Traveる

Nowttel

3-4 そうなんですよ

「はぁ……これからどうしよう」

 海を見つめながらハルカが言う。

「大体どうしてこんなことになったんだって話だよねー」

 今度はヒナの方を見ながら言う。

「いやぁでも団長!!こんな機会滅多にないよ!!前向きに捉えよう!!そうだ。そうしよう!!」

 そんなふうに誤魔化しながら言ってくる。

「……そうね。確かに"無人島に漂流して迷子"なんてそうそうあるわけないわよね」

 そう。俺たちは今見知らぬ無人島にたどり着いていたのだ!!

「まず沖に出てから鯨と戦ったわよね。なんだかんだあんたがぱぱっとやっちゃってたけど」
「そうだね」
「そうだねじゃないでしょ!!どんだけ深い所まで行ってんのよ!!帰ってこれないでしょ!!現に今そうだし!!」
「いや……だって楽しそうだったし……でも、鯨という食料もあるし数時間もすればアオイちゃんが異変に気づいて助けに来てくれるって」

 なんて悲観的な考えなのだろう……

「でも鯨って食べれるんですか?」

 不安そうに穂乃香がアツシに聞く。

「一応食べられるみたいだな」
「ですが、私は哺乳類を食べるというのは共食いをしてる感覚が……私は受け付けません」
「確かに……それにずっと鯨ばかりだと飽きそうですよね。脂っこそうだし」
「そうだな」

 あっちはなんかもう順応しようとしている。怖い。ちなみにハルキは船酔いでぶっ倒れている。

「とりあえず、このまま日に当たり続けるのもしんどいしどこか休める所を探そうぜ」

 とりあえず享介はできることからやっていこうとした。

「そだねー。それじゃ、私はこの島が安全かどうかだけ確認してくるね」
「おっけー任せたっ!」

 そう言い残し、ヒナが走り去っていく。

「それじゃ休めるところね。私とアツシで陽の当たらなそうな洞窟みたいなところを探すから、三人はゆっくり休めるように布団の変わりになる枯れ木を集めておいて」

 流石に腐っても王国の女王なだけある。こんな状況でもそれぞれに的確に命令を出せるのは皆から団長と言われる由縁だろう。

「それじゃあ私たちも動こっか」
「そうですね」
「そうだな」

 穂乃香に呼びかけられ、友恵と享介も作業に移る。とその時

「やっほぉぉぉぉぉぉ探索終わったよー」

 と、全力疾走とともに愉快な叫びが聞こえてきた。ヒナだ。もう島を一周してきたのだろうか。いくらなんでも早すぎる。

「どうだった?ヒナちゃん」

 その穂乃香の問にうーんと考えながらヒナが答える。

「そうだねぇ。とりあえずこの島はそんなに言うほど大きくなかったよ。ただの火山の噴火で出来た島みたい。それに危険な動物とかは狩り倒してきたし!」

 そう言うヒナの手には引きちぎられた動物の返り血などがついている。怖い。

「で?団長達は?」
「休めそうな所を探してるみたいだぜ」
「そっかーそれじゃ、私もそっちを手伝ってくるね。なんかあった時よろしくね友恵!」
「はい」

 水族館で色々あったにもかかわらずここまで会話が円滑にことが進んでいることに驚きを隠せないが、これが穂乃香ちゃんパワーというやつだろう。

「じゃあ、行きましょう」




 三十分くらい経った頃だろうか。色々あったあとなのでもう日も落ちかけている。ハルカたちが手頃な洞窟を見つけ、拠点にしていた。

「割と良物件なんじゃない?」

 場所は少し海から離れており、木々のおかげで潮風も多少防げる洞窟だった。とりあえず享介たちは集めていた枯葉を敷き詰め、布団のようにする。これが割と暖かく、あるとないとでは大きな違いだ。そこに友恵がヒヒイロカネをバナーに変身させ、炎を起こした。ほんと万能だな。一家に一台欲しい。

「とりあえずは安泰というところか……ハルカ。アオイの助けはいつ来る?」
「早ければ今夜……遅くても三日以内には気がつくはずよ」

 アツシの問にハルカが答える。そんな暗い雰囲気を察したのかヒナがみんなに話しかける。

「はいはい。みんなそんな不安そうな顔しない!!」

 だれかが「元はと言えばあんたのせいでしょ」みたいなことを言った気がするが気にしない方向でいこう。

「私ね。この島の探索してる時に天然温泉を見つけたの!!どう?すごいでしょ」

 そういえば火山がどうとか言ってたような……それならば温泉があっても何ら不思議ではない。

「どのくらいの距離?」
「まー歩いてすぐくらいだよ」
「そうね……炎天下で結構作業したし、ずっと水着で過ごしてて少し寒くなってきたし行きましょうか」

 一行に少しだけ活気が戻る。

「それじゃ、男どもは荷物番お願いね。あ、少しでも覗きとか考えたらどうなるか分かってるでしょうね?」

 圧を感じる……。そういえば一番そういうことを起こしそうなハルキがいない。どこへ行ったのだろう。

「それじゃあ後のことはよろしくね」

 それだけ言い残し、ハルカとヒナと穂乃香がその温泉へと歩いていった。ちょうどその頃、

「はぁはぁ……今帰ったぞー」

 どこかへ行っていたハルキが帰ってきた。

「おい。お前酔ってぶっ倒れてたんじゃ……」
「へへっ。じっとしてるなんて性にあわねぇからな。そこら辺を探して、食べれる木の実とか探してきたぞ……」

 様子がおかしいのを察したのかアツシが近寄る。

「おい、そんな無茶すんなって」

 そう言ったが既に倒れて寝てしまっている。こいつもみんなが頑張ってる中自分だけ休んでるのが嫌だったんだろうな。なんだよ、良い奴じゃねぇか。

「でも、みんなが温泉に言ってるなんて知ったら絶対変なことするだろうし、そう考えたら今は寝てもらってるのはいいことかもな」

 とアツシが言った。

「確かにそうかも」

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