Traveる

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4-4 ハヤトの呪法。ヒナの対策

「エクスダークネスレイ!! 」

 ハヤトがそう唱えると彼の背後から二本の黒く禍々しい光線が放たれる。

「……っ!!氷のダイアクリスタルナイフ

 その攻撃をヒナが氷の刃で受け止め、ハルカを守る。

「っごめんヒナ。もしかして私邪魔?」
「いや、私的にはいてくれてありがたいかな?その分享介が心配だけどね」

 そんな小言を挟みつつ戦闘を続ける。敵の光線攻撃はなんとか切り裂ける。このまま戦闘が長引けば二人いるこちらが体力的に有利だ。

「ふるわぁっ!!」

 そう思ったのは相手も同じだったのか、手を変えてくる。魔法力を大量に投げつけ、攻撃してきた。辺りに爆発が多数、立て続けに起こる。

「くっ、あいつ魔法の威力を抑えて数で勝負してきた……っ!!」
「それでも一つ一つが特大魔法級の威力よ」
「それならっ!」

 攻撃をガードしながら必死に戦況を分析する。

「ん?」

 そこでハヤトがなにか違和感を覚える。

(攻撃が当たっている感覚がしない……逃げられたかっ!?)

 思った直後に咄嗟に上をむく。見るとそこにヒナの姿があった。

「馬鹿め、空中なら避けようがない!エクスダークネスレイ!」

 二本の光線がヒナを貫く。しかしそのヒナは攻撃が当たると同時に水のように溶けてしまう。

(まさか偽物?!)

 その答えにたどり着いた時にはもうヒナとハルカがハヤトの懐に潜り込んでいた。

「てやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 背後から思いっきり石の剣で攻撃する。一応王族なので殺さないように刃のない平らなところでぶっ叩く。そして怯んだスキをつき、ヒナがすかさず攻撃をする。

「チェックメイト。氷像化団長への罰!!」

 ヒナはよくハルカを氷漬けにする魔法を使い、動けなくする作戦を取ろうとした。

(これだけ隙があれば氷像にできる!!これで全部解決……)

 ヒナは完全にそう踏んでおり、これで終わりともう安心していた。しかし、この氷像化団長への罰は何者かの攻撃により防がれる。防ぎ方は至って普通。何者かが、背後からヒナをビンタでぶっ飛ばしたのだった。

「っヒナ!」

 慌ててハルカがヒナに駆け寄る。見ると叩かれたところが赤く腫れ上がっていた。

(そんな……ヒナをあんな無造作な攻撃でこんなダメージを与えるなんて……一体誰が)

 その事実を確認するためにハルカと傷ついたヒナは叩いた人物を見上げる。

「元々お前らに対してこいつをぶつける予定だったし、今思えば出し惜しみする必要なんてなかったな」

 その姿は余りにも優雅だった。綺麗なエメラルドグリーンの髪はたとえ手入れされていなかったとしても充分に綺麗だった。

「あ……ああっ……あああっ」

 信じたくなかった。こんな現実が目の前に立ち塞がるなど。しかしハヤトの一言で全てが現実だとしる。

「お前は命の恩人に手を下すことができるか?」

 その人物はサアヤだった。

「さ……あや……?」

 懐かしのその姿に少しヒナが目を潤ませる。だがヒナが目線を向けるサアヤは二年前とは全然違う。魔法の暴走により帯電した魔力が全身を蝕んでいるような……どこか寂しげな表情をしていた。

「サアヤっ!!」

 そして思いっきり抱きつこうとして飛び出す。しかしそのヒナをサアヤは思いっきり殴った。

「っ……!?」

 紙一重の所でその攻撃を避ける。

「サアヤ……?どうしちゃったの?私だよっ!ヒナだよっ!!」

 しかしその叫びはあまり・・・伝わらない。

「無駄だ。こいつにもサヨねぇと同じく魔素の災薬を服用させている。もう僕の命令しか受け付けない忠実な下僕だ。さぁ!邪魔者を消せ!」
「っ……!?」

 そうハヤトが言うとサヨリは腰に付けていた剣を鞘から抜く。そして何も言わずにヒナを切りつけようとする。

「サアヤっ……!サアヤっ!!私だよっ!ねぇ!気づいてよっ!!ねぇってばっ!!」

 サヨリの攻撃を避けながらもなんとかそう訴えかける。しかし攻撃は弱まらない。

「ははっ奴にサアヤは倒せない。そりゃそうだよなァ!?」

 言いながらハヤトはハルカに斬り掛かる。

「ぐっ……」
「これでお前を倒せば反逆者は全て消える。残っている二人も魔人やサヨリを相手にして疲れきったあとなら僕でも倒せる!さぁ!!どうする?ここで死ぬか?それとも泣いて謝るかァ!?」

 ハルカが剣圧に押される。パワーでハヤトに勝てるわけがない。

(ヒナもこのままじゃ……アツシもあの量だと……享介も友恵も心配だし……まだ早かったかっ!?)

 そんな予感がハルカを襲う。しかし今更引き返すことは出来ない。

(ヒナ……っ!落ち着いてっ!!絶対になんとかなるはずだからっ!!)

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