Traveる
1-4 魔法の世界は遊園地のアトラクションも魔法だらけ
新しい服に着替えた俺たち一行は娯楽区というなの遊園地のような所に来ていた。見たところジェットコースターや観覧車など割といろいろあり、1日では到底回りきれないような広い所だった。
「それで?何に乗るんだ?」
絶叫系に挑むらしいが、俺はそういった類のものがかなり苦手なのでできることなら乗りたくはないが……
「んー。そうね。そろそろ言ってもいいかな。今から乗るのは魔法コーヒーカップっていうアトラクションなんだけど」
コーヒーカップっていうのはあれだよな。コップのような乗り物に乗ってくるくる回るやつ。確かにハンドルを回し過ぎたら目が回って大変になるけど
「なーんだ。そんな大したもんじゃなさそうだな……」
少しだけ安堵を感じた。そらそうだよな。いきなりジェットコースターとかだと心臓に悪いもんな!
そしてコーヒーカップのアトラクションの場所に着いたが何かがおかしい。
「えっと……これはなんでせうか?」
「コーヒーカップよ」「コーヒーカップ……かな?」
二人の息の合わない返答が返ってくる。ハルカはもちろんという態度だが穂乃香は若干戸惑いが隠せてない。それもそのはずカップが地面にそのまま複数個置かれているだけだった。この世界のコーヒーカップは回らないのか?回らないコーヒーカップとかただカップの中に座るだけで終わりそうなんだが……
「こちらコーヒーカップでごさいます。少々運転が荒っぽいですが安全性は抜群なのでいかがですか?」
なんやらかんやらと話しているとこのアトラクションの受付の人が話しかけてくる。荒っぽい?地面を削りながら回るのか?
「3人で乗りまーす!ほらほら二人とも早く乗って乗って!」
全くもってどのようなアトラクションなのか検討もつかなまま、カップの中に座らされる。穂乃香はわくわくしているが正直嫌な予感がする……
「それじゃあアトラクションを開始します!それっ」
受付の人の合図とともにアトラクションが始まるとその瞬間……
享介は逆さまになっていた。
「ふぇ?」
カップごとひっくり返っていた。しかしカップから落ちることはない。まるで金縛りにあったみたいだ。
「ま、まさかこれって横じゃなくて縦に回るコーヒーカップうあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
空中で超高速縦回転を繰り返したコーヒーカップ氏。重力の向きがぐわんぐわん傾く酔いと投げ飛ばされるんじゃないかといった恐怖感が合わさり絶叫は頂点に達する。まじ考えたやつ馬鹿だろ……
しばらくし、またカップが逆さまの状態で止まる。享介はなんとか気絶しないよう意識を保つので精一杯だった。
「はぁはぁ……し……死ぬぅぅ……」
「どう?楽しいでしょ?もう一回転行っちゃう?」
駄目だ。このアトラクションもかなりイカレてるが受付の人も相当のようだが……
「おっけぇぇぇぇ!」
ハルカと穂乃香が叫んだ。まじかよお前ら……よく縦回転に耐えれるな……享介は2週目が始まる頃にはもう力尽き、気絶していた。
「はぁー楽しかったね!」
「で、でも……もうだめぇ~っ」
ハルカはまだまだ元気だが穂乃香は流石に目が回っているようだ。ん?私ですか?確認するまでもないな(白目)
「あーでもちょっと疲れたわね。ソフトクリームでもたべよっか?」
「おお……いいな……」
「もー!享介もっと元気だしなよ!せっかくここまできたんだし」
「でも、あの縦回転は流石にやりすぎだと思うよ?」
「えぇっ!?穂乃香まで?でもそんなものよね。貴方たちの世界ではまずないだろうし」
「てかあれどういう原理してんだよ。魔法か?でも魔法って火水風土しかなかったよな?その変の魔法じゃあんなことできないだろ!」
ハルカは馬鹿だねぇ……と首を振りながら言う。
「それともう一つ。特殊な魔法があるって言ったでしょ。さっきのは念力能力ね」
「なんでそんな珍しそうな能力を使える人間がこんなテーマパークで働いてんだよ……」
「んー。そんなに珍しいものでもないけどね。特殊な魔法も普通の属性一つ分と同じくらい使える人がいるから。簡単に言ったら……そうね、全体の五分の一人くらい?」
「……そんなもんなのか?」
「そうよそうよ!分かったらソフトクリーム食べに行きましょ!ほらあっちに売ってるとこがあるからさ」
そういい、ハルカはソフトクリームの売ってるところまで走っていった。ほんと元気だな。
一行はアイスクリームを食べながら次に行くアトラクションを決めていた。
「すまん。もう激しいのは一旦なしで」
「私もちょっといいかな」
「そうね。だったら水流観覧車とか魔法劇場がいいかもね……」
ハルカがパンフレットを見ながら言う。
「うおっ」
「きゃっ」
「どうしたんだ?火神さん」
どうやら穂乃香はハルカのパンフレットを覗き込んでいたため人とぶつかってしまったようだ。
「あ、すみませんっ」
「……今の匂いって……いや何でもねぇ……わりぃ、こっちもよそ見してたわ」
優しい人でよかった。もしこの人がヤンキーだったら魔法でボコボコにされてたかもしれない……
「それで……どっち行く?」
「どっちも行けばいいんじゃないか?」
「そうね。日もまだ暮れなさそうだし両方行きましょうか!」
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