Traveる
3-10 食料難
「それで王国に……」
「そう。それで真っ当な仕事につかないかって王様に言われてねー。盗まれたものを盗み返す、まだ見ぬ秘境の探索、伝説の霊装探しとか……まぁ面倒事を押し付けられた裏の掃除屋のようなものよ」
ヒナと友恵はゆっくりと海岸線を歩いているのでまだ島一周が終わっていなかった。ヒナの回想で城塞王国という単語に友恵が何か違和感を覚えたが気にするのをやめた。
「それで良かったんですか?」
「まぁねー。三人でやったらなんでも楽しかったし、給料高かったし割と自由だったし」
その給料の高さを指で表現してみせる。確かに平均の二、三倍はある。
「そんな順風満帆だった貴方達が別れるなんて一体何が……」
「あの時のサアヤの顔はそれまで何年間も見てきたけど初めてだったなぁ」
「……」
「あ、あれアツシじゃない?もう一周してきたってことかぁ。おーい!帰ってきたよーーっ!!」
見ると、ハルカとハルキが隅っこにうずくまっている。
「団長ー!何かあったの?」
聞くと、なにかおどろおどろしい表情でこっちを見る。生まれたての小鹿みたいで可愛い。
「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆ幽霊ががが……ゆゆゆゆ幽霊がァァァァ」
そのハルカの言葉に過剰に頷くハルキ。
「ええーっそんなの見なかったんだけどー。ねぇ友恵ちゃん」
「そうですね。まぁ私たちは話に夢中でそれどころじゃなかっただけかも知れませんが。そういえば享介と穂乃香は……?」
先に出発したはずの二人の姿が見えない。
「あれ?そういえば見てないような……」
「えっ?貴方達どっかで抜かしてきたんじゃないの?」
全員の頭に遭難の一言が浮かぶ。と、その時
「おーい。今帰ったぞぉぉー」
享介と穂乃香が帰ってきた。なんとなく穂乃香の顔が熱っている気がするが……
「ちょっと!貴方達遅くない?」
ハルカが駆け寄る。
「いやまぁいろいろあって……てかお前らも大丈夫だったのか?なんか慌てて引き返していってたけど」
その言葉にハルカとハルキがドキッと飛び跳ねる。
「そそそそそんな……まさか、幽霊に出くわしたとかなんとかそんなことあるわけないじゃない?」
「……お、おう」
なるほど。この二人も凛の存在を目で見ているということか。てか動揺しすぎだろ。ちなみに今、憑依している凛が体の中で暴れ回っている。ちょっとうざい。
「ま、それぞれ良かったか分からないが、思い出ができてよかったんじゃねーか?それよりハルカ。アオイの助けはまだなのか?」
と、アツシが聞く。思えば鯨の肉も食べ尽くし、木の実も飽きてきた。そろそろ本格的に生活が危うくなってくる。
「そうね。それじゃあ明日は食料探しに当てますか。体力使いそうだし疲れたし、今日は皆早めに寝よう!」
一方その頃、アオイはというと……
「くっそ!あいつらどこ行きやがった」
別に置いていかれて寂しいとかそういう訳では無い……多分。そんなことより、今は皆と合流することが最優先だ。
(まさか王国に見つかったか……)
アオイの魔法空間の三点は空間に三つまで自分だけの目を作り出し、監視をしたりその目の座標に衝撃波を飛ばしたり空間同士を繋げて瞬間移動させたりする能力だ。その魔法を展開していたので友恵とあった事件を知っていたり、ハルカが狩りを怠けて遊んでいたことも分かったのだが、今回だけは見ていられなかった。絶対に羨ましくなって辛いだけだからと……しかしそれが仇となり、皆を見失っていたのだ。
「俺様の目を全部合わせても四人分……それでこの世界全土を虱潰しに探すとかほねがおれるどころじゃねぇぞ……」
しかし、グチグチいっても始まらない。とりあえず王国関連では無いことを確認し、その後いろいろな所を探しまくった。
無人島生活三日目。降りつける太陽の日差しが一段と強い気がするそんな日。
「さて、皆!餓死なんてつまらない死に方をしないように食料を確保するわよ……とりあえず各々結果が出せるようにすること!」
ハルカがそういうが、本人が一番気力がない。声もどこかしら弱々しい。
「まぁうだうだ言っても仕方ねぇか……」
そういってアツシが立ち上がって、どこかへと歩いていく。どこか当てがあるのだろうか。それに続くように皆がバラけていく。
「よし、俺も行くとするか……」
できれば穂乃香ちゃんと一緒に探したかったのだが、気がつけばもうどこかへ行っていた。辛い
「おはよう!享介」
周りに誰もいないことを悟ったのか、憑依している凛がどこからか話しかけてくる。
「食料集めだっけ。私いい所知ってるけど教えてあげよっか?」
「そう。それで真っ当な仕事につかないかって王様に言われてねー。盗まれたものを盗み返す、まだ見ぬ秘境の探索、伝説の霊装探しとか……まぁ面倒事を押し付けられた裏の掃除屋のようなものよ」
ヒナと友恵はゆっくりと海岸線を歩いているのでまだ島一周が終わっていなかった。ヒナの回想で城塞王国という単語に友恵が何か違和感を覚えたが気にするのをやめた。
「それで良かったんですか?」
「まぁねー。三人でやったらなんでも楽しかったし、給料高かったし割と自由だったし」
その給料の高さを指で表現してみせる。確かに平均の二、三倍はある。
「そんな順風満帆だった貴方達が別れるなんて一体何が……」
「あの時のサアヤの顔はそれまで何年間も見てきたけど初めてだったなぁ」
「……」
「あ、あれアツシじゃない?もう一周してきたってことかぁ。おーい!帰ってきたよーーっ!!」
見ると、ハルカとハルキが隅っこにうずくまっている。
「団長ー!何かあったの?」
聞くと、なにかおどろおどろしい表情でこっちを見る。生まれたての小鹿みたいで可愛い。
「ゆゆゆゆゆゆゆゆゆ幽霊ががが……ゆゆゆゆ幽霊がァァァァ」
そのハルカの言葉に過剰に頷くハルキ。
「ええーっそんなの見なかったんだけどー。ねぇ友恵ちゃん」
「そうですね。まぁ私たちは話に夢中でそれどころじゃなかっただけかも知れませんが。そういえば享介と穂乃香は……?」
先に出発したはずの二人の姿が見えない。
「あれ?そういえば見てないような……」
「えっ?貴方達どっかで抜かしてきたんじゃないの?」
全員の頭に遭難の一言が浮かぶ。と、その時
「おーい。今帰ったぞぉぉー」
享介と穂乃香が帰ってきた。なんとなく穂乃香の顔が熱っている気がするが……
「ちょっと!貴方達遅くない?」
ハルカが駆け寄る。
「いやまぁいろいろあって……てかお前らも大丈夫だったのか?なんか慌てて引き返していってたけど」
その言葉にハルカとハルキがドキッと飛び跳ねる。
「そそそそそんな……まさか、幽霊に出くわしたとかなんとかそんなことあるわけないじゃない?」
「……お、おう」
なるほど。この二人も凛の存在を目で見ているということか。てか動揺しすぎだろ。ちなみに今、憑依している凛が体の中で暴れ回っている。ちょっとうざい。
「ま、それぞれ良かったか分からないが、思い出ができてよかったんじゃねーか?それよりハルカ。アオイの助けはまだなのか?」
と、アツシが聞く。思えば鯨の肉も食べ尽くし、木の実も飽きてきた。そろそろ本格的に生活が危うくなってくる。
「そうね。それじゃあ明日は食料探しに当てますか。体力使いそうだし疲れたし、今日は皆早めに寝よう!」
一方その頃、アオイはというと……
「くっそ!あいつらどこ行きやがった」
別に置いていかれて寂しいとかそういう訳では無い……多分。そんなことより、今は皆と合流することが最優先だ。
(まさか王国に見つかったか……)
アオイの魔法空間の三点は空間に三つまで自分だけの目を作り出し、監視をしたりその目の座標に衝撃波を飛ばしたり空間同士を繋げて瞬間移動させたりする能力だ。その魔法を展開していたので友恵とあった事件を知っていたり、ハルカが狩りを怠けて遊んでいたことも分かったのだが、今回だけは見ていられなかった。絶対に羨ましくなって辛いだけだからと……しかしそれが仇となり、皆を見失っていたのだ。
「俺様の目を全部合わせても四人分……それでこの世界全土を虱潰しに探すとかほねがおれるどころじゃねぇぞ……」
しかし、グチグチいっても始まらない。とりあえず王国関連では無いことを確認し、その後いろいろな所を探しまくった。
無人島生活三日目。降りつける太陽の日差しが一段と強い気がするそんな日。
「さて、皆!餓死なんてつまらない死に方をしないように食料を確保するわよ……とりあえず各々結果が出せるようにすること!」
ハルカがそういうが、本人が一番気力がない。声もどこかしら弱々しい。
「まぁうだうだ言っても仕方ねぇか……」
そういってアツシが立ち上がって、どこかへと歩いていく。どこか当てがあるのだろうか。それに続くように皆がバラけていく。
「よし、俺も行くとするか……」
できれば穂乃香ちゃんと一緒に探したかったのだが、気がつけばもうどこかへ行っていた。辛い
「おはよう!享介」
周りに誰もいないことを悟ったのか、憑依している凛がどこからか話しかけてくる。
「食料集めだっけ。私いい所知ってるけど教えてあげよっか?」
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