最も美しい楽器とは……
少年時代
11歳の時に、7歳年上の姉の糺が駆け落ちし行方不明になった雅臣は、5年が経ち高校に入学した。
その当時実家は金づるである糺が消えたと、連れもどせなどと揉めており、ついでに隣家にも脅しまがいの怒鳴り込みに行った。
隣家も跡取りの日向が行方不明のままだが、日向の母が、脅しに真っ先に立ち直り、
「いい加減にしてくれません?こっちこそ、一人息子があんたがたのせいで行方不明なんですよ!訴えてもいいですよ!うちの息子は17です!息子をかどわかしたのはそっちになりますよ!すぅちゃんを追い詰めたのはあんたがたでしょう!」
と怒鳴りつけた。
そしてギスギスと隣同士過ごしていたものの、ある時一条夫人は夫を叱咤し、高校進学を控えた雅臣のいた隣家に掛け合い、
「うち、子供がそちらのせいでいないので、臣くん養子に下さいな。4年前の脅し、警察に訴えなかったんですからお金は払いませんよ。それに、養子に来たいかは臣くんの意思に任せます。臣くんどうかしら?」
「……親父もお袋も、兄貴たちも、じいちゃんばあちゃんも大嫌いだ!俺は一条のおじさんおばさんの家に行く!」
と、出て行った。
一条家も、一人息子の失踪に、自分たちが如何に日向にもたれかかっていたのか反省し、環境も悪いと、職場の転勤も兼ねて家を売り引っ越しをした。
そして進学した雅臣だったが、ある時義母が、
「臣くん。お母さんと映画の試写会に行かないかしら?それとも彼女さんと行く?」
「母さん。俺、彼女いないってば。もう!」
「うふふ。日向とこんな冗談なんかも言わなかったわ……日向にはひどい母親だったのよね……あ、でも、贖罪とかで臣くんを引き取ったんじゃないのよ!向こうの家が嫌いだったの!」
雅臣は笑う。
「俺も!父さんと母さんの息子でよかった。でも、母さん……いつも定期的に送ってくるお菓子とこれ、何?」
姉が失踪してからしばらくして、雅臣が学校から帰宅するのを見計らい、何度か母は自宅に招き入れ、お茶を出してくれた。
そして、『まつのお』という包み紙の和菓子を箱を開けて食べさせてくれた後、残ったお菓子はパックに、封筒を箱に入れ、
「お菓子は食べなさいね。そして封筒は、家族の人に見せてはダメよ?大事に持っていなさいね」
と念を押した。
それは年に数回贈られ、季節ごとに違うお菓子も入っていた。
養子になってからもお菓子が贈られ、今回のお菓子は義父の分を残して食べ、一緒に入っていた封筒は雅臣に渡された。
実は開封せず、ずっと溜めてしまいこんでいた雅臣は、不思議で仕方がなかったのである。
母、灯里は微笑み、
「開けてごらんなさい。私は知らないのよ」
と言われて開けてみると、帯のついた一万円の札束が一つ入っており、唖然とする。
「こ、これ……」
「持っておきなさいな。季節外れのサンタさんでしょう?それよりも臣くん。試写会なのだけど、ほら!凄いのよ!」
パンフレットには、長身で爽やか系の新人俳優の広見涼平と、映画をあまり知らない雅臣でも知っている……。
「はぁ?あの、ガウェイン・ルーサー・ウェインとヴィヴィアン・マーキュリーが、本人役で出演?それに、あのハーフの三原ノエルが出てる」
三原ノエルは金髪で栗色の瞳のハーフアイドルで、可愛いと評判である。
「舞台挨拶にこの4人出たら凄いなぁ……」
と、当日母とともに映画を見に行ったのだが、内容にびっくりした。
主演の広見涼平はごく一般の大学生の山田和也を演じている。
和也は両親と兄、妹二人と生活している。
運動も得意だが、第一外国語にフランス語、第2に中国語と、英語は通訳の資格を持つほどの語学力を有する。
小さい頃からボランティア活動もしていて、将来は学校の先生か語学力を生かして通訳を考えている。
そして、三原ノエルが演じるのは野暮ったいメガネと、長い前髪で顔を隠した片桐秋良。
ノエルは女の子だが、秋良はラフな格好の少年で、少し舌ったらずの喋り方をする。
田舎出身の秋良だが、母親が留学していたのでドイツ語と英語がペラペラで、その代わり運動音痴である。
世話好きで温厚な和也と、少し内気でおっとりとした秋良は仲良くなり、実家から離れた学校のため一人暮らしの秋良を家に連れて帰り、食事を家族と食べて泊まらせたり、秋良は自分の帰省の時に家に招待したり、家族ぐるみの付き合いをするようになった。
二人は同じサークル『読書サークル』に入っていた。
その部活には一年には和也と秋良、二年生には一宮日向と副部長の松井大樹、三年生で部長の一宮蓮がいた。
蓮は唯一の女性部員であり、かなりの変わり者。
その夫で日向は蓮に振り回されつつ、それを矯正したり、蓮の仕事に必要な資料を集めるのと、趣味というか実益……生活費として投資家としての顔も持っている。
大樹は実家が京都の料亭で、趣味は料理に京菓子作りである。
この五人のサークルは、図書館の奥にある小さい関係者以外立ち入り禁止の部屋を図書館長から直々に借り受け、代わりに破損した本の簡単な補修を手伝ったり、表に出していない貴重な本を置いてある別の一室を整理したりすることを頼まれていた。
そして余った時間は宿題をしたり、持ち出し禁止の本を読んだり、日向は読書かネットで投資、一年の二人はドイツ語やイタリア語の書物を読み、通訳なしで会話の勉強をしたり、大樹は趣味の本、そして蓮は必死に、
「いやぁぁ!間に合わないわ!ひゅうちゃーん!あの例の資料〜」
「そこにある」
「わかんないよ〜ひゅうちゃーん。どこ?」
「あぁぁ!だからぐしゃぐしゃにするなと!スゥ!ほら、これ!」
ばらまいた中から出した資料に、
「わーん!ありがとう!ひゅうちゃーん、大好き〜!」
「それは分かってる」
「先輩とひゅう、仲良しやなぁ」
「うるさい。大樹。それより、秋良、そこで寝るな。風邪引くぞ」
シルバーフレームの眼鏡をかけた日向は少し冷たい印象の青年であるが、この様子からはオカンである。
ムニムニ……目をこすり、
「あ、先輩……すみません。眠くなって……」
「目を擦らないほうがいいですよ。秋良くん。はい。今日は転んだんでしょう。無理はダメですよ?」
実はエピローグで、音楽が流れる中、ぼーっと学校まで高校時代に流行した大型の肩掛けバッグをかけた秋良が歩いていて、
「おはよう!」
と、背中を叩いた和也の目の前で顔面から転倒し、病院に運ばれ、鼻骨骨折と診断されたのである。
血まみれの秋良を、軽々とお姫様抱っこして病院に走るシーンもあった。
当然和也も悪気は毛頭なく、真っ青になって病院で震えていた。
「大丈夫です〜。一週間したらギプス取れるので。逆に和也ごめんね。僕がひ弱で……」
秋良は、蓮よりも小さい。
しかも華奢で、メガネが壊れたのでギプス姿だが、メガネを外し、ぼーっと声をかける。
「おい、こら、秋良。それは地球儀だ!俺はこっち!」
「あぁ、道理で大きいし、色が派手だと思った」
「お前のボケはずれすぎじゃ〜!」
「えー?僕、ボケよりもツツジが好きだよ?」
「……」
4人が秋良を無言で見る。
そして、
「アキちゃんは癒しね……それに、料理もできるし、洗濯、掃除、裁縫はお手の物だし、ベランダには多肉植物育てて……」
「スゥにもその何十分かの才能があればよかったのに……」
「ひっどーい!ひゅうちゃん!」
と、夫婦が言い合っていると、図書館の奥のこの部屋の外がざわめき、扉が開いた。
驚いたのはド派手な化粧のタレント……金髪碧眼はカツラでコンタクトという噂で、胸を強調したドレスを着ているが偽物とわかる格好である。
もう一つ驚いたのは、ミニスカだというのに、横向きになり、膝を胸元のあたりまで上げ、ハイヒールで蹴りつけたポーズで、立っている。
後ろではカメラが数台、そしてオロオロと図書館関係者が、
「な、何てことを!兄弟に会うからというので許可を出したのに!ドアを蹴り破るなんて!ここは貴重な書物が!」
「うるさいわよ。オジサン。それよりも、アンジェちゃ〜ん」
ころっと声を変え、猫なで声で呼びかけると、
「うるさい。何しにきたの?帰れ!」
「アンジェちゃん!その顔!誰がしたの!あぁ、メグのアンジェちゃんに。許さないわ!」
「誰がお姉ちゃんのだよ!やめてよね!売れないからって、僕をだしにするな!」
言い返すが、秋良は和也の後ろに逃げ込み、必死に抱きついている。
「向こう行け〜!なんでテレビなんて呼んでんの!出てって!お姉ちゃんのバカ!大嫌いだ!」
「……あの〜秋良、本気で調子悪いんで帰ってくれません?それに、俺たちは『読書サークル』メンバーで、貴方は芸能人でしょうが。秋良は兄弟でも一般人です。おい、あんたたち、許可なくテレビを流すなや!いうことが聞けんのか!このボケが!電源切れ!許可取れ!出て行け!」
和也が怒鳴ると、大樹が、
「あんさんら出てってくらしまへんやろか、迷惑ですわ。それに壊した備品は図書館長からそちらさんに請求書が回りますわ。よろしゅう」
とカメラを取ろうとした和也をかばい、追い払う。
扉を何とか押し込み、振り返った大樹が、
「和也くん。腹がたっても、流しましょうね。アホにはアホの対処の仕方がありますわ」
と答えて、背の高い後輩の背中を叩いたのだった。
その当時実家は金づるである糺が消えたと、連れもどせなどと揉めており、ついでに隣家にも脅しまがいの怒鳴り込みに行った。
隣家も跡取りの日向が行方不明のままだが、日向の母が、脅しに真っ先に立ち直り、
「いい加減にしてくれません?こっちこそ、一人息子があんたがたのせいで行方不明なんですよ!訴えてもいいですよ!うちの息子は17です!息子をかどわかしたのはそっちになりますよ!すぅちゃんを追い詰めたのはあんたがたでしょう!」
と怒鳴りつけた。
そしてギスギスと隣同士過ごしていたものの、ある時一条夫人は夫を叱咤し、高校進学を控えた雅臣のいた隣家に掛け合い、
「うち、子供がそちらのせいでいないので、臣くん養子に下さいな。4年前の脅し、警察に訴えなかったんですからお金は払いませんよ。それに、養子に来たいかは臣くんの意思に任せます。臣くんどうかしら?」
「……親父もお袋も、兄貴たちも、じいちゃんばあちゃんも大嫌いだ!俺は一条のおじさんおばさんの家に行く!」
と、出て行った。
一条家も、一人息子の失踪に、自分たちが如何に日向にもたれかかっていたのか反省し、環境も悪いと、職場の転勤も兼ねて家を売り引っ越しをした。
そして進学した雅臣だったが、ある時義母が、
「臣くん。お母さんと映画の試写会に行かないかしら?それとも彼女さんと行く?」
「母さん。俺、彼女いないってば。もう!」
「うふふ。日向とこんな冗談なんかも言わなかったわ……日向にはひどい母親だったのよね……あ、でも、贖罪とかで臣くんを引き取ったんじゃないのよ!向こうの家が嫌いだったの!」
雅臣は笑う。
「俺も!父さんと母さんの息子でよかった。でも、母さん……いつも定期的に送ってくるお菓子とこれ、何?」
姉が失踪してからしばらくして、雅臣が学校から帰宅するのを見計らい、何度か母は自宅に招き入れ、お茶を出してくれた。
そして、『まつのお』という包み紙の和菓子を箱を開けて食べさせてくれた後、残ったお菓子はパックに、封筒を箱に入れ、
「お菓子は食べなさいね。そして封筒は、家族の人に見せてはダメよ?大事に持っていなさいね」
と念を押した。
それは年に数回贈られ、季節ごとに違うお菓子も入っていた。
養子になってからもお菓子が贈られ、今回のお菓子は義父の分を残して食べ、一緒に入っていた封筒は雅臣に渡された。
実は開封せず、ずっと溜めてしまいこんでいた雅臣は、不思議で仕方がなかったのである。
母、灯里は微笑み、
「開けてごらんなさい。私は知らないのよ」
と言われて開けてみると、帯のついた一万円の札束が一つ入っており、唖然とする。
「こ、これ……」
「持っておきなさいな。季節外れのサンタさんでしょう?それよりも臣くん。試写会なのだけど、ほら!凄いのよ!」
パンフレットには、長身で爽やか系の新人俳優の広見涼平と、映画をあまり知らない雅臣でも知っている……。
「はぁ?あの、ガウェイン・ルーサー・ウェインとヴィヴィアン・マーキュリーが、本人役で出演?それに、あのハーフの三原ノエルが出てる」
三原ノエルは金髪で栗色の瞳のハーフアイドルで、可愛いと評判である。
「舞台挨拶にこの4人出たら凄いなぁ……」
と、当日母とともに映画を見に行ったのだが、内容にびっくりした。
主演の広見涼平はごく一般の大学生の山田和也を演じている。
和也は両親と兄、妹二人と生活している。
運動も得意だが、第一外国語にフランス語、第2に中国語と、英語は通訳の資格を持つほどの語学力を有する。
小さい頃からボランティア活動もしていて、将来は学校の先生か語学力を生かして通訳を考えている。
そして、三原ノエルが演じるのは野暮ったいメガネと、長い前髪で顔を隠した片桐秋良。
ノエルは女の子だが、秋良はラフな格好の少年で、少し舌ったらずの喋り方をする。
田舎出身の秋良だが、母親が留学していたのでドイツ語と英語がペラペラで、その代わり運動音痴である。
世話好きで温厚な和也と、少し内気でおっとりとした秋良は仲良くなり、実家から離れた学校のため一人暮らしの秋良を家に連れて帰り、食事を家族と食べて泊まらせたり、秋良は自分の帰省の時に家に招待したり、家族ぐるみの付き合いをするようになった。
二人は同じサークル『読書サークル』に入っていた。
その部活には一年には和也と秋良、二年生には一宮日向と副部長の松井大樹、三年生で部長の一宮蓮がいた。
蓮は唯一の女性部員であり、かなりの変わり者。
その夫で日向は蓮に振り回されつつ、それを矯正したり、蓮の仕事に必要な資料を集めるのと、趣味というか実益……生活費として投資家としての顔も持っている。
大樹は実家が京都の料亭で、趣味は料理に京菓子作りである。
この五人のサークルは、図書館の奥にある小さい関係者以外立ち入り禁止の部屋を図書館長から直々に借り受け、代わりに破損した本の簡単な補修を手伝ったり、表に出していない貴重な本を置いてある別の一室を整理したりすることを頼まれていた。
そして余った時間は宿題をしたり、持ち出し禁止の本を読んだり、日向は読書かネットで投資、一年の二人はドイツ語やイタリア語の書物を読み、通訳なしで会話の勉強をしたり、大樹は趣味の本、そして蓮は必死に、
「いやぁぁ!間に合わないわ!ひゅうちゃーん!あの例の資料〜」
「そこにある」
「わかんないよ〜ひゅうちゃーん。どこ?」
「あぁぁ!だからぐしゃぐしゃにするなと!スゥ!ほら、これ!」
ばらまいた中から出した資料に、
「わーん!ありがとう!ひゅうちゃーん、大好き〜!」
「それは分かってる」
「先輩とひゅう、仲良しやなぁ」
「うるさい。大樹。それより、秋良、そこで寝るな。風邪引くぞ」
シルバーフレームの眼鏡をかけた日向は少し冷たい印象の青年であるが、この様子からはオカンである。
ムニムニ……目をこすり、
「あ、先輩……すみません。眠くなって……」
「目を擦らないほうがいいですよ。秋良くん。はい。今日は転んだんでしょう。無理はダメですよ?」
実はエピローグで、音楽が流れる中、ぼーっと学校まで高校時代に流行した大型の肩掛けバッグをかけた秋良が歩いていて、
「おはよう!」
と、背中を叩いた和也の目の前で顔面から転倒し、病院に運ばれ、鼻骨骨折と診断されたのである。
血まみれの秋良を、軽々とお姫様抱っこして病院に走るシーンもあった。
当然和也も悪気は毛頭なく、真っ青になって病院で震えていた。
「大丈夫です〜。一週間したらギプス取れるので。逆に和也ごめんね。僕がひ弱で……」
秋良は、蓮よりも小さい。
しかも華奢で、メガネが壊れたのでギプス姿だが、メガネを外し、ぼーっと声をかける。
「おい、こら、秋良。それは地球儀だ!俺はこっち!」
「あぁ、道理で大きいし、色が派手だと思った」
「お前のボケはずれすぎじゃ〜!」
「えー?僕、ボケよりもツツジが好きだよ?」
「……」
4人が秋良を無言で見る。
そして、
「アキちゃんは癒しね……それに、料理もできるし、洗濯、掃除、裁縫はお手の物だし、ベランダには多肉植物育てて……」
「スゥにもその何十分かの才能があればよかったのに……」
「ひっどーい!ひゅうちゃん!」
と、夫婦が言い合っていると、図書館の奥のこの部屋の外がざわめき、扉が開いた。
驚いたのはド派手な化粧のタレント……金髪碧眼はカツラでコンタクトという噂で、胸を強調したドレスを着ているが偽物とわかる格好である。
もう一つ驚いたのは、ミニスカだというのに、横向きになり、膝を胸元のあたりまで上げ、ハイヒールで蹴りつけたポーズで、立っている。
後ろではカメラが数台、そしてオロオロと図書館関係者が、
「な、何てことを!兄弟に会うからというので許可を出したのに!ドアを蹴り破るなんて!ここは貴重な書物が!」
「うるさいわよ。オジサン。それよりも、アンジェちゃ〜ん」
ころっと声を変え、猫なで声で呼びかけると、
「うるさい。何しにきたの?帰れ!」
「アンジェちゃん!その顔!誰がしたの!あぁ、メグのアンジェちゃんに。許さないわ!」
「誰がお姉ちゃんのだよ!やめてよね!売れないからって、僕をだしにするな!」
言い返すが、秋良は和也の後ろに逃げ込み、必死に抱きついている。
「向こう行け〜!なんでテレビなんて呼んでんの!出てって!お姉ちゃんのバカ!大嫌いだ!」
「……あの〜秋良、本気で調子悪いんで帰ってくれません?それに、俺たちは『読書サークル』メンバーで、貴方は芸能人でしょうが。秋良は兄弟でも一般人です。おい、あんたたち、許可なくテレビを流すなや!いうことが聞けんのか!このボケが!電源切れ!許可取れ!出て行け!」
和也が怒鳴ると、大樹が、
「あんさんら出てってくらしまへんやろか、迷惑ですわ。それに壊した備品は図書館長からそちらさんに請求書が回りますわ。よろしゅう」
とカメラを取ろうとした和也をかばい、追い払う。
扉を何とか押し込み、振り返った大樹が、
「和也くん。腹がたっても、流しましょうね。アホにはアホの対処の仕方がありますわ」
と答えて、背の高い後輩の背中を叩いたのだった。
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