最も美しい楽器とは……
うつつか夢か……
映画は終わった……しかし、映像の迫力と、圧倒的なスケール……最後のメッセージが、言葉を失った。
親友の秋良との別れを経験した和也が、誘拐されていた秋良の双子の妹や姉を連れ、日本に……秋良の家に戻った。
そして翌年、その秋良の妹と結婚式を挙げたのは、蛍の舞う秋良の故郷。
花嫁と手を繋ぎながら、空を見上げて誓う……。
そこには、日向が子供を抱き、蓮と笑い、ウェインと後半に出た紫が……、
「あっ、発見!絶対捕まえるんだから!」
「鬼みたいに追い掛け回さないんだよ。せっかくの自然なのに」
「違うわよ!かずにーちゃんたちを追い回すパパラッチよ!本当に、幸せな式をしてるのに!ウェイン!今すぐ、ランスロットの格好して!」
「嫌だよ〜。この格好が楽だもん」
「やだぁぁ……湖の騎士が、もう少しで腹巻!冬美叔母さんに甚平用意してもらってて良かった」
嘆く。
「楽な格好がいいんだよ。ねぇ?」
「貴方のオンオフの激しさは酷すぎるわ」
ヴィヴィアン・マーキュリーがセンスのいい夏のワンピースで、幼馴染を睨む。
「でも、あの映画でのランスロットの格好、ここではちょっと似合わないわね」
「でしょ?」
「でも、やめなさいよ。一応常識考えて頂戴」
言い合いをする参列者を見た二人は顔を見合わせ微笑む。
そして、和也が空を見上げ、一言、
「……秋良……俺はここに住んで、お前に蛍を毎年見せてやる。お前の夢をひとつだけ叶えてやるよ」
親友と瓜二つ……三原ノエルが二役を演じている……の恋人を見下ろし、
「悪いな、蛍。新婚旅行とか出来なくて……」
「ううん、いい。蛍はここにいる。和也と一緒に」
手を繋ぎ、蛍の乱舞を見つめていた。
ゆっくりと灯りがともり、主要登場人物の広見涼平と三原ノエル、そしてウェインとヴィヴィアンが登場するとキャァァ!と声が響く。
「あれ〜?ヴィヴィ?今日は端役なのにね?どうしよう?リョウやノエルに……特にリョウが怒るよ」
「怒らないよ。ウェイン。ウェインとヴィヴィに勝とうと思ってないもんね」
「ふふふっ!」
ヴィヴィは笑う。
「最初はウェインにイライラしてたでしょ?リョウ」
「だ、だってさぁぁ、ヴィヴィ!僕は真面目にしてるのに、突然、『あ、エスカルゴ……リョウ食べる?ちなみに、おばあちゃんは怒るよ?』だよ?」
「だって、こんな大きいのだったんだよ!僕は食べないで離すけどね……それにもっとこの国には美味しいものあるもんね」
「……ウェインって、日本料理好きよね」
「うん。ノエルも知ってるだろうけど、母国じゃ、朝はオートミール、昼はフィッシュ&チップスだもん……日本の朝食……涙が出るよ。美味しくて」
うっとりする。
その姿にため息をついたヴィヴィが、持っていた封筒を見せる。
「黙っていたのだけれど、この映画の原作者から、手紙をいただきました。私は日本語が苦手なので、ウェイン、貴方が読みなさい。ランスロット。私の命令よ?」
「王妃様。貴方のお願いならば、全て聞き届けましょう」
王妃グウィネヴィアの言葉に、膝をつき、ヴィヴィアンが差し出す手に口づけをしてみせるランスロットに、会場はきゃぁぁぁ!と歓声が上がる。
そして、受け取った封筒を、立ち上がると広げて読み始める。
「えと、『私、日向糺の拙作を読んでくださった皆様、そして、映画化に尽力してくださった皆様、この場をお借りして御礼申し上げます。そして、今日、この記念試写会にお越し下さってありがとうございます。実は、特別試写会ですので、記念にと思い、一名様に作品の原作本と、出演者の皆様のサインの入ったパンフレットをお贈りしたいと思います。座席番号をお伝えします。……この番号の席の方、お手数ですが、前に出ていただけますか?』いらっしゃいますか?」
不意に視線が集中し、隣の母を見る。
「今の番号は臣くんの席ね。一人で行けるでしょう?」
「う、うん……」
立ち上がり、前に出る。
壇上に上がると、ウェインがマイクを向ける。
「お名前は?」
「一条雅臣です。16歳です」
「わっかっ!でもめちゃ声いい声してる」
涼平が、感心する。
ちなみに涼平もまだ20すぎである。
そしてヴィヴィが23、ウェインは22、ノエルが17歳である。
「はい、雅臣。これが原作本、そして……」
「これが、サイン入りのパンフレットよ。大事にしてくれると嬉しいわ」
ヴィヴィアンはウインクする。
「ありがとうございます。大切にします。そして、今日見た映画の意味を考えて見たいと思います」
ウェインは目を見開き、そしてハグをする。
「ありがとう。愛情のこともこの映画には丁寧に描いてあるけれど、多分君の考えている通りだよ。作者の糺も同じだと思う」
「糺……ペンネームも珍しいペンネームですね。糺なんて滅多に……」
雅臣は呟く。
5年前に別れた姉の名前と同じ……。
と、ヴィヴィアンが、
「今回の、この映画の原作者である日本の作家を紹介します。そして、主人公和也のモデルである私の家族も紹介するわ」
と言い、出てきたのが、手を繋ぎ姿を見せた姉と、隣家の兄、日向。
そして、穏やかな顔をした大柄な青年。
「彼女が作者の日向糺と旦那さん。後ろの彼が、和也のモデルの……」
「清水祐也です」
と3人は頭を下げたのだった。
親友の秋良との別れを経験した和也が、誘拐されていた秋良の双子の妹や姉を連れ、日本に……秋良の家に戻った。
そして翌年、その秋良の妹と結婚式を挙げたのは、蛍の舞う秋良の故郷。
花嫁と手を繋ぎながら、空を見上げて誓う……。
そこには、日向が子供を抱き、蓮と笑い、ウェインと後半に出た紫が……、
「あっ、発見!絶対捕まえるんだから!」
「鬼みたいに追い掛け回さないんだよ。せっかくの自然なのに」
「違うわよ!かずにーちゃんたちを追い回すパパラッチよ!本当に、幸せな式をしてるのに!ウェイン!今すぐ、ランスロットの格好して!」
「嫌だよ〜。この格好が楽だもん」
「やだぁぁ……湖の騎士が、もう少しで腹巻!冬美叔母さんに甚平用意してもらってて良かった」
嘆く。
「楽な格好がいいんだよ。ねぇ?」
「貴方のオンオフの激しさは酷すぎるわ」
ヴィヴィアン・マーキュリーがセンスのいい夏のワンピースで、幼馴染を睨む。
「でも、あの映画でのランスロットの格好、ここではちょっと似合わないわね」
「でしょ?」
「でも、やめなさいよ。一応常識考えて頂戴」
言い合いをする参列者を見た二人は顔を見合わせ微笑む。
そして、和也が空を見上げ、一言、
「……秋良……俺はここに住んで、お前に蛍を毎年見せてやる。お前の夢をひとつだけ叶えてやるよ」
親友と瓜二つ……三原ノエルが二役を演じている……の恋人を見下ろし、
「悪いな、蛍。新婚旅行とか出来なくて……」
「ううん、いい。蛍はここにいる。和也と一緒に」
手を繋ぎ、蛍の乱舞を見つめていた。
ゆっくりと灯りがともり、主要登場人物の広見涼平と三原ノエル、そしてウェインとヴィヴィアンが登場するとキャァァ!と声が響く。
「あれ〜?ヴィヴィ?今日は端役なのにね?どうしよう?リョウやノエルに……特にリョウが怒るよ」
「怒らないよ。ウェイン。ウェインとヴィヴィに勝とうと思ってないもんね」
「ふふふっ!」
ヴィヴィは笑う。
「最初はウェインにイライラしてたでしょ?リョウ」
「だ、だってさぁぁ、ヴィヴィ!僕は真面目にしてるのに、突然、『あ、エスカルゴ……リョウ食べる?ちなみに、おばあちゃんは怒るよ?』だよ?」
「だって、こんな大きいのだったんだよ!僕は食べないで離すけどね……それにもっとこの国には美味しいものあるもんね」
「……ウェインって、日本料理好きよね」
「うん。ノエルも知ってるだろうけど、母国じゃ、朝はオートミール、昼はフィッシュ&チップスだもん……日本の朝食……涙が出るよ。美味しくて」
うっとりする。
その姿にため息をついたヴィヴィが、持っていた封筒を見せる。
「黙っていたのだけれど、この映画の原作者から、手紙をいただきました。私は日本語が苦手なので、ウェイン、貴方が読みなさい。ランスロット。私の命令よ?」
「王妃様。貴方のお願いならば、全て聞き届けましょう」
王妃グウィネヴィアの言葉に、膝をつき、ヴィヴィアンが差し出す手に口づけをしてみせるランスロットに、会場はきゃぁぁぁ!と歓声が上がる。
そして、受け取った封筒を、立ち上がると広げて読み始める。
「えと、『私、日向糺の拙作を読んでくださった皆様、そして、映画化に尽力してくださった皆様、この場をお借りして御礼申し上げます。そして、今日、この記念試写会にお越し下さってありがとうございます。実は、特別試写会ですので、記念にと思い、一名様に作品の原作本と、出演者の皆様のサインの入ったパンフレットをお贈りしたいと思います。座席番号をお伝えします。……この番号の席の方、お手数ですが、前に出ていただけますか?』いらっしゃいますか?」
不意に視線が集中し、隣の母を見る。
「今の番号は臣くんの席ね。一人で行けるでしょう?」
「う、うん……」
立ち上がり、前に出る。
壇上に上がると、ウェインがマイクを向ける。
「お名前は?」
「一条雅臣です。16歳です」
「わっかっ!でもめちゃ声いい声してる」
涼平が、感心する。
ちなみに涼平もまだ20すぎである。
そしてヴィヴィが23、ウェインは22、ノエルが17歳である。
「はい、雅臣。これが原作本、そして……」
「これが、サイン入りのパンフレットよ。大事にしてくれると嬉しいわ」
ヴィヴィアンはウインクする。
「ありがとうございます。大切にします。そして、今日見た映画の意味を考えて見たいと思います」
ウェインは目を見開き、そしてハグをする。
「ありがとう。愛情のこともこの映画には丁寧に描いてあるけれど、多分君の考えている通りだよ。作者の糺も同じだと思う」
「糺……ペンネームも珍しいペンネームですね。糺なんて滅多に……」
雅臣は呟く。
5年前に別れた姉の名前と同じ……。
と、ヴィヴィアンが、
「今回の、この映画の原作者である日本の作家を紹介します。そして、主人公和也のモデルである私の家族も紹介するわ」
と言い、出てきたのが、手を繋ぎ姿を見せた姉と、隣家の兄、日向。
そして、穏やかな顔をした大柄な青年。
「彼女が作者の日向糺と旦那さん。後ろの彼が、和也のモデルの……」
「清水祐也です」
と3人は頭を下げたのだった。
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