Traveる

Nowttel

1-3 異世界の街……何もかもが新鮮ピチピチ


「こ、ここが街か……」

 一行は森を抜け街へとやってきた。元の世界のような高いビルが沢山あるわけではなく、通りに屋台のような店がズラッと並んでいる繁華街のような場所だった。

「ここは商業区だからお買い物とかはこの辺でするんだけど……まずは服よね」

 俺たちはハルカにひきつられるまま、とある店に入った。まるで元の世界では考えられないような防御力や魔法耐性の強そうなファンタジー基質の変な服が沢山並んでいる。なるほど。ここが服屋か。

「さぁ二人とも!一人5000ピーまでなら好きに服を選んでいいよ!」
「ほんとありがとなハルカ。……ん?ピーってなんだ?」
「あーそういえばそうだったわね。貴方達本当に何も知らないのよね。ピーっていうのはこの世界の通貨よ!」

 ハルカは面倒くさそうな言葉を発しているが、顔は新しいものでも見るようなワクワクで溢れている。言いながらハルカは小さいビー玉のようなものを沢山あるポケットの一つから取り出す。どこかに転がっていきそうなデザインですぐに無くしそうな気がする。不便そう。

「本当に見たことないものばっかりなんですね」
「んーそういうわけでもないと思うけどね。ほら穂乃香!あれ見てみて」

 俺と穂乃香はハルカの指す方を見てみるが、服が変なところ以外特に変わったところはない。普通にハンガーにかかっている。

「ん?ハンガーにかかっている?」
「そ。そういうとこ。大きなところはこっちの世界のものばかりだけどああいう小物類は異世界の物が結構出回ってるわよ。なんでもそっちの世界の方がこの世界より文明が進んでるらしいからね。異世界の知恵っていうのかな?」
「なるほど……」

 つまり元の世界から来た人間がこの世界の人々にいろいろな物を伝えているということだろう。ということは本当に異世界に落ちるということは俺たち以外でも起こっていると確信していいのかもしれない。

「それじゃ、気に入った服があったら呼んでね。私はあっちの方を見てくるから!」

 そう言い残し、ハルカは店の奥へと進んでいった。






 二人は見慣れない服の山から自分に合いそうなものを探す。……本当に変なの多いな。中にはどうやって着るのか、どう表現すればいいのかすら分からないような服まで置いてある。

「あのさ火神さん」
「ん?なに?」

 服選びの最中に何気なく会話が始まる。俺はどうしても穂乃香に詫びを言いたかった。

「なんか、その、すまんな。俺がおでん食べに行こうって言ったばっかりにこんなことになった訳だし」
「ううん。そんなことないよ。まさか異世界への穴が空いてるなんて、想像つかないし。それに……私もおでん食べたかったし……」

 否定しながら、恥ずかしそうに照れながら言った。可愛い。

「でも、家のことが気になるなぁ」
「何かあるのか?」
「実は私の家って親の離婚があったせいでお母さんに女手一つで育ててもらってるの」

 そんな複雑な家庭環境だったとは……全く知らなかった。

「だから、私がいないと寂しくてどうにかなってないかなって思っちゃって……」

 表情が暗い。よほど心配なのだろう。俺は穂乃香のことが好きだ。だからこんな悲しい顔をして欲しくない。

「大丈夫だよ!俺が元の世界に戻れる方法を絶対見つけ出してやるから!俺も友達とか妹のことが気になるしな」
「岸滝……くん。ふふっありがとう」

 穂乃香から仄かに笑がこぼれた。

「これから長い付き合いになりそうだね。……享介君って呼んでいいかな?」
「ああ。よろしくな」

 キュン死にしそうになるところをぎりぎり耐えて答える。……鼻血出てないよな?

「なーに二人でラブコメしてんのさ!ほら早く服選んで選んで」

 俺たちと違い、アクセサリーを見ていたハルカがガシガシと横入りしてくる。正直このまま二人で会話してたら本当に尊さで鼻血出そうだったので助かった。

「今日買う服は‘とりあえず’だからさっさと決めて街の観光しましょ!私もこの街をゆっくり見て回るのは初めてだし。あ、この街他の街と違って商業区と居住区以外に娯楽区があるから遊ぶにはもってこいだし!」

 まぁそれもそうか。今は新しい服に着替えるというより元の服を脱ぐ方が大事だしな。俺たちはこの世界でありふれたデザインのこれといった特徴もない服を買い店を出た。






「さてと、ついたわね娯楽区!今日は仕事も何もかも忘れて遊ぶぞー」

 新しい服に着替えた俺たちはハルカの案内で娯楽区に来ていた。見るとそこら中でパレードをやっている。テーマパークのような所なのか。

「でもお前確か狩りしに森に行ってたんじゃなかったっけ?丸腰でない?」

 はっ!?と我に返るかのような驚きとともにハルカの顔が青ざめていく。

「うっ。仕方ない……ちょっとお財布に厳しいけど帰りに商業区に寄って帰るかな……いやいやそんなこと考えちゃだめよ!せっかく娯楽区にきたんだから楽しまないとね!」

 無理やり話を持っていかれた。本当に大丈夫なのか……

「さて、乗り物もいっぱいあるけどどこから行く?」
「私、意外と絶叫系大丈夫だから何でもいいよ」

 穂乃香ちゃんそうだったのか。割とアクティブな性格なのかもしれない。てか絶叫系は俺が苦手なんだけどね。まぁそんな恥ずかしいこと好きな子の前で言えないけど。

「なるほど。それならね……ふっふっふっ」

 その不敵な笑みやめろ。まじ怖いから!


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