Traveる
3-6 見知らぬ地で肝試しは危ない⚠
そして、ヒナによって急速に計画された肝試しが始まった。
「まずは私たちからね。正直仕掛け人もいないのに怖い出来事が起こるはずもないんだけど」
そんな余裕の雰囲気を醸し出すハルカ。こういう奴に限って、少し枯れ木を踏んだだけで発狂するものだが……
「いってらぁー」
ヒナが見送る。ハルカとハルキは夜の海岸線を歩いていく。そして十分くらい経っただろうか。
「んじゃ、そろそろ享介達も出発ね」
俺たちの番だ。見ると穂乃香が少し縮こまっている。
「あれ?もしかして穂乃香ちゃん。怖い???」
ヒナが煽る。
「まぁ、何が起こるか分かんねぇしな」
とりあえず享介がフォローを入れる。
「それもそっか。なんかあったらきちんと穂乃香ちゃんを守りなさいよ!」
「分かってるって」
そして二人は夜の海岸線を歩き出す。島を一周といっても、かなり小さな島なので三十分もすれば到着できる。
「……暗いね」
「まぁ、そうだな」
享介的には怖いというよりドキドキの方が強かったりするが……ていうか、これは寧ろ思いを伝えるチャンスなのではないか?友恵には悪いがどこかで先に言わしてもらおう……
十分くらい歩いただろうか。それまでは全く何も起きなかった(告白する勇気もでず……)のだが、そこで突然盛大な叫び声が聞こえてきた。物凄い大声だったので、島全体に響き渡ったのではとも思える。
「ん?今のって……」
「ハルカちゃんとハルキ君だよね」
今までも小さな悲鳴は聞こえてはいたが、ここまでの声は初めてだ。
「何かあったのかな……?」
こんな暗い夜道だ。しかもここは異世界。変な獣が突然襲ってきてもおかしくない。ヒナが全て狩り尽くしたと言っていたが、狩り残りがいてもおかしくない。
「とりあえず、先に進もう。怖くて縮こまっているなら迎えにいかないといけないし」
「そ……そうだね……」
本心では行きたくなさそうな穂乃香。まぁ、怖いものがあると分かっていて行きたい奴なんて変なやつしかいないだろうけど……ヒナとか。しばらく歩いているとこちらに全力で走ってくる人影が二つ見える。
「えっ」
一瞬お化けかと思ったがよく見るとハルカとハルキだった。音を置き去りにしそうなほどの全力疾走だ。
「おい!何かあったん……」
享介が聞こうとしたがそれを無視して走り去ってしまう。
「……ふぁ」
「……なんだったんだろう……どうする?享介君。なんだか怖いし、私たちも引き返す?」
あんなに怖がってる二人を見たら、この先何が待っているか気にもなるが、穂乃香ちゃんが嫌というなら俺も嫌だ。
「そうだな……危険な目にあったらどうにもならないし……って、どうしたんだ?火神さん」
みると、もの恐ろしそうな顔でこちらを指さしている。俺の後ろに何かいるとでも言うのだろうか。しかし俺の後ろは海のはず……。獣も何もいるはずがない。とりあえず、恐る恐る振り返ってみる。すると
「うらめしや」
そこに白く透けた幽霊が漂っていた。
「んぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
その幽霊の一言により、穂乃香は気絶した。とりあえず逃げなければと思った享介は無我夢中で穂乃香を担ぎ、幽霊と逆の方向、森の方へと駆け込む。
(まじやばい。冗談じゃない。半端ないって普通そんなん出来ひんやん!)
極度の驚きにより思考がなまる。
「ばあっ!」
逃げていると木の上から先程の幽霊がまた驚かせてくる。
「にぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
その場で倒れ込んでしまう享介。全身が震えてしまい、うまく立てない。
「あっははははっそんなにビビっちゃって……本当……面白い……」
見ると、幽霊は笑っていた。
「えっ……」
その微笑む姿に、享介は不覚にも少し見とれてしまった。
(この幽霊……どこかしら穂乃香ちゃんに似てる?)
そしてなぜか、享介の中でこの幽霊と穂乃香の雰囲気が被ってしまう。見た感じ年も見た目もそっくりだ。幽霊だけれども……
「突然聞くのもなんですが、貴方達は異世界人ですよね」
「……!?な、何故それを……」
「雰囲気で分かりますよ。本当に……うらめしや……」
「?」
「いえ、恨めしいというより羨ましい……ですね。すみません」
なんだろう。この幽霊は
「申し遅れました。私、この世界で数年前に死んだ、凛……水無瀬凛と申します。貴方達がこの島に来てからずっと監視していました。享介さんと穂乃香さんですよね」
ガチお化けじゃないかっ!……って、あれ?
「苗字……?」
「そうです。……私も異世界人です」
だから穂乃香とどこか似ていると思ったのか……いや、多分違う。
「……少し、お話をしませんか?」
と、幽霊から提案される。出来ることならばお断りしたいが、まだ足が震えていてうまく逃げ切れそうにない。話をするしかないようだ。
「……なんでもいいが、穂乃香ちゃんを傷つけようとしたらいくら幽霊でもぶん殴る……からな!」
幽霊を殴ることなどできないとは思うがそんな、思考は今の享介にはない。
「その人のことがお好きなんですね。分かりました。その条件を受け入れましょう」
「まずは私たちからね。正直仕掛け人もいないのに怖い出来事が起こるはずもないんだけど」
そんな余裕の雰囲気を醸し出すハルカ。こういう奴に限って、少し枯れ木を踏んだだけで発狂するものだが……
「いってらぁー」
ヒナが見送る。ハルカとハルキは夜の海岸線を歩いていく。そして十分くらい経っただろうか。
「んじゃ、そろそろ享介達も出発ね」
俺たちの番だ。見ると穂乃香が少し縮こまっている。
「あれ?もしかして穂乃香ちゃん。怖い???」
ヒナが煽る。
「まぁ、何が起こるか分かんねぇしな」
とりあえず享介がフォローを入れる。
「それもそっか。なんかあったらきちんと穂乃香ちゃんを守りなさいよ!」
「分かってるって」
そして二人は夜の海岸線を歩き出す。島を一周といっても、かなり小さな島なので三十分もすれば到着できる。
「……暗いね」
「まぁ、そうだな」
享介的には怖いというよりドキドキの方が強かったりするが……ていうか、これは寧ろ思いを伝えるチャンスなのではないか?友恵には悪いがどこかで先に言わしてもらおう……
十分くらい歩いただろうか。それまでは全く何も起きなかった(告白する勇気もでず……)のだが、そこで突然盛大な叫び声が聞こえてきた。物凄い大声だったので、島全体に響き渡ったのではとも思える。
「ん?今のって……」
「ハルカちゃんとハルキ君だよね」
今までも小さな悲鳴は聞こえてはいたが、ここまでの声は初めてだ。
「何かあったのかな……?」
こんな暗い夜道だ。しかもここは異世界。変な獣が突然襲ってきてもおかしくない。ヒナが全て狩り尽くしたと言っていたが、狩り残りがいてもおかしくない。
「とりあえず、先に進もう。怖くて縮こまっているなら迎えにいかないといけないし」
「そ……そうだね……」
本心では行きたくなさそうな穂乃香。まぁ、怖いものがあると分かっていて行きたい奴なんて変なやつしかいないだろうけど……ヒナとか。しばらく歩いているとこちらに全力で走ってくる人影が二つ見える。
「えっ」
一瞬お化けかと思ったがよく見るとハルカとハルキだった。音を置き去りにしそうなほどの全力疾走だ。
「おい!何かあったん……」
享介が聞こうとしたがそれを無視して走り去ってしまう。
「……ふぁ」
「……なんだったんだろう……どうする?享介君。なんだか怖いし、私たちも引き返す?」
あんなに怖がってる二人を見たら、この先何が待っているか気にもなるが、穂乃香ちゃんが嫌というなら俺も嫌だ。
「そうだな……危険な目にあったらどうにもならないし……って、どうしたんだ?火神さん」
みると、もの恐ろしそうな顔でこちらを指さしている。俺の後ろに何かいるとでも言うのだろうか。しかし俺の後ろは海のはず……。獣も何もいるはずがない。とりあえず、恐る恐る振り返ってみる。すると
「うらめしや」
そこに白く透けた幽霊が漂っていた。
「んぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
その幽霊の一言により、穂乃香は気絶した。とりあえず逃げなければと思った享介は無我夢中で穂乃香を担ぎ、幽霊と逆の方向、森の方へと駆け込む。
(まじやばい。冗談じゃない。半端ないって普通そんなん出来ひんやん!)
極度の驚きにより思考がなまる。
「ばあっ!」
逃げていると木の上から先程の幽霊がまた驚かせてくる。
「にぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
その場で倒れ込んでしまう享介。全身が震えてしまい、うまく立てない。
「あっははははっそんなにビビっちゃって……本当……面白い……」
見ると、幽霊は笑っていた。
「えっ……」
その微笑む姿に、享介は不覚にも少し見とれてしまった。
(この幽霊……どこかしら穂乃香ちゃんに似てる?)
そしてなぜか、享介の中でこの幽霊と穂乃香の雰囲気が被ってしまう。見た感じ年も見た目もそっくりだ。幽霊だけれども……
「突然聞くのもなんですが、貴方達は異世界人ですよね」
「……!?な、何故それを……」
「雰囲気で分かりますよ。本当に……うらめしや……」
「?」
「いえ、恨めしいというより羨ましい……ですね。すみません」
なんだろう。この幽霊は
「申し遅れました。私、この世界で数年前に死んだ、凛……水無瀬凛と申します。貴方達がこの島に来てからずっと監視していました。享介さんと穂乃香さんですよね」
ガチお化けじゃないかっ!……って、あれ?
「苗字……?」
「そうです。……私も異世界人です」
だから穂乃香とどこか似ていると思ったのか……いや、多分違う。
「……少し、お話をしませんか?」
と、幽霊から提案される。出来ることならばお断りしたいが、まだ足が震えていてうまく逃げ切れそうにない。話をするしかないようだ。
「……なんでもいいが、穂乃香ちゃんを傷つけようとしたらいくら幽霊でもぶん殴る……からな!」
幽霊を殴ることなどできないとは思うがそんな、思考は今の享介にはない。
「その人のことがお好きなんですね。分かりました。その条件を受け入れましょう」
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