私【悪役令嬢】の婚約者【王子】を目の敵にしているのは私の親友【ヒロイン】です!?

御茅架

【憂鬱な日】

「数日ぶりです、ティアーナ嬢。二人きりで会うことが出来た僕は、なんて幸運なんだ。今日もまた一段と可愛らしいね___」

跪き、輝くほど眩しい笑みで私の手をとり、甘い声でささやくリリスラード王子。
顔がひきつり、王子の手から逃れようとする私。
あぁ、あの時・・・断ればよかった。数分前まで、こんなことになるなんて思ってなかった。




今日はお父様お母様と共に、王子との顔合わせをするために城へ来ていた。毎日仕事で来るお父様と、月に1、2回ほど王妃様とのお茶会に来るお母様は「そんなに緊張しなくても大丈夫よ。固くならない」とニッコリ笑ってる。家を出るまで私が駄々(部屋に引きこもる)をこねた時オロオロしてた人達と別人にしか見えない。

私に余裕なんてあるわけないじゃん。固くなるに決まってるじゃん。だってここ城だよ?今度は国王陛下もいるんだよ?しかも、王子と顔合わせだよ?婚約だよ?
なんて思っても仕方なく、謁見の間に着いてしまった。
ちなみに、リリィには手紙を出しました。今ごろ届いているはずで、読んで、まぁ、慌てふためいているかと。

『ウォーカー侯爵、並びに侯爵夫人、侯爵令嬢。ご到着いたしました』

その言葉と同時に、ドアマンが扉を開ける。
中にいるのは、国王陛下と王妃様そして王子。もちろん、彼らの侍女や従者たちもいる。
最初に声をかけたのは、陛下だった。

「この度は、このような場に呼び出して済まないな。こちらからの申し出だというのに」
「いいえ、陛下。臣下たる、私どもが馳せ参ずるのは当然のことかと」
「いいや、こちらから申し出たのだから__」

ちょっとした挨拶をかわす、陛下とお父様。だけど、いつ終わるのかな?ずっと「いいえ、陛下」「いいや、こちらが」ってやってるんだけど。ちょっと楽しんでない?それに、お母様と王妃様は知らない間に自分たちの世界に入ってるんだけど。
どうしたらいいか分からず、1人でオロオロしていると王子と目が合った。

「(ニコッ)」

うぅぅん?ちょっと待って。王子だよね、目が合ったのは。あれ?表情筋、死んでるんじゃなかったっけ?気圧
この間のお茶会では、どんなに褒められても眉一つ動かさなかった王子が、ただ私と目が合っただけ。それだけで幸せそうに笑った。

「父上、母上。お楽しみの所申し訳ないのですが、そろそろ本題にはいりませんと。ティアーナ嬢が困っております」
「おお、そうだったな。すまないね、ティアーナ嬢。こちらからの申し出だ、こちらから挨拶させよう」

王子の一言で、ここに私が来た目的が始まる。王子が私の前まで来る。

「リリスラード・エルナンと申します。この度は、僕との婚約を受けてくださり、ありがとうございます。これからよろしくお願いします」
「ティアーナ・ウォーカーと申します。こちらこそよろしくお願い致します」

私の前で跪く王子と淑女の礼をする私。そして、当たり前のように私の手を取り、口づけを落とす王子。

「まぁ!我が愚息ながら姫に忠誠を誓う騎士のようだわ!ティアーナ嬢は言わずもがなだけれど!」

王妃様が嬉しそうな声を上げる。
そう、王子の行なった礼は、実際の騎士の礼と少しばかり似ている。跪くまでだが。
実際の騎士の礼は、忠誠を誓う相手の前に跪くこと。さらに剣を差し出し、差し出した剣をもう一度受け取るか相手の用意した剣を受け取ることで主従関係になる。忠誠を誓い、主従の関係になることで、晴れてこの国の騎士となる。
絶対に王家のやらないこと。むしろ、される側がこの礼をしたということに意味がある。婚約の決まった相手にする礼ではないのは確かだ。何故やった。

「さあ、挨拶も終わったことだし、この婚約についての話し合いを侯爵家夫妻としようと思うのだが。ティアーナ嬢、どうだ?リリスラードとともに城の中なり、サロンなりを、見てみるのは」

そう、陛下に提案されてしまっては、断れるわけないでしょう?それに、城の中を見て構わないと、サロンを見てもよいと言われてしまえば見ないわけにはいかない。王子も一緒にというのは解せないけれど、二つ返事で了承した。

「はい。わかりました、陛下」
「そうか。では、リリスラード」
「わかっております。僕がしっかり案内致します。もちろん、エスコートも致します」

「案内だけで結構です」って言えたら、どれだけいいことか。別にエスコートしなくてもいいんだけどなぁ。そう思いながらも、異性に手を出し出されたら、自分の手を重ねるのが淑女というもの。ちょっと躊躇ってしまったけど。
眩しいくらいの笑顔が私に手を差し出してたんだよ。そりゃあ、躊躇うでしょ。しかも、その笑顔がキラキラ過ぎてやばい。そのへんの令嬢だったら、王子の1発KO勝ちレベルだ。

「では、行きましょう」

そのまま、城のサロンへエスコートされる。その間、王子はずっと幸せそうな笑顔だった。

サロンに着いた瞬間、冒頭の台詞に戻る。


「えっと、ありがとうございます?リリスラード様」

とりあえず、何か言わなければと思い咄嗟にお礼を言ってしまった。もちろん、王子の手から逃げようとしながら。しかし、それがいけなかったらしい。さらに嬉しそうな幸せそうな笑顔で、

「リードで構わないよ。でも、ティアーナ嬢にはリリスと呼んでほしいな」

「いや、遠慮します」なんて言えたらいいのに。なんでそんなに笑顔なの!?ちょっと笑顔引っ込ませてくんないかなあ!?それに、そっちから愛称で呼んでほしいって言われたら、こっちも愛称で呼ばれなければいけなくなるでしょ!?
もう、腹を括ってしまうしかない。しょうがない、王子が返事を待ってる。

「わかりました、リリス様。私のことは、ティアで構いません」
「っ!わかった、ティア」

あ、すっごく嬉しそう。何に対して嬉しいかはわからないけど。そのままリリス様は私の手を引き、近くのテーブルまでエスコートし、椅子に座るように促す。そして、私の前に座った。

リリス様はその後、両親が陛下と王妃様と共に「もう、お開きにしようか」と来るまで、ずっと笑顔で私と話をした。と言っても、私はほとんど相槌を打っていただけ。
王妃様とお母様が少女のようにはしゃぎ、
「リードったら、ティアーナ嬢のことホントに好きね」
「えぇ。ティアちゃんも、なんだか表情が朗らかだもの。いい方向に行くといいわね」
と小さくやり取りしていた。聞こえていますからね!

リリス様は少し残念そうな顔をして、
「また来てくれる?」と言われ、
「もちろんです。妃教育もありますので、3日後にまた城に伺います」と答えた。
「じゃあ、その日時間をつくるから、また一緒にお茶しないか?」
あ、断れるわけないことを求められている。でも、今日は思ったよりも楽しかったかもしれない。リリス様の話を聞いてただけだけど。だから、二つ返事で了承した。

そして、笑顔になったリリス様に見送られ、帰路についた。

もう婚約してしまったので、婚約破棄されないようにこれから頑張ります!!






まず謝らせてください!すみませんでした!!
次の話を更新して、さらに次も考えなきゃって思った矢先に、第1次多忙期が来まして。。
やっと、終わりました。やっと、更新しました。約1ヵ月ぶりになってしまいました。
そしてまた、第2次多忙期が来てしまうんです!けど、絶対に更新しますので、見捨てないでください!!
こんなにフォローされるなんて思ってなかったんです!いいねとかコメントとかされると思ってなかったんです!
こんな駄作をフォローして下さり、ありがとーございます!!

今回ティアちゃんめっちゃ内心荒れてます。王子はめっちゃ笑顔です。だんだんキャラ崩壊しかけてきてる気がするという現状。そして、この先の展開がまだ明確になっていないボクの脳内。

自己満足のための作品だったのにフォロワーさんのための作品になっていて、頑張って更新している。



侯爵が公爵になっていました。
正しくは、侯爵です!
月影様、ご指摘ありがとうございました!!

コメント

  • 三日月

    憂鬱な日の衛兵?の呼びかけの侯爵が公爵になっています

    0
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