かてきょらいふ
やっぱり変わってないな…
「はい。どうぞ…」
咲はそう言いながら机の真ん中に巨大な器を置く。
「やっぱりか……」
「肉じゃが…だけですか?」
これが僕といつきちゃんが咲が用意してくれた夜ご飯を見た感想だ。
「悪い?ていうか肉じゃがだけじゃない、味噌汁とご飯もある」
咲が僕を睨みつけていつきちゃんの方を向きドヤ顔で言う。たしかにご飯と味噌汁があるな…昔は肉じゃがだけだったから少しはマシか…
「咲は肉じゃがしか作れないんだよ。今日の夜ご飯はこれで我慢してあげて…」
僕はいつきちゃんにそう言いながら手を合わせる。僕の動きを見て慌てていつきちゃんも手を合わせる。
「「「いただきます」」」
「…………なんですか、これ……めっちゃ美味しいです!」
咲の肉じゃがを一口食べてもう一口、もう一口と慌てて肉じゃがを食べ続ける。
「やっぱり咲の肉じゃがは美味しいな、さすが肉じゃがに料理ステータスを全振りしただけのことはある」
ぶっちゃけ咲は料理が全くできないのだが肉じゃがだけはかなり上手に作れる。よって、咲が料理を作る時は決まって肉じゃがなのだ。昔、バレンタインの日に義理じゃがとか言って家まで肉じゃがを持ってきたこともあった。
「肉じゃが以外にも作れるようになった。食べてみろ…」
咲は味噌汁を箸で指して言う。ちょっ、行儀悪いですよ。あと味噌汁を食べてと言うのはどうなんだろう……
「うっ…辛っ……水………」
咲の作った味噌汁を飲んだ僕は慌てて水を求める。いつきちゃんが慌てて僕に水を差し出してくれたので僕はそれを受け取り全て飲み干す。
「はあ、はあ……」
「どう?死ぬほど美味しかったでしょう?」
「うん。マズすぎて死ぬかと思った……」
やっぱり昔と変わってないな…と思いながら僕は咲に言う。
「もう二度と作ってやらんからな…」
咲が怒りを露わにした声で僕に言う。怖いです。
ちなみに咲の味噌汁を飲んだいつきちゃんは僕と同じように水を何杯も飲んだ。
そして咲は自分が作って味噌汁を飲んだ直後、慌ててトイレに向かって行った。
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