Lv.MAXで神

 大体は、Lv.4である。Lv.8にたどり着いた人間は、この500年間のうち2人だけだ……Lv.MAXは、遊び程度で国1つを滅ぼせる力を持った魔物、人間のことだ。

 話を戻す…………

 雪斗達が作った魔道具の名前は、「アイテムボックス」という。このアイテムボックスは、10㎝×10㎝×10㎝の立方体で、その中は亜空間につながっていて、中は10m×10m×10mのの立方体の大きさになっているので、その分好きなだけアイテムを入れられるのだ。雪斗が取ったマナストーンは、空間竜のマナストーンだった。空間竜はこの世界では七竜しちりゅうという竜の一匹らしい。七竜とは、炎竜えんりゅう水竜すいりゅう自然竜しぜんりゅう雷竜らいりゅう神竜しんりゅう時竜ときりゅう空間竜くうかんりゅうの事である。もし、その七匹の内一匹の竜が死ぬと新しい竜がその座を継ぐ。なので、空間竜のマナストーンは、大変貴重で、そのマナストーンを使った魔道具は、空間を自在に操ると呼ばれている。なので、雪斗達はアイテムボックスを作れたのだ。

『雪斗様、この花はどうやら極花ごくばなと呼ばれる花らしいです。この花で作った回復薬は、どんな病気や怪我でも治すそうです』
「おぉ、そうなのかそれならここにあるすべての花を取ろうじゃないか…」

 そして、花を全部積み終わる頃には、この世界に来てから1週間と3日が経っていた。現在雪斗の臓器に空間竜のマナストーンを埋め込んでいる最中である。そしてまた、1週間が経った……

「出来たぁぁぁ!!!」
『おめでとうございます!!』
「あぁ、マナストーンの性質をまだよくわかってなかったから大分手こずってしまった。だがこれで、俺は魔法を使えるし、固有魔法も獲得できた。それと、力がみなぎってくるような感覚がする。筋肉とかも前よりついてるし」

 雪斗が思った通り、空間竜のマナストーンを埋め込んだおかげで、体のほとんどが成長している。
 魔法を使うのに必要なことは、マナと、イメージと、集中力だ。マナを使って魔法を使うので、マナは必須。魔法を発動しようとした時に、イメージが悪かったり、そもそもしていなかったら魔法は発動しない。例えば、コップに水を入れたい時に魔法を使おうとした時、イメージしたのが滝だった場合、水が溢れるどころか家が水浸しになってしまう。もし雨をイメージしたなら、水の量が良くても、コップに水は入らないだろう。ほとんどの人は、魔法に名前を付け、イメージしやすくしている。そして集中力、これが恐らく魔法を使う上で一番難しいことだろう。どれだけ集中すればいいか簡単に言うと、魔法を使いたい場所以外暗闇で見えなくなる位だ。大体、魔法を使うには、1年間イメージをし続け、3年間マナの事を勉強し、5年間集中力を高める。と言われている。しかし雪斗の場合、イメージと集中力は、開発者として鍛えているので問題なく、マナについては【ツキミ】がいるので問題なかった。

 そして、固有魔法とは、人族と獣人族、魚人族以外が持っている、いわばスキル的な奴だ。しかし雪斗の場合、魔物と魔獣、機械族などが持っていると言われているマナストーンを臓器に埋め込んでいるので、固有魔法を使える。もし、ただの人間が、マナストーンを飲んだり、体内に入れようとしたのなら、その人間は暴走を起こし、最終的には、膨大なマナに体が耐えられなくなり破裂するらしい。

 そして魔獣とは、魔物と少し違い、召喚魔法という魔法で呼び出せる魔物のことである。魔獣は基本的に人を襲ったりしないので、よく召喚魔法で呼び出されている。そして魔獣は、強い者の味方という習性があり、常に強い者の味方である。

 この世界の魔法はその魔法の能力で分類されている。

 炎を操る火炎魔法

 水を操る水流魔法

 自然を操る自然魔法

 雷を操る雷流魔法

 神の力を操ると呼ばれている神流魔法

    時を操る時空魔法

 空間を操る空間魔法

 道具に魔法を付与する付与魔法

 物質から武器や道具を作る生成魔法

 物体を分解できる分解魔法

    病気や怪我を治す回復魔法

 魔獣を呼び出せる召喚魔法

 他にもあるが大体こんな感じだ。


 そして1週間後…………

「よっしゃぁぁぁあ!!!ついに『ワープ』を習得したぞぉ!」
『流石雪斗様、この世界に来てたった3週間で上級魔法であるはずの空間魔法ワープを習得するなんて、凄いです!それに簡単な魔法を使えるなんて凄すぎますよ!!!」
「そらそうだ、俺は魔王だからな。炎や水とか大体は操れるようになったしな。まぁでも、『ワープ』を使うには、イメージが無いと行けないから2、3回行ったことのある場所にしか行けないし、いくら中級魔法師より10倍マナが多いと行っても遠すぎたらマナが無くなるからちょっと不便でもあるけどな」

 すでに雪斗は、上級魔法師のマナの数の10倍近くのマナが体内にある。これもあの空間竜のマナストーンのおかげだ。

『とりあえずこれからどうします?花は全部積みましたし、魔法も使えるようになったのでそろそろ外に出ますか?』
「ああそうだな。とりあえずこの洞窟から出よう。でもどうやって出たらいいんだ……」
『ちょっと待ってください……この近くに小さな通路のような穴が地上に繋がってます。その穴を使って外に出ましょう』
「ああそうだな、いくら偽物の臓器だとしてもそろそろ飯が食いたい。第一金がない、“ヨミ”を探すのはその後だな」

 こうして雪斗達はその穴へと向かった。


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