かてきょらいふ

りゅう

卓球














「すばる…本気でやるわよ」

咲がいつになく真剣な表情で僕に言う。卓球をする時、咲はいつも真剣だ。もちろん僕も試合では手を抜かない…全力で相手を叩き潰す。

僕達はラリーもせずに試合を開始する。サーブは僕から、僕は下回転のサーブを繰り出す。もちろん狙う場所はできるだけ手前、敵がレシーブで強い攻めをできないようにするために手前に落とした。

僕のサーブにより咲はラケットを仰向けにしてピン球を突くツッツキと呼ばれる打法で返球する。咲が返した球を僕は強打で返し得点する。

「すばるさん、すごい…」

「ボール、はやぃ」

台の横から見ていたいつきちゃんとみゆぅちゃんが呟くが僕と咲には返事をする余裕がなかった。

そして僕はピン球を放り投げて再びサーブを放つ。先程の下回転サーブとは違い強い横回転のサーブ、咲のラケットにピン球が触れた直後ピン球は台の外へと飛んでいく。

「ちっ…厄介ね…」

横回転サーブは僕の卓球の全てと言っていい、ぶっちゃけ横回転サーブのみなら僕は全国でかなり上位の使い手だと思う。試合のいい流れはサーブからと言う人も多い、僕は横回転サーブで点を取り勢いをつけるタイプだった。そして咲は…

「次はわたしの番ね」

咲は下回転のサーブを繰り出す。僕はツッツキで受けるが咲のサーブは下回転が異常な程かかっているため簡単に浮いてしまう。

そして浮いた球を咲はループドライブで返す。ループドライブは次への布石のようなもの、回転を重視したドライブは触れると浮く。そして先程より高く浮いたピン球を咲は全力で叩き込む。

「咲さんもすごい…」
「さきおねえたんつおい〜」

本当に咲のループドライブは厄介だ。これをなんとかしないと咲には勝てない…
















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