Traveる
5-5 突然の転移
「アオイちゃん!他にやった方がいいことってある?」
サヨリとハルカが演説をしている時でも、穂乃香は皆の看病をしていた。
「落ち着け、お前があたふたした所でどうにかなる域を超えている」
「でも……」
「お前の看病のおかげで皆回復の方向へ向かっている。だから安心しろ」
「……」
と言われてもじっとしてなんて居られなかった。
「そうだ。氷、……氷変えなくちゃ」
慌てて、まるで逃げるかのように行動に移そうとする穂乃香。しかし
「まて」
それはアオイの一言に遮られて止まる。
「え?」
「あとは俺様がやる」
「でも……」
穂乃香が続きを言おうとしたがそれを遮るように手を翳しながらアオイは続けて話す。
「お前にはやってもらわなきゃいけないことがある」
「?」
穂乃香は、何か訪ねようとした次の瞬間にはもう先程とは違う場所に立っていた。
「え?ええっ?」
急な出来事に戸惑う穂乃香。しかし何となく想像はつく。恐らくアオイの魔法で、どこかへ転移されたのだろう。
「……ここは?」
ずっと広がる綺麗で美しい廊下だった。途中にドアすら見当たらない。本当にただの一本道の廊下だった。
「やっほー穂乃香!」
穂乃香があたふたとしていると、後ろから見知った声が聞こえてきた。
「ハ……ハルカちゃ……え?どうしたの?その服……」
その声の主は確かにハルカだった。しかしあからさまに服がおかしい。いつもなら動きやすさ重視の軽装備に工具を沢山付けたような見た目なのに対し、今は綺麗なドレスに身を包んでいる。言ってしまえば似合わない。
「確かに……この服ゴワゴワしてて動きにくいから嫌いなのよねー」
なんて言いながらいかにも値の張りそうなドレスをバンバンと叩く。と、そこでようやく穂乃香は思い出す。
「あ、そっか。ハルカちゃんってお姫様……だったっけ」
「え?そこ???」
「ふふっ、やっぱりハルカはお姫様って柄じゃないよね!」
ハルカの後ろから新たなる人物が現れてそう言った。聞きなれない声に誰だろうとよく見てみると、その人はハルカの姉であり、王国の第一王女であるサヨリだった。
「……!?」
そして、そのサヨリを見た瞬間穂乃香は息を呑んだ。サラサラで美しいピンク色の髪に、誰もを暖かく包み込むかのような優しい目、品のある美しい声。最初に会った時とはまるで別人のようだった。
「貴方が穂乃香さんね。その節はごめんなさいっ。それから私達の看病、本当にありがとう!!」
穂乃香はあまりにも美しい謝罪と謝礼を受け、目が暗みそうになる。ハロー効果とか関係なく本当に背後から光が刺してきているような感覚がした。
「い、いえ……私は……別に……」
穂乃香は一応看病でサヨリを見てきたが、意識がある状態では初対面だった。実際に話してみて、溢れんばかりのカリスマ性の衝撃が強すぎて倒れそうになる。
「それで、穂乃香はなんでここに居るの?まさかさっきの演説聞いてた?!」
「え?ハルカちゃん演説なんかしてたの?」
言ってから穂乃香はハルカがお姫様だったことを再び思い出す。
「お姉ちゃんが元気になったからね。それで、これから街に直接乗り出して国民に挨拶しにがてら散歩に行く所よ」
穂乃香的には以外に思えた。お姫様というと基本お城での生活が主で、外に出ることなど行事の時だけだと思っていた。
「穂乃香は?」
「私は皆の看病しようと思ったらいきなりアオイちゃんの魔法でここに飛ばされて……」
穂乃香は自分が何故ここに立っているかも分からなかった。少しくらい説明してから飛ばしてくれても、と思ったが言っても仕方がない。しかし、ハルカは何となく理由を察したのか数回頷く。
「それじゃあさ!一緒に散歩しに行こうよ!」
「え?散歩……でも……」
続きを言おうと思ったが、その前にハルカが手を引いてくる。
「いいじゃん!穂乃香はこの国を実際に歩いたことまだないでしょ?すっごくいい所だから穂乃香にも見て回って欲しいな。なんだって私の自慢のお姉ちゃんが統治してる国だからね」
べた褒めされてサヨリが少し照れる。
「私も貴方に来て欲しいな。貴方とももっといろいろ話してみたいって思ってたし」
二人に言い寄られて、完全に逃げ場を失ってしまった。正直穂乃香としても一度見て回りたいなっとは思っていたので嫌という訳ではなかったのだが……
「それじゃあ私は着替えてくるからちょっと待っててねー!!」
有無を言わさずハルカは走り去ってしまう。
サヨリとハルカが演説をしている時でも、穂乃香は皆の看病をしていた。
「落ち着け、お前があたふたした所でどうにかなる域を超えている」
「でも……」
「お前の看病のおかげで皆回復の方向へ向かっている。だから安心しろ」
「……」
と言われてもじっとしてなんて居られなかった。
「そうだ。氷、……氷変えなくちゃ」
慌てて、まるで逃げるかのように行動に移そうとする穂乃香。しかし
「まて」
それはアオイの一言に遮られて止まる。
「え?」
「あとは俺様がやる」
「でも……」
穂乃香が続きを言おうとしたがそれを遮るように手を翳しながらアオイは続けて話す。
「お前にはやってもらわなきゃいけないことがある」
「?」
穂乃香は、何か訪ねようとした次の瞬間にはもう先程とは違う場所に立っていた。
「え?ええっ?」
急な出来事に戸惑う穂乃香。しかし何となく想像はつく。恐らくアオイの魔法で、どこかへ転移されたのだろう。
「……ここは?」
ずっと広がる綺麗で美しい廊下だった。途中にドアすら見当たらない。本当にただの一本道の廊下だった。
「やっほー穂乃香!」
穂乃香があたふたとしていると、後ろから見知った声が聞こえてきた。
「ハ……ハルカちゃ……え?どうしたの?その服……」
その声の主は確かにハルカだった。しかしあからさまに服がおかしい。いつもなら動きやすさ重視の軽装備に工具を沢山付けたような見た目なのに対し、今は綺麗なドレスに身を包んでいる。言ってしまえば似合わない。
「確かに……この服ゴワゴワしてて動きにくいから嫌いなのよねー」
なんて言いながらいかにも値の張りそうなドレスをバンバンと叩く。と、そこでようやく穂乃香は思い出す。
「あ、そっか。ハルカちゃんってお姫様……だったっけ」
「え?そこ???」
「ふふっ、やっぱりハルカはお姫様って柄じゃないよね!」
ハルカの後ろから新たなる人物が現れてそう言った。聞きなれない声に誰だろうとよく見てみると、その人はハルカの姉であり、王国の第一王女であるサヨリだった。
「……!?」
そして、そのサヨリを見た瞬間穂乃香は息を呑んだ。サラサラで美しいピンク色の髪に、誰もを暖かく包み込むかのような優しい目、品のある美しい声。最初に会った時とはまるで別人のようだった。
「貴方が穂乃香さんね。その節はごめんなさいっ。それから私達の看病、本当にありがとう!!」
穂乃香はあまりにも美しい謝罪と謝礼を受け、目が暗みそうになる。ハロー効果とか関係なく本当に背後から光が刺してきているような感覚がした。
「い、いえ……私は……別に……」
穂乃香は一応看病でサヨリを見てきたが、意識がある状態では初対面だった。実際に話してみて、溢れんばかりのカリスマ性の衝撃が強すぎて倒れそうになる。
「それで、穂乃香はなんでここに居るの?まさかさっきの演説聞いてた?!」
「え?ハルカちゃん演説なんかしてたの?」
言ってから穂乃香はハルカがお姫様だったことを再び思い出す。
「お姉ちゃんが元気になったからね。それで、これから街に直接乗り出して国民に挨拶しにがてら散歩に行く所よ」
穂乃香的には以外に思えた。お姫様というと基本お城での生活が主で、外に出ることなど行事の時だけだと思っていた。
「穂乃香は?」
「私は皆の看病しようと思ったらいきなりアオイちゃんの魔法でここに飛ばされて……」
穂乃香は自分が何故ここに立っているかも分からなかった。少しくらい説明してから飛ばしてくれても、と思ったが言っても仕方がない。しかし、ハルカは何となく理由を察したのか数回頷く。
「それじゃあさ!一緒に散歩しに行こうよ!」
「え?散歩……でも……」
続きを言おうと思ったが、その前にハルカが手を引いてくる。
「いいじゃん!穂乃香はこの国を実際に歩いたことまだないでしょ?すっごくいい所だから穂乃香にも見て回って欲しいな。なんだって私の自慢のお姉ちゃんが統治してる国だからね」
べた褒めされてサヨリが少し照れる。
「私も貴方に来て欲しいな。貴方とももっといろいろ話してみたいって思ってたし」
二人に言い寄られて、完全に逃げ場を失ってしまった。正直穂乃香としても一度見て回りたいなっとは思っていたので嫌という訳ではなかったのだが……
「それじゃあ私は着替えてくるからちょっと待っててねー!!」
有無を言わさずハルカは走り去ってしまう。
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