妖怪狩人
第4話 9年前の山姥②
里見をはさんで、顔面の化け物と少年が睨み合う。化け物は勢いよく飛び出したので里見とは若干距離がうまれていた。
化け物をよく見てみると、大きな顔面の下に小さな胴体もついていて、その胴体から大きな手と足が飛び出していた。ギョロギョロ動く目と、輪郭の端から端まで届く大きな口が印象的で、シワだらけの顔に白髪で老婆のように見えた。
里見「・・なんなの、こいつ・・?生き物なの・・?」
少年「おいガキ!そんなとこで固まってんなよ!どけ!!」
少年が怒鳴ったが、里見は恐怖で転ぶのがやっとだ。
里見心の声(・・やばい!やばいッ!!動けない!
そもそもこいつらなんなの?あんなキモいヤツ、お兄さんはどーするつもりなの?
・・武器でも隠し持ってるのかな?そういえばさっきから懐に手を入れてるみたいだけど・・・銃!?
テレビドラマで見た【悪魔も殺せるコルトの銃】的なヤツ!?
なんか自信有り気だし、懐に入るサイズってことは、絶対そうだ!コルト的なヤツだ!)
少年がみせる余裕に期待すると、体が動くようになった。里見は一目散に後方へ駆け出した。
が、それが良い合図になってしまい、少年と化け物も飛び出した。結果、驚いた里見は再度転倒。少年の懐に期待し目線をむけた。
(くる!!コルト!!)
少年が取り出したのは、紙!!
里見「ええええッ!?!?」
少年は紙を握りしめ、そのまま化け物の眉間に左ストレートをかました。
里見「素手なのぉーッ!?!?」
強すぎるパンチだったせいか、化け物は光りながら弾け飛んだ。同時に、少年の首筋の入れ墨と握っていた紙も光り輝いていた。
暖かな光を全身にあび、里見は気絶した。
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〜現在〜森原総合病院
里見(あの後だ。目を覚ますと、死ぬ直前とまで言われてた俺の体からは腫瘍がなくなり、薬の副作用すらも消え、健康体になっていたんだ。医者は奇跡だと言っていたがそんなんじゃねぇ。あれは、あの化け物の最期の光による副作用だ!
調べたところ、おそらくあの化け物はこの辺で有名な山姥伝説の山姥という妖怪だ。
結局入れ墨の少年は誰なんだか見当もつかなかったが、妖怪を倒せば、またあの光を浴びられるかもしれない・・・。
しかし入れ墨の少年抜きでどうやって倒す?素手でいけるもんなのか?)
考えながら歩いていると、すでに病院の出入り口付近まで来ていた。自動ドアが空き、外から顔見知りのナースが入って来た。
ナース「あ、里見くんこんにちは。里見君も、いつ見てもイケメンねー!今日はタイプの違うイケメンに連続で会えてラッキーだわぁ!里見くんみたいな爽やか系イケメンもいいけど、さっき会ったワイルド系も素敵よぉ。首筋のタトゥーがちょっと怖いけどそこもまた・・」
里見「首筋のタトゥー!?どんなタトゥーでした!?」
ナース「え?どんなだったかしら、確かぐにゃぐにゃした文字みたいな」
里見「それって・・梵字じゃありませんでしたか?」
ナース「ああ!そんな感じ!里見君の知り合い?出口をでたすぐ近くで、昔の事を聞き込みしてたわよ。」
里見「ありがとう!」
里見は慌てて飛び出していった。
ナース「まさか、イケメン同士でボーイズラブ?」
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