魔術学園に響かせよ

Raise

6話 学園入学①

今更ながら、学園入学と題しながら入学は少し後になりそうです...(汗)



翌日、朝の日課を終え能力の練習を始めようとしたイドラの元に1人の少年が走ってきた。

「お〜い、イドラ〜」
「おや、クルドじゃないですか。どうしたんですか?こんな時間に。」

この少年はクルド。イドラと同じ13歳にして、赤い髪に見るからに活発そうな見た目は中身そのままである。
ちなみに、能力は筋力強化。
彼に合っていることこの上ない。

「いや、イドラの能力がどういうのか見ておこうと思って。」
「あぁ、なるほど。良いですよ。あ、そうだ。少し手伝ってもらえますか?
「お?良いぜ。」

そういってなぜか格闘のポーズをとるクルド。

「何してるんですか?」
「何って、戦うんじゃないの?」
「違いますよ。能力の確認が終わっていないので手伝って欲しいんですよ。」
「あぁ、なるほど。で、何すれば良いんだ?」
「えっとですね...」

残っていたのは物質中に波を発生させる能力だ。
ただし、これは定常波、つまり一定の形の波しか作れない。具体的には、ピー、という感じの音しか出せない。

とりあえず、昨日の剣のキーンという音の周波数やクルドだけに向けること、音の大きさは剣の音と同じくらい...とイメージを固めて音を発すると、

「うぉ ︎ビックリした!」
「どんな音がしましたか?」
「何つぅか、この、剣を合わせた時みたいな音だったぞ。」

上手くいった様だ。
イドラは思わずガッツポーズをとっていた。

「へぇ〜これがイドラの能力か〜」
「そうですよ。ただ、聞こえる音も変えれるんですよ。」
「マジか!どんなのだ?」
「えっとですね...」
「..........」
「..........」

こうして、午前中はクルドを相手にして色々と試していた。

そして、来る日も来る日も誰かに相手をしてもらいながら特訓を重ねていく...
来る日も来る日も、寝ても覚めても、能力の練習、開発に没頭し半年以上が過ぎた。



ある日、イルトが突然イドラを呼び出しこう言った。

「イドラ、お前も来年で14だ。そこで、学園を受験する気はあるか?」

学園といえばケルト王国内ではケルト王立アカデミー、通称、魔術学園のことを指す。
学園の入学にはその年で14歳になるということが条件としてある。

「学園...ですか。あそこは基本的に貴族やかなり裕福な平民しか行かないと聞いていますが...?」
「何を言う。我が一家も貴族じゃないか。その点については問題ないぞ?実力的にも申し分ない。将来、この地を治める気なら行っておいて損はないぞ。」
「そうですね。色々な人と関わってみるのも良い刺激になるでしょうし。お言葉に甘えさせて頂きます。」
「おう。そうと決まれば受験まであと1ヶ月足らずだ。それまでにもっと実力を付けないとな。」
「はい!」

ちなみに、能力をかなり使いこなせるようになったイドラは能力を様々な方向に発展させ、多少手加減した剣のみの父となら互角に渡り合えるくらいに成長していた。
ただし...

「そういえば、イドラ。お前、魔術についての心得ってあるか?」
「......全然ないですね...。」
「そうだよな...どうするか...」

そう。
名前の通り、魔術学園は魔術がメインなのだ。
それの心得無しに学園に入ろうと言うのだから中々無茶な話なのである。

「まぁ、良いか!お前ならどうにかなるだろう!」
「は、はい...頑張ります...」

親子は2人で乾いた笑いを浮かべていた。
入学する前から不安しか残らない、ずぼらな親子だった

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