序列16位の魔法教師

リン

プレゼンテーション

「総勢32名。お集まりの皆々様、これより授業カリキュラムの変更についての会議を始めたいと思います」

ゼクスのよく通る綺麗な声によって宣言された会議開始。学院の教師達は困惑していた

「なぜ、授業カリキュラムを変更する必要がある?私はあれが最善の物だと聞かされこの学院の教師になったのだが」

教師の1人がそう言うと、各々がそれぞれの意見を言い始める

「僕はあれが最善だとは思ってませんでしたよ。他の国の学院は1年生の最初から魔法を使用した授業をしてます。この学院はなにかと遅い思ってました」

「とはいえ、一度は国に通ったカリキュラムなんだろ?わざわざ変えなくてもいいだろ。この国で魔法を学びたいと思えば我が校しか無いからな」

「ここしか無いのにここのレベルが低いと思われたらそれこそ問題でしょう。カリキュラムの変更は学生の意識向上にもなると思いますよ」

(ほう、流石はご主人様が身を置く学院だけあって人員はそれなりですね。会議始まってそれほど経ってませんが、なかなか白熱した議論を繰り広げている……まぁそろそろですね)

教師達が議論を繰り広げているのを確認し、ゼクスが発言する

「皆様の疑問は当然の事でございます。これより我が主人が今回の件についての説明を致しますのでご静聴ください」

ざわついていた室内が一斉に静まり返る

「お静かにしていただいてありがとうございます。新任のスカル・デスギアです。それでは早速説明します」

何人かの教師は訝しげな表情を浮かべる。スカルを初めて見た教師も少なくない。そのだらしのない見た目や少ない魔力に16位であることに対する疑いを持つ者もいるだろう

「ではこちらのモニターをご覧ください。説明する点は2つ。授業カリキュラムの変更理由、学院のシステムの大幅改革について」

(学院のシステムの改革だと…?私は授業カリキュラムの変更を頼んだはずだが)

エルミシアは少しだけ不安な表情を浮かべた。やはり魔法序列16位、さらにはヴォルガ・クラリスの弟子とはいえ新任教師に任せるべきでは無かったかもしれないと

「まず、授業カリキュラムの変更理由。それはさっきの議論でも出てましたが、この学院のレベルの低下を防ぐためです。我が校は国に1つしか無い魔法師育成機関、そこのレベルが低いとなれば優秀かつ上昇志向のある子供は他国に渡る可能性だってあります。そして我が校の卒業生が軍や研究機関で使えないと言われれば、責任の一端は学院にあるのです」

この事については特に他の教師達に何かを言われることはない。全員スカルの言ってる事が正しい、もしくは一理あると思っているのだろう

「次に学院のシステムの大幅改革。モニターの資料をご覧ください、現在我が校では1クラスにつき30名の4クラス120名で1学年が形成されています。そして4年間で魔法師が最低限必要とされる技能の習得、そして各々の卒業課題をクリアして卒業となります。ですがこれでは優秀な魔法師は育たないと私は思っています」

モニターに表示されていた現在の学院のシステムの資料に大きく赤色のバツが表示される

「私が考えた魔法師育成のプランがこちらになります。まず入学してから2年間であらゆる魔法の基礎を学び、最低限の使用が出来るように育てます。そして3年生からは戦闘科、技術科、競技科の3つから授業を選択出来るようにする事で生徒達が自身の進みたい道の事についてより専門的に学べるようにするのです」

そこまで説明したところで教師の1人が挙手してから口を開く

「そうする事のメリットとデメリットは?現在の学院を変えるというのは大規模な事になる。メリットがデメリットを上回っていないと行動には値しない」

教師の質問は至極真っ当な意見だ。だがスカルはそういった質問が来ることは当然のように予想していた

「ではメリットの説明から、メリットは先程申し上げた通り生徒達に専門的な事も学ばせる事によって卒業後すぐにでもそれぞれの道で通用するような即戦力になることが期待できます。あとは……他国への対抗でしょうか」

「他国への対抗?」

「私は独自の情報網で第五人類国家フィフスが第二の魔法学院を設立するという情報を得ています。フィフスはファーストの立憲君主制と違い絶対君主制ですから王の発言力が強く設立するとなればすぐでしょうけど、ファーストは様々な期間の了承を取らねばならず中々そう簡単にはいきません。故に数ではなく質で補う必要があります」

会議開始直後はこの場にいるほぼ全員が意見を出し合っていたが、もうすでに全員がスカルの話に聞き入っている

「デメリットは私が思う限りでは、在校生のクラス分けをどうするかという問題がある事と科ごとに教員を確保しなければならない事、あとは改革によって教室の変更や設備の追加、整備が必要になるのである程度時間がかかる事……くらいですね」

質問した教師は納得したようで、神妙な面持ちでエルミシアを見る

「……私からも質問だ。具体的なカリキュラムの変更はどうなっている?科を3つに分けるなら3つのカリキュラムが必要になるが?」

「それに関してはこの件について理事長が了承してくれたから考えますよ。もちろん教員を3つに分けてからそれぞれのメンバーと要相談ですが」

(…………どうやら、こいつに頼んだのは正解だったようだ)

エルミシアは立ち上がり、高らかに宣言する

「スカル・デスギアの案を採用する。すべての教員は私とスカルの指示に従い新体制を迎える準備に取りかかれ、以上解散!」

これが世界で最初の魔法学院における専門科の設立である





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