Traveる

Nowttel

2-3 それぞれの思い

 一行は皆風呂から上がり、各々の部屋に戻り休息をとっていた。風呂から上がると今まで着ていた服ではなく、もっと気軽に着れるような寝間着を用意してくれていた。本当に何から何までいたれりつくせりで申し訳ない。

「はぁー。今頃穂乃香ちゃん何やってるのかなぁ〜ぐひひっひひいーひっひっ……」
「おい。自室だからってあんま変な独り言抜かしてんじゃねーぞ。流石に引くわ。酔ってんのか?」

 モニターからアオイが話しかけてくる。こいつの存在忘れてたわ……

「ごめん。忘れて……」
「ま、俺様は別にいいけどな。面白くて見てるだけだし。城の運転も監視も平和すぎて暇なんだよ。いいことだけどさ」
「まぁそうだよなぁ。ところで穂乃香ちゃん今何してるんだ?」
「……もう本人の前以外なら穂乃香ちゃんでいいんだな。んー今は……ハルカと話をしてるな。……内容は教えらんねーけど」

 なんて羨ましい……

「ほら、これ以上は言えねーからさっさとお前も寝ろよ?」
「あー気になるけどそうだよな。ありがとな」
「おう。おやすみ」







 享介とアオイの会話の数分前。ハルカは自室で城の運転の準備をしていた。流石に24時間アオイに任せることはできない。夜の間だけは交代して番をすることになっている。

「あーアオイ。もうそろそろそっちに行くわ」
「早くしてくれよ?今日は移動もりもりで俺様も疲れちまってるからな」
「何よ。私なんか城のリーダーと戦った後に氷像よ。……私が悪いことだけど」
「あれは見事な氷像だったな。っとそろそろ俺様も降りる準備をするから落ちるわ。んじゃあとでな」

 互いに愚痴を言い合って楽しんだのち通話が途切れた。

「さーて。気は進まないけど仕事しに行きますかねぇ」

 深いため息と共にハルカが部屋の扉を開けるとそこには穂乃香がいた。

「あ、あのハルカちゃん。ちょっと寝れなくて……えへへ」
「あーそういえばご飯食べる前にお昼寝しちゃってたらしいね。そりゃ仕方ないか。ちょっとお話していく?」

 どこからかアオイの視線を感じるがこの際気にしないことにしよう。まぁアオイなら分かってくれるだろうが。

「どう?この世界の心地は?」

 ハルカがベットに腰掛け、穂乃香はその辺の座布団に座って話す。

「楽しいこともあったけど。やっぱり捕まった時は怖かったからまだ不安があるかな……」

 穂乃香は曲がりなりにもフレア城の兵士に捕まっていたのだ。あれはこの世界の人でも十分にトラウマになりうる。

「それもそうだよね。そういえば享介とはどういう関係なの?」

 そう聞くと穂乃香は首を傾げながら答える。

「学校のクラスメイトかな?一緒の所で色んなことを学んでるんだけど……今日までそんなに話したこともなかったし……」
「へぇ。の割に向こうは穂乃香のこと結構気にしてたけどねぇ」
「やっぱり……私のこと好きなのかな?」

 おおっとこの娘勘が鋭い。

「かもねぇ〜」

 ハルカは一応事実を悟られぬよう適当に誤魔化す。

「でも今までそんな接点とかなかったし……」
「一目惚れってやつじゃない?キャーステキ!」
「うぅ……やっぱりそうなのかな。可愛い子なら享介君の友達の亜砂花乃さんとかもいるし……」
「それについて、穂乃香はどう思ってるの?」

 ハルカは何か享介を助けられる情報を得られるかと思いつき、聞いてみる。

「わ、私!?いや、本当に喋ったこともあまりないし……。それに私一目惚れって嫌いなの。私の両親がそれでね。結局お互いのことよく知らず結婚して、上手くいかずに離婚して……」

 そういえば服屋で享介と穂乃香がそんな話をしていた気がする。ていうか享介終わったな……どんまい。

「そ、それに恋愛とかまだよく分からないし……まぁ享介君が私に一目惚れなんてないとは思うけど……ってごめんね!こんな話して……迷惑だよね……ははっ」

 そういい、逃げるように立って部屋を後にしようとする。

「ううん。楽しかったし大丈夫だよ。またいつでも私の部屋に来てもいいから」
「ありがとハルカちゃん。……そろそろ私も寝るね。おやすみなさい!」

 穂乃香が居なくなり、部屋が静まり返る。

「……さてと、仕事しますか……」







「おい団長俺様の言いたいことは分かるよなぁ!?」

 ハルカは部屋を後にし、アオイの能力を借り地下深くの動力子まで来ていた。

「えーなんの事か分からないなぁ」
「はぁとぼけやがって……それであの異世界人共。この後どう使うつもりだ?王国との交渉材料か?それにしちゃあ扱いがいいが」

 アオイは享介と話していた時より怖い声で話す。

「私にいい考えがあるの。この異世界人に支配された王国を取り戻すには同じ異世界人を使うっきゃないってね」
「あいつらもあいつ・・・と同族には変わりねぇ。団長。あんたは私たちの希望なんだ。しくじんじゃねぇぞ」
「大丈夫よ。あの子達はもう私の《友達》なんだから!」

 その一言にアオイが気圧される。

「そうか……なんか団長らしいというか。でも……確かにあいつらは面白い。とてもあいつ・・・と同族とは思えないのは分かるよ」
「でしょ?まぁしばらくは様子を見るわ。悪い子達じゃなさそうだしね」
「ま、そうだな。どちらにせよ俺様は団長についていくからな。これかも頼むぞ!」
「ええ。それじゃ。おやすみアオイ」


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