世界最強都市"ヨミ"の魔王

もちあ

第1話 雪斗と【ツキミ】の関係

 
 2100年7月10日  超巨大隕石が地球に衝突し
 た………………





 この世界は、ロボットが街を移動し、車は空を飛び、そして歩道は…………………

 もはや歩道とは言えないだろう。   なぜなら歩道はベルトコンベアのように常に動いているのだから…………


「…………そろそろ夏だな」


    俺、真田雪斗さなだゆきと(16)は、この近未来的な世界の中でも特に優れた開発者だ。
 父は、世界でも有名な、開発グループのリーダーで、叔父は、世界で初めて、"超高性能人工知能 ロボット"(ER)を作った人である。 そしてお母さんは、俺を産んだその一週間後に息を引き取った…。   なので僕にとってのお母さんは、家の掃除や、洗濯をしてくれている、あの家事ロボットのことを言うだろう。そして俺は、中学校から学校に行ってない。お父さん曰く、『お前の実力なら、学校に行かなくていい。そして、その時間を、開発に使え』だそうだ。まぁ、俺も学校はだるかったからいいんだけどな。そんな理由と、両親と祖父を持っていたからか分からないが、俺は友達がいなかった。

   そんな中、俺の孤独を癒すために、作り出したのは、腕時計型うでどけいがた会話専用かいわせんようAI【ツキミ】というものだ。
 これは、腕時計の中にAIを埋め込み、そしてそこから直接脳に信号を送り、会話ができるというものだ。 実際、今、俺の脳からは  【ツキミ】の声が聞こえる。
 【ツキミ】の声は、10代前半の少女のような可愛らしい声だ。もっとも、【ツキミ】の声を決める時に、色々試した結果これに至った。 
 決してこんな趣味があるわけではない…

 しかし、脳内に直接話しかけてくる機能を作るには、ものすごく苦労した。まず、脳に信号を送る途中で、色々な障害物があること。そして、仮に信号を送れたとしても、細かな調整が必要だ。音量、聞こえやすさ、性能の良さ、など…… もし音量が大きければ、普通にうるさいし、聞こえにくかったりする。性能が悪かったりすると、そもそも、会話が成り立たない。

 そして、色々考えた結果、自分の臓器を人工的に作られた偽物の臓器にしてしまおうと考えたのだ。
 しかし、腕から脳へと信号を送るだけだと、そんなことをしなくて良い。 俺が臓器を人工的なものにした理由は、さらなる可能性を見つけたからである。
 それは、もし【ツキミ】が脳に信号を送り、そして、その信号で体が動かせたら…という理由である。
 実際、その人工臓器のおかげで、【ツキミ】は、俺の体を勝手に動かせるようになった。
   そんな理由で、俺の臓器のほとんどは人工的にできた、偽物である。 そして、約1年と3ヶ月かけてやっと完成したのが 

 腕時計型会話専用AI   【ツキミ】  


 もはや、会話どころの問題じゃなくなってきたが、一応、元々の目的は、達成してある。
    しかも【ツキミ】は、俺が思っていた以上の優れものだった。

【ツキミ】には、最新型計算ロボットのデータを入れてあるので、専門家が1時間かけて解くような問題も、【ツキミ】にかかれば、一瞬のうちに終わる。
 なので【ツキミ】は、この世界の約3秒後までは、何が起こるかなどが、予測できるのだ。
 まぁ、俺も計算ができないわけじゃないが、圧倒的に【ツキミ】に任せる方が早いので、いつもは、【ツキミ】に任せてある。
 さらに、もし身の回りに危険(事故など)が近づくと【ツキミ】が察知して、脳に命令を送り、そして、脳が体に命令を出し、強制的に動いてくれる。こんな時には、【ツキミ】に体を動かしていいと許可をしている。 

    日常生活の中では、【ツキミ】にトラブルを察知してもらい、巻き込まれないようにトラブルを避けてきている。
 日常生活の中では、自分で体を動かしている。もし、【ツキミ】にばかり体の操作を任せていれば、きっと自分で動くことを忘れてしまうだろう。と思っているからである。なので、いつもは、俺が体を動かし、【ツキミ】が命令する。といった形になってきている。

 もちろん【ツキミ】にも俺の体を動かすことを忘れられては何かと困るので、夜の1時ごろからの作業は、全て【ツキミ】に任せてある。 俺が朝起きると、そこにロボットが置いてあるという状態だ。
 やはり【ツキミ】は、すごいと思った。

 【ツキミ】に体を動かしてもらっている時の感覚は、それは、なんだか変な感じだ。  自分で動こうとしてないのに、体は動勝手に動いている。  

 そして【ツキミ】が俺の体を乗っ取ることはありえない 。もし、万が一、俺の体を【ツキミ】が乗っ取ろうとしたのならば俺の臓器(偽物)が強制的にそれを阻止するようになってある。 この臓器を作ってくれたのが、俺の父、 
 真田雪正さなだゆきまさである。

 お父さんの技術は俺と同じか、それ以上だ。
 そもそも俺と、お父さんの得意な分野が少し違う。
 俺は、材料からロボットや、AIを、作るのが得意で、
 お父さんは、すでにできているロボットや、AIに知識を与えたり、色々な性能を追加するのが得意である。
 【ツキミ】のAIとしての性能は、お父さんが、絶賛するぐらいなので、【ツキミ】が暴走することは、まずないと思うのだが、まぁ念のためだとゆうことで…………

 結局、一番大事なのは、【ツキミ】との信頼関係を深くすることである。

 まぁ、俺が【ツキミ】を作ってから約1年半位経つのだが、俺と【ツキミ】は、結構いい感じの仲になっていった。
 それもそうかもしれない。

 どちらも同じ体を動かし、常に、会話をしているので、相手の気持ち(雪斗は【ツキミ】の【ツキミ】は雪斗の)がわかるのかもしれない…


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 そして今日、7月3日、自宅でニュースを見ていた時、【ツキミ】と今見ていたテレビの臨時ニュースが同時に俺にある情報をくれた。



「「超巨大隕石が接近しています‼︎‼︎‼︎‼︎」」




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