Traveる
1-5 硝煙の匂い。澄み切った空だぜぇ
「はぁーー流石に疲れたぁ!」
結局、観覧車も劇場も両方行き、さらにハルカがジェットコースターを全制覇するなど言い出し大変なことになった。ここまできてようやくハルカは疲れが溜まってきたようだ。そして今は娯楽区の喫茶店でそれぞれが頼んだものを飲みながら休憩している。
「もうしばらくジェットコースターはみたくねぇ」
注文したジュースを飲みながら、そうだねと微笑む穂乃香。あぁ可愛い……今にも疲れが吹っ飛びそうだ……吹っ飛ばなかったけど。
「にしても……なんか平和だな……」
「……寧ろどうして平和じゃないと思ったのよ」
「いや、お前さっき魔法で石の剣作り出したりしてただろ?あんなことできるやつらが他にもいたら盗難泥棒食い逃げなんて頻繁に起こるんじゃないかなーって」
「なーに言ってんのさ。こんなとこで商売してる人がそこら辺の盗っ人より弱いとでも思ってるの?そんな芸当、伝説の盗賊ともいわれる薔薇の盗賊団くらいしかできn……」
なんてことは無かった。
突如大きな爆発音が鳴り響く。
「なっ!?」
「煙?」
その爆発音とともに店内に多量の煙が入り込んできた。
「なんだこれ!?毒ガスか?」
「いや、多分普通の煙ね。でもあんまり吸い込んじゃダメよ」
その頃からハルカは嫌な予感がした。
(もしかしてこの煙は……気づかれた……!?)
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
突如店内に叫び声が響き渡った。すると煙が強風とともに一瞬でかき消される。恐らく、店員か客の誰が風属性の魔法でも使ったのだろう。煙は晴れたが店内はパニックに陥っている。
「享介!穂乃香!怪我はない!?」
「あぁ俺は大丈夫だが……!?か、火神さんがいない!?」
「くっ、やられたわね……多分どこかであの子が異世界人じゃないかって悟られたのかも……」
「んな……」
「とりあえずこの場から逃げましょう。もしかしたらあなたも狙われてるかもしれないし」
ハルカは猛スピードで会計を済まし、俺をつかみ外へ飛び出した。
「ぜぇはぁぜぇはぁ……ここまで来れば大丈夫……かな」
二人は喫茶店を後にして商業区まできていた。
「と、とりあえずさっきのなんなんだよ。安全どこいった?」
「落ち着いて!あれは計画的犯罪よ。手段的にあれは火属性の持ち主。しかも大人数で統率がとれてた。間違いない、東のフレア城の奴らね。」
ハルカは冷静だったが享介はそうではいられなかった。
「そんなことどうでもいい!はやく助けに行かないと!!」
そう言うと、辛そうな雰囲気でハルカが言った。
「……いや、もう手遅れね。」
「そ……そんな……」
「あいつらは異世界人に相当な恨みを持ってたはずよ。無関係な人でも異世界人ならなにをするか分かったもんじゃないわ。それに助けに行くにしてもあの城には大量の兵士、そしてそれを束ねるリーダーがいるわ。せめて私の仲間がいれば良かったんだけど……」
「……っ!何か……何か方法はないのかっ!?」
そういうとハルカは確かめるような口調で話す
「今の私たちの装備。何がある?私が持ってるのってせいぜいポーションが何個かくらいよ。私の魔法なんかじゃ食い止めることもできないだろうし……」
「んだよっ!友達になったんだろ!そんな簡単に諦めんのかっ!今日1日の中だったけどそんなもんだったのか!?」
「私だって……私だって助けたいよ!でもそんなことしようものなら貴方も捕まるわ!無駄に犠牲が増えるだけっ!!もしかしたら今も貴方を追っているのかもしれないのにっ!!」
「……っ!?」
勿論、穂乃香だけでなく享介もこの世界では異世界人だ。どこかで目をつけられていてもおかしくはない。
「すまん……取り乱した」
「もしかして……貴方って実は穂乃香のこと好きだったりするの?」
「はぁ!?……ばっ……そんなことがあろうはずがございませぬ!?」
何故バレた……そんなにムキになっていたのか……
「見てりゃモロバレよ。とりあえず……穂乃香を助けにいくならそれなりの作戦ってものを立てて頂戴。私はどれだけ頼ってもいいしポーションも貸してあげる。貴方、この世界に様々な文明を伝承させてきたっていう異世界人なんでしょ?この状況を打破できる策なんか思いつかないの?」
「そうは言われてもなぁ……ポーションってのはどんなのがあるんだ?」
「そうね……」
ハルカがポケットから出したのは火炎耐性のポーションが3つ。跳躍のポーションと落下耐性のポーションが20個ずつだった。
「本当は狩りのつもりできたからあいつらに有効な火炎耐性のポーションはあんまり持ってきてないの。この数だと効果時間が切れるまでに逃げ切るのはほぼ無理ね。効果が切れた瞬間に丸焦げよ」
「いや、そんだけあるだけでも違うよ。ありがとな」
ちなみに俺が持っているのは下校時に持っていた手提げカバンだけだ。教科書が複数冊入っているので振り回せば武器になるかもしれない。だが大量の兵士に囲まれて魔法でも使われれば終わりだろう。財布も通貨の違うお金で解決できるような話でもないのでつかえなさそうだ。
「なぁそういえば、奴らはこのポーションは知っているのか?」
「ううん。私の友達に作って貰ってるから知らないはずだけど……」
これは大きな収穫だ。上手く騙せば交渉になるかもしれない。
「そしてこのポーションの特性は何かに生かせないか……」
見たところ本物の水と変わりなく見える火炎耐性のポーション。ちょっぴり辛そうな見た目の跳躍のポーション。そして粉っぽい落下耐性のポーション。
「ん?粉っぽい?そういえば小麦粉みたいなものだったな……!?なぁハルカ。もしかしたら助けられるかもしれないぞ!やったことはないけど、俺の策に乗ってみないか?」
結局、観覧車も劇場も両方行き、さらにハルカがジェットコースターを全制覇するなど言い出し大変なことになった。ここまできてようやくハルカは疲れが溜まってきたようだ。そして今は娯楽区の喫茶店でそれぞれが頼んだものを飲みながら休憩している。
「もうしばらくジェットコースターはみたくねぇ」
注文したジュースを飲みながら、そうだねと微笑む穂乃香。あぁ可愛い……今にも疲れが吹っ飛びそうだ……吹っ飛ばなかったけど。
「にしても……なんか平和だな……」
「……寧ろどうして平和じゃないと思ったのよ」
「いや、お前さっき魔法で石の剣作り出したりしてただろ?あんなことできるやつらが他にもいたら盗難泥棒食い逃げなんて頻繁に起こるんじゃないかなーって」
「なーに言ってんのさ。こんなとこで商売してる人がそこら辺の盗っ人より弱いとでも思ってるの?そんな芸当、伝説の盗賊ともいわれる薔薇の盗賊団くらいしかできn……」
なんてことは無かった。
突如大きな爆発音が鳴り響く。
「なっ!?」
「煙?」
その爆発音とともに店内に多量の煙が入り込んできた。
「なんだこれ!?毒ガスか?」
「いや、多分普通の煙ね。でもあんまり吸い込んじゃダメよ」
その頃からハルカは嫌な予感がした。
(もしかしてこの煙は……気づかれた……!?)
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
突如店内に叫び声が響き渡った。すると煙が強風とともに一瞬でかき消される。恐らく、店員か客の誰が風属性の魔法でも使ったのだろう。煙は晴れたが店内はパニックに陥っている。
「享介!穂乃香!怪我はない!?」
「あぁ俺は大丈夫だが……!?か、火神さんがいない!?」
「くっ、やられたわね……多分どこかであの子が異世界人じゃないかって悟られたのかも……」
「んな……」
「とりあえずこの場から逃げましょう。もしかしたらあなたも狙われてるかもしれないし」
ハルカは猛スピードで会計を済まし、俺をつかみ外へ飛び出した。
「ぜぇはぁぜぇはぁ……ここまで来れば大丈夫……かな」
二人は喫茶店を後にして商業区まできていた。
「と、とりあえずさっきのなんなんだよ。安全どこいった?」
「落ち着いて!あれは計画的犯罪よ。手段的にあれは火属性の持ち主。しかも大人数で統率がとれてた。間違いない、東のフレア城の奴らね。」
ハルカは冷静だったが享介はそうではいられなかった。
「そんなことどうでもいい!はやく助けに行かないと!!」
そう言うと、辛そうな雰囲気でハルカが言った。
「……いや、もう手遅れね。」
「そ……そんな……」
「あいつらは異世界人に相当な恨みを持ってたはずよ。無関係な人でも異世界人ならなにをするか分かったもんじゃないわ。それに助けに行くにしてもあの城には大量の兵士、そしてそれを束ねるリーダーがいるわ。せめて私の仲間がいれば良かったんだけど……」
「……っ!何か……何か方法はないのかっ!?」
そういうとハルカは確かめるような口調で話す
「今の私たちの装備。何がある?私が持ってるのってせいぜいポーションが何個かくらいよ。私の魔法なんかじゃ食い止めることもできないだろうし……」
「んだよっ!友達になったんだろ!そんな簡単に諦めんのかっ!今日1日の中だったけどそんなもんだったのか!?」
「私だって……私だって助けたいよ!でもそんなことしようものなら貴方も捕まるわ!無駄に犠牲が増えるだけっ!!もしかしたら今も貴方を追っているのかもしれないのにっ!!」
「……っ!?」
勿論、穂乃香だけでなく享介もこの世界では異世界人だ。どこかで目をつけられていてもおかしくはない。
「すまん……取り乱した」
「もしかして……貴方って実は穂乃香のこと好きだったりするの?」
「はぁ!?……ばっ……そんなことがあろうはずがございませぬ!?」
何故バレた……そんなにムキになっていたのか……
「見てりゃモロバレよ。とりあえず……穂乃香を助けにいくならそれなりの作戦ってものを立てて頂戴。私はどれだけ頼ってもいいしポーションも貸してあげる。貴方、この世界に様々な文明を伝承させてきたっていう異世界人なんでしょ?この状況を打破できる策なんか思いつかないの?」
「そうは言われてもなぁ……ポーションってのはどんなのがあるんだ?」
「そうね……」
ハルカがポケットから出したのは火炎耐性のポーションが3つ。跳躍のポーションと落下耐性のポーションが20個ずつだった。
「本当は狩りのつもりできたからあいつらに有効な火炎耐性のポーションはあんまり持ってきてないの。この数だと効果時間が切れるまでに逃げ切るのはほぼ無理ね。効果が切れた瞬間に丸焦げよ」
「いや、そんだけあるだけでも違うよ。ありがとな」
ちなみに俺が持っているのは下校時に持っていた手提げカバンだけだ。教科書が複数冊入っているので振り回せば武器になるかもしれない。だが大量の兵士に囲まれて魔法でも使われれば終わりだろう。財布も通貨の違うお金で解決できるような話でもないのでつかえなさそうだ。
「なぁそういえば、奴らはこのポーションは知っているのか?」
「ううん。私の友達に作って貰ってるから知らないはずだけど……」
これは大きな収穫だ。上手く騙せば交渉になるかもしれない。
「そしてこのポーションの特性は何かに生かせないか……」
見たところ本物の水と変わりなく見える火炎耐性のポーション。ちょっぴり辛そうな見た目の跳躍のポーション。そして粉っぽい落下耐性のポーション。
「ん?粉っぽい?そういえば小麦粉みたいなものだったな……!?なぁハルカ。もしかしたら助けられるかもしれないぞ!やったことはないけど、俺の策に乗ってみないか?」
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