【DEEP・BLOOD】

六道 屍

第31話

スマン、長くなってスマン

次いでに、前話の内容とほぼ同じ…


        罪(2)

 「俺は、命を奪う行為そのものが悪だと考える。」

 男はキョトンとした表情をした後、爆発したかの様に捲し立てる。

 「なら、君は命を奪っているじゃないか!! それは悪の行いでは無いのか? 人を殺したという意識は無いのか!! どうなんだ!!」

 兎に角、五月蝿い。

 「勿論、俺は悪を成したとも。それぐらい馬鹿でも分かる。」

 何が言いたい、とばかりに喚く男を放置して説明してやる。

 俺って優しくない?

 「命を奪う行為が悪ならば、ほぼ全ての生命が悪だ。そして、人間は必要以上に生命を奪うのだから、存在がとびきりの悪だろうさ。」

 生きる為の犠牲だから、なんて綺麗事で許されるものでは無いだろう。

 「悪だと認識したうえで何を成すかだ、クソガキ。」

 おっと、失礼。口汚くなってしまった。

 「先の話に戻ろうか。境界の話だ。倫理に則ったとして、お前は明確な悪を前に何を成した?」

 男はクソガキ呼ばわりに激おこだったが、俺の質問に黙ってしまった。

 「妹を贄にして自分の安全を確保したか? それとも、豚に便乗して妹と3Pか?」

 何やら騒ぐが、結局の所“何も成していない”だ。

 「お前は何も出来なかっただろう? 如何なる理由が在ろうと犠牲を強いた。それも明確な悪だろう? それは、どうでも良いのか?」

 男は、

 「俺は止めたんだ!! 抵抗だってしたさ!! けど、あいつは武器があった。だから!!」

 失笑ものの言い訳だった。

 「クソ程も役に立たない言い訳だな。女に犠牲を強いて、自分の行いから目を逸して、俺に八つ当たりか? 一度、死んだらどうだ?」

 男は、仕方がなかった ・・・・・・・ とボヤく。

 「仕方ないから犠牲を許容するのか? 守る為に切り捨てられない癖に? それも立派な悪だな。」

 どうしようも無い程、クソったれなクソガキの様だ。

 「おい、クソガキ。良い事教えてやろう。生きるうえで、必ず必要な事だ。」

 おそらく誰しもが必要な倫理だろう。

 それは…、

 「 “人を殺してはならない理由は無い。されど、それが無意味であってはならない” 」

 ということだ。

 男が驚愕した様な表情をする。

 「悪を成すならば、何の為に悪を成すかだ。それが人殺しならば、人殺しと殺戮の違いであり、意味の有無であり、必要悪か否かである。」

 そう、殺してはならない道理などない。道徳を重んじるだけでは、奪われるだけなのだから。

 「己にとって必要か不必要か、敵か味方か、悪か否か、その境界があやふやで定まっていないから何も成せない。」

 まともな善悪の判断すら覚束ないじゃないか、と鼻で笑う。

 「俺は、悪と理解して悪を成す。俺にとって譲れないもののために。特に、今みたいな状況なら尚更な。じゃないと、全て失い兼ねないからな。」

 道理と正論で世が回るなら、世界中が平和で満ちてるだろうさ、と吐き捨てる。

 「もういいな? 俺は藤宮先輩を連れて此処を出なきゃならない。時間が無いんだ。お前みたいなクソガキに長々付き合ってられないんだ。」

 そういって、優と共に部屋を出ようとする。

 すると、

 「あ、あの!! ありがとうございました!!」

 まだ、出れないのか………。





 ※殺人を許容するものでは無いのでご注意を

人によっては不快な価値観かと思います
ヾ(゚д゚;)スマソ

( *ノ_ _)ノノ ╮*_ _)╮__\○_←土下座

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