Traveる
4-1 王国侵入
天空城はものの三十分ほどで王国の上空へとたどり着いた。どうやら緊急事態ということで周りの目も気にせず全力疾走したらしい。まぁ今までは王国に見つからないためにゆっくり動いていたが、今は追いかける番だ。ゆっくりなどしていられない。
「着いたぞ!お前ら降ろすから、忘れ物はねぇな」
享介、ハルカ、ヒナ、そして友恵がリビングに並ぶ。
「俺様もできる限り援護はするつもりだがもし危なくなったら何がなんでも引けよ。この城に転移させることも出来るからな」
恐らく敵はこの気に全力でこちらを倒しに来るだろう。それを迎え撃たなければならない。
「皆、行くわよ。穂乃香を取り戻して……王国も取り返す!!」
そういって円陣を組み、意識を高める。
「それじゃあ城の前に飛ばすからな!!上手くやれよ!!」
アオイがそういった次の瞬間俺たちは城の門の前にいた。ここが王室へ一番早くたどり着ける転移先らしく1歩でも進めば城内に入れる。
「よし、行くわよ」
ハルカの掛け声とともに皆が走り出そうとしていた。しかし
「まちな……」
背後から声が聞こえる。よく見知った声、サヨリだ。その背後には数千、いや数万もの兵士がズラっと並んでいる。
「王国に反逆した者は妹でも容赦はしない。皆、心苦しいけどやりましょう」
どうやら一般の兵士の前では以前のような優しい素振りを見せている。とてもハルカが話し合いで解決するのは難しそうだ。
「仕方が無いですね。私が足止めをしましょう」
その数万といる兵士にむかって、皆を守るように友恵が立ち塞がった。
「こんなに人数がいるなんて……正直予想外ね。ヒナ、こっちに回ってくれる?」
「いえ、その必要はありません」
ハルカの助言に友恵が手を塞ぐ。
「私一人で充分です。皆さんは早く穂乃香の所へ」
前を向きながらそう伝えてくる。ハルカは少し考えたが、友恵の意見を尊重することにした。
「……分かったわ。背中は預けるね」
ハルカがそういって享介達は城内へ走る。
「あの……団長さん」
しかしそこで友恵がハルカを呼び止める。
「何?」
「あの……本当に殺さなくてもいいんですよね」
その友恵の言葉にハルカはどこかホッとしたような笑みで頷いてくる。
「当たり前でしょ。目の前にいるのは皆私の大切な人なんだから」
そうハルカが言うと少し目を潤ませながら友恵が頷く。もう友恵は振り返らない。
「そうですよね」
少し微笑んでからヒヒイロカネを装備し、相見える敵を睨む。
「はぁ?私一人で充分ねぇ……あんた、この国舐めてる?私とこの数万の兵士を一人で抑えられるわけないじゃない。馬鹿なの?そんなふうに育てた覚えはないんだけど」
サヨリが煽るが友恵は全く動じない。
「舐めてるのはあなたの方ですよ。結局あの時私は救われてなどいなかった。本当の救いをくれた穂乃香を助けるためならなんだってする……」
「はっ?ろくに殺すことも出来ないあんたが何を……。皆、かかりなさい!」
サヨリがそう命令すると一気に十人もの兵士が突っ込んでくる。皆、隙のない完璧な動きだった。しかし
「ぬるいですね」
ヒヒイロカネを昆のような長い棒に変身させ、兵士全員をなぎ倒す。
「……っ!?」
「私は殺すなと言われた方が躊躇いがなくなり、全力が出せます。もう、あなたに飼われていた時の私ではない」
一瞬サヨリがたじろぐがすぐにいつもの調子を取り戻す。
「へぇ。たしかに少しはやるようね。でもこれならどうかしら?」
するとサヨリがポケットから薄い板を取り出す。スマートフォンだ。享介や穂乃香なら分かるが友恵には全く分からない。
「こっちはあんたを飼っていたのよ。暴れられた時の対策なんていくらでも考えてあるわ」
そういってスマートフォンのボタンを押す。すると
「ひーちゃん、ぬいぐるみになって」
「……っ」
その機械から友恵の声が聞こえてきた。それに反応し、ヒヒイロカネがぬいぐるみへと変化してしまう。
「録音……!?」
「はははっ!そうよ。これを流し続ければヒヒイロカネはずっとぬいぐるみのまま。武器さえなければあなたなんてただの雑魚!!さぁ皆やりなさい」
友恵が面倒くさそうにため息を吐いて呟く。
「三十分……ひーちゃん命令を受付ないで」
友恵はヒヒイロカネに頼るのを諦めた。しかし突撃した兵士は皆倒れていく。
「本当にあなたは私を舐めていますね。武器が使えないことくらいでは時間稼ぎにしかなりませんよ」
友恵は襲いかかる兵士を手刀だけで仕留めていた。狙うは首、一瞬で意識を断ち戦闘不能にする。
「なるほどね……確かに気絶させれば殺さずに済む。でも、その強がりがどこまで通用するかな?」
「皆が穂乃香を助けてくれるまでは絶対に諦めない。だから……それまでは、誰一人ここを通さない!!」
「着いたぞ!お前ら降ろすから、忘れ物はねぇな」
享介、ハルカ、ヒナ、そして友恵がリビングに並ぶ。
「俺様もできる限り援護はするつもりだがもし危なくなったら何がなんでも引けよ。この城に転移させることも出来るからな」
恐らく敵はこの気に全力でこちらを倒しに来るだろう。それを迎え撃たなければならない。
「皆、行くわよ。穂乃香を取り戻して……王国も取り返す!!」
そういって円陣を組み、意識を高める。
「それじゃあ城の前に飛ばすからな!!上手くやれよ!!」
アオイがそういった次の瞬間俺たちは城の門の前にいた。ここが王室へ一番早くたどり着ける転移先らしく1歩でも進めば城内に入れる。
「よし、行くわよ」
ハルカの掛け声とともに皆が走り出そうとしていた。しかし
「まちな……」
背後から声が聞こえる。よく見知った声、サヨリだ。その背後には数千、いや数万もの兵士がズラっと並んでいる。
「王国に反逆した者は妹でも容赦はしない。皆、心苦しいけどやりましょう」
どうやら一般の兵士の前では以前のような優しい素振りを見せている。とてもハルカが話し合いで解決するのは難しそうだ。
「仕方が無いですね。私が足止めをしましょう」
その数万といる兵士にむかって、皆を守るように友恵が立ち塞がった。
「こんなに人数がいるなんて……正直予想外ね。ヒナ、こっちに回ってくれる?」
「いえ、その必要はありません」
ハルカの助言に友恵が手を塞ぐ。
「私一人で充分です。皆さんは早く穂乃香の所へ」
前を向きながらそう伝えてくる。ハルカは少し考えたが、友恵の意見を尊重することにした。
「……分かったわ。背中は預けるね」
ハルカがそういって享介達は城内へ走る。
「あの……団長さん」
しかしそこで友恵がハルカを呼び止める。
「何?」
「あの……本当に殺さなくてもいいんですよね」
その友恵の言葉にハルカはどこかホッとしたような笑みで頷いてくる。
「当たり前でしょ。目の前にいるのは皆私の大切な人なんだから」
そうハルカが言うと少し目を潤ませながら友恵が頷く。もう友恵は振り返らない。
「そうですよね」
少し微笑んでからヒヒイロカネを装備し、相見える敵を睨む。
「はぁ?私一人で充分ねぇ……あんた、この国舐めてる?私とこの数万の兵士を一人で抑えられるわけないじゃない。馬鹿なの?そんなふうに育てた覚えはないんだけど」
サヨリが煽るが友恵は全く動じない。
「舐めてるのはあなたの方ですよ。結局あの時私は救われてなどいなかった。本当の救いをくれた穂乃香を助けるためならなんだってする……」
「はっ?ろくに殺すことも出来ないあんたが何を……。皆、かかりなさい!」
サヨリがそう命令すると一気に十人もの兵士が突っ込んでくる。皆、隙のない完璧な動きだった。しかし
「ぬるいですね」
ヒヒイロカネを昆のような長い棒に変身させ、兵士全員をなぎ倒す。
「……っ!?」
「私は殺すなと言われた方が躊躇いがなくなり、全力が出せます。もう、あなたに飼われていた時の私ではない」
一瞬サヨリがたじろぐがすぐにいつもの調子を取り戻す。
「へぇ。たしかに少しはやるようね。でもこれならどうかしら?」
するとサヨリがポケットから薄い板を取り出す。スマートフォンだ。享介や穂乃香なら分かるが友恵には全く分からない。
「こっちはあんたを飼っていたのよ。暴れられた時の対策なんていくらでも考えてあるわ」
そういってスマートフォンのボタンを押す。すると
「ひーちゃん、ぬいぐるみになって」
「……っ」
その機械から友恵の声が聞こえてきた。それに反応し、ヒヒイロカネがぬいぐるみへと変化してしまう。
「録音……!?」
「はははっ!そうよ。これを流し続ければヒヒイロカネはずっとぬいぐるみのまま。武器さえなければあなたなんてただの雑魚!!さぁ皆やりなさい」
友恵が面倒くさそうにため息を吐いて呟く。
「三十分……ひーちゃん命令を受付ないで」
友恵はヒヒイロカネに頼るのを諦めた。しかし突撃した兵士は皆倒れていく。
「本当にあなたは私を舐めていますね。武器が使えないことくらいでは時間稼ぎにしかなりませんよ」
友恵は襲いかかる兵士を手刀だけで仕留めていた。狙うは首、一瞬で意識を断ち戦闘不能にする。
「なるほどね……確かに気絶させれば殺さずに済む。でも、その強がりがどこまで通用するかな?」
「皆が穂乃香を助けてくれるまでは絶対に諦めない。だから……それまでは、誰一人ここを通さない!!」
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