Traveる

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2-12 ともだち

 たまたま立ち寄った水族館にて、謎の襲撃者である金髪の少女に襲われた享介達一行。アツシとハルキが倒され、ハルカとヒナも押されていた。ヒナは襲撃者を捕らえることに成功したが襲撃者の機転により逆にピンチを迎える。享介に襲いかかる襲撃者の攻撃。もうダメだと諦めかけていたがその攻撃をヒナは防ぐことに成功する。ヒナはこれに違和感を覚えた。

(この場面で手を抜くということはありえない。ならそれ以外に何かがある!)

 ヒナは攻撃を受け止めながら考える。

 戦況が悪いと考えたのか襲撃者が一歩下がる。

「ねぇ享介。あいつなにかあるよね……」
「何か?」
「あなたたちを狙った攻撃は毎回どんな間合いでも私が受け止めることが出来た。これまでも……」
「そういえばお前でさえ押し負けるような攻撃をハルカが防いだような」
「そう。それも!一体どういうこと……?」

 全てに当てはまることは享介や穂乃香を狙った攻撃だということ。

「異世界人に仮があるってことか?」
「だから殺すのを躊躇っているっこと?あんたなんかした?」
「いや、ぷる-ぷる-ポテチ(うすしお)をあげたくらい……」
「いやあんたたち何やってんの……」

 二人で何やかんや話していると穂乃香も会話に参加する。

「ねぇ。もしかしたら本当はこんなことしたくないんじゃないかな」
「つまり?」

 そこで穂乃香が決定的な一言を言い放つ


   「だれも殺したくはないとか」


 その一言に金髪の少女は図星を付かれたかのようにドキッとする。

「……そうなのか?」

 そう聞いてもすぐに返事は帰ってこない。よく見ると、金髪の少女の肩が震えていた。

「……私だって……私だって好きでこんなことしている訳ではありません!!そんな見ず知らずの人を殺したいだなんて思うはずがないじゃないですかっ!!」
「それなら何故そんな依頼をっ!?」
「上の方にそう頼まれました。闇の中で彷徨っていた私を導いてくれたあの人がっ!私はその人に頼られている!だから、私は……私はっ!」

 そこで金髪の少女は溢れ出た感情を無理やり抑え、平静を装う。

「ここが……ここが私の居場所っ!その居場所が壊れるくらいなら嫌なことだってする!」
「違う!そんなのは居場所なんかじゃないっ!!」

 金髪の少女が顔をしかめる。

「居場所ってもんは自分が自分で居られる所のことなんだよ!!」

 そこで金髪の少女の堪忍袋の緒が切れた。

「……黙って下さい。あたなに……あなたなんかに何がわかるんですかっ!!私の苦しみがっ!!ひーちゃん……全魔力を込めた大剣にっ!」

 先程までとは違う大きく踏み込んだ全身全霊の一撃が享介へと向かってくる。享介はのけぞろうとしたが体が動かない。ヒナもハルカも追いつかない。皆が諦めかけていたが。

「もうやめてっ!!」

 そこで動いたのは穂乃香だった。

 穂乃香は襲撃者に後から思いっきり抱きついた。

「穂乃香っ何を!?」

 ハルカが叫ぶが穂乃香は気にしない。

「ねぇ!!もうこんな酷いことはやめてっ!!そんな事のために力を振るわないでっ!!こんな……こんなのっ絶対に間違ってる」

 穂乃香が訴えかける。

「でも、私にはっ……!!」
「居場所がないなら……私が作って上げるから」

 少女が訴えかける。

「作るって……そんな、こんな私に他の道なんて……っ」
「大丈夫!!あるよ!!だから……私と、友達になろっ!?」

 少女の顔の怒りが他の何かに変わる。

「と……ともだち……?」
「そう!友達!……一緒に旅をして……一緒に遊んで、いろんな話をして、お菓子を食べたりして……そして」

「一緒に……笑おうよ」
「っ……!!!!」

 穂乃香の優しい言葉に襲撃者は震え出す。

「ででも、私なんか……」
「そ、それじゃあさっ!あだ名!あだ名付けてあげるよ!ねぇ!なんて名前なの?」

 ひらめいたかのように手をポンと叩き、金髪の少女に聞く。

「……名前……。そんなもの……私には……」
「そ、それなら私が付けてあげるよ」

 穂乃香は必死に考える。すぐ隣で殺害対象の少女がうーんと唸っている。今なら確実に殺れる。しかしその手は動かなかった。

「そうだっ!トモエ!なんてどうかな?」
「えっ……」

 少女は溢れそうな涙を堪えながらも穂乃香の方を見ようとする。

「『友恵』。私以外にも沢山の人とお友達に恵まれますようにって」

 そう言われている時金髪の少女はこう思った。

(……何ですか……この感覚は……まるで心がふわふわ軽くなってゆくみたいな……)

「駄目……かな……?」

 すると少女は肩を震わせながら穂乃香に近づく。

「……ずるいですよ……」
「えっ……」
「そんなふうに言われたら断る理由がないじゃないですかっ……!!」

 襲撃者である金髪の少女改めて、トモエの顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになってしまっていた。

「……あ、あの……穂乃香……さん」
「もう友達なんだし、呼び捨ての方が嬉しい……かな?」

 友恵は友達という響きにまた涙を浮かべる。

「あ、……あの。穂乃香……?あなたの胸で泣かせてもらっても……抱きしめてもよろしい……ぐすっ……でしょうか……」

 友恵がどういう気持ちなのかすぐに察した穂乃香は万円の笑みで答える。

「うん。だってもう友達なんだからっ!!」

 その時、友恵の中で止まっていた何かが動き出し、人目も何も気にせずに思いっきり泣いた。

「……ぐすっ……私は……私だって……殺したくなんかなかった……だってっ……だって……っ!!」

 そんな友恵を穂乃香が優しく撫で、落ち着かせようとする。

「うん。辛かったね……」
「……すみません……こんなみっともない所を見せて……」
「いいんだよ……泣きたい時は泣いても」
「すみません……もう少しこのままでもよろしいでしょうか……」
「……落ち着くまで背中、さすってあげるね」

 ハルカはええ話やなぁ〜と目に涙を浮かべている。ヒナは何だろう。どこか遠くを見ているような感じだ。そんな中で享介は昔の思い出に浸っていた。

(あぁーやっぱり穂乃香ちゃん!流石だなぁ俺の時も・・・・こんな感じだったよなぁ。救われるよなぁ)

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