Traveる

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3-3 航海の後悔

 一行は二時間ほどビーチバレーを楽しんだ。どうやらヒナは戦いに関してあれだけ動けていたが、スポーツとなると途端に力が弱くなる。恐らく戦い以外はあまり得意ではないんだろうな。料理もできないって回想でいってたし。そんでもってハルカは言うだけあってある程度強かった。といっても本当にある程度だが……そしてその後、一行は海の家で昼食をとり、再び海へと駆け出していった。ちなみに昼飯はしゅわりんソーダ焼きそば。シャワシュワして夢のようにドリーミンな味だった。そしてバシャバシャと海で遊んでいると突然ヒナが変なことを言ってくる。

「ねぇ。この広い海を真っ直ぐ進んだら何があるか確かめてみない?」
「は?」

 訳が分からなく皆が問う。

「だって海ってこんなにでかくて広いんだから宝箱の一つや二つあってもおかしくないと思うんだけど」

 こいつの頭の中はファンタジーなのか?いや、この世界がファンタジーだからそうだと言われたら何も言い返せない。海賊王にでもなりたいのだろうか。

「……なるほど。面白そうなこと言うじゃないヒナ」
「っ団長!!」

 ヒナがハルカに抱きつく。喜びの感情を伝えたいのだろうが密着しすぎて熱そうだ。

「おいおい。そんな自ら危ないとこに行かなくても……」
「よーし!そうと決まれば早速出発しよー!!」

 言うと、氷でできた小型船が出来上がる。そして完全にハルキの言葉がヒナにかき消された。可哀想あまり思ってないけど。

「程々にしとけよ」
「大丈夫。ちょっとだけ沖に出るだけだから」

 アツシの問にハルカが答え、アツシはやれやれといった感じで頭を抱える。




「わぁもう足つかないよ!」

 ヒナが氷の船に手を置きながら海に浸かってバタ足をしている。素人が見ただけでも結構深そうな所まで来ている。本当にこんな船で大丈夫なのか……

「沈まないよね……?」

 なんだかんだで巻き込まれた穂乃香がそんなふうに聞いてくる。

「もしかして泳げないとか?」
「一応泳げないこともないけど……足つかないところで泳いだことがないから……」

 まぁ、普通はそうだよな。

「ちょっとそこ!この私が作った船が簡単に壊れるわけないでしょ?」

 ヒナがそういうが、船というより流氷に帆がついたレベルの船なので本当怖い。

「大丈夫ですよ。いざとなればひーちゃんが船になってくれますから」
「は?何勝手に決めてんだてめぇ」

 ひーちゃんは割と精神不安定すぎるな。どうしてこうなった。

「大丈夫よ。ヒナ!あんたの力はみんな分かってるし、そもそも変な巨大生物でも襲ってでもこない限り沈むことはないでしょ」

 ハルカは安心しきった顔で船で寝転んでいる。が、そのハルカの言葉がそのままフラグになるとは誰も思ってはいなかった。

「……ハルカ!後ろ!」

 異変に気づいた享介が真っ先に告げる。

「へ?後ろ?まさか本当に巨大生物が襲って来ているとでもいうの?(笑)」

 あたりを見てみると気づけばさっきまでいた浜辺が見えない。結構深いところまで来ているからだろうか。

「な……なによみんなして……ほんとにそんなこと……あるわけが……な……」

 ハルカが振り返るとそこには超巨大な鯨がこっちを見つめていた。

「……」
「……」

 ハルカは鯨と数秒見つめあってから己の自体に気づく。

「んぎゃああああああああーっ!!!!」
「みんな!すぐに海に飛び込んでっ!!」

 鯨は大きく口を開いて氷の船を丸ごと飲み込もうとしている。もはや躊躇している暇もない。全員が飛び降りた時にはもう氷の船はバリバリと噛みちぎられていた。

「ひーちゃん!」
「しゃーねぇな」

 友恵が叫ぶと、ヒヒイロカネが戦いに特化した平坦な足場に変化する。

「みなさん!早く乗ってください!!」

 しかし巨大な鯨に追われながらではそう上手くいく訳もない。そんな中でも運動神経の良いアツシがハルキを抱えて足場へと登る。そしてそれに続いてヒナが到着する。

「享介と穂乃香は!?」
「まだどこかに……」

 話し合ったヒナと友恵があたりを確認する。するとハルキが叫ぶ。

「あ!あそこだ!鯨の近く!!」

 みると鯨に食べられかけている。

「ひーちゃん!!二人を」

 友恵が叫ぶと、足場の一部が触手のように伸び、鯨の前にいた二人を助け出す。

「……はぁはぁ。ありがとな友恵」
「別に……当たり前のことをしただけです」

 そういいつつちょっと照れている友恵。

「できれば私も助けて欲しかったけど……」

 と、ハルカも足場を掴む。

「あ、団長!別に忘れてたわけじゃないからね」
「はいはい。そういうことにしとくか……っ!?」

 そんなふうに駄弁っていると突如、海が揺れた。

「なんだこれっ!」
「……魔法?」

 享介の叫びにヒナが答える。まるで地震が起きたかのような感覚に襲われた。こんな現象が起きるとこの世界では魔法を疑うのが一番手っ取り早い。

「でも誰が……」
「もしかするとあの鯨……水族館にもいた吠えるホエールなんじゃ」

 ハルカがやっとのことで足場へと登り言い放つ。てかこんな近隣に住んでるやつを展示してたのか……

「やりあうか逃げるか。どうする団長?」
「逃がしてもらえるなら逃げたいけど、この状況だと戦うしかなさそうね」

 みると、吠えるホエールは大きく口を広げ、魔法を放つ体制に入っている。

「私が気を引くから友恵!援護お願い」
「分かりました」

 そう言ってヒナは海へとジャンプする。そして、器用に着地点を氷の足場にしながら鯨へと向かっていく。

「やぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

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