【DEEP・BLOOD】

六道 屍

第15話

ミッション2.5 接触→対話交渉




        対人戦


 「疾っ!!」

 全力で振り抜く。手加減など無く、例え防御されたとしても、模型モドキやスラゾン程度ならば、防御の上から破壊出来るだけの威力は十二分にある。しかし…。

 肉を叩く音と共に完全に防がれた。それも片腕・・だけで。

 俺は体重を掛けて無理矢理足を振り抜いた。ソレも自ら身を引いてやり過ごした。

 着地と同時に後方に跳び距離とり、ソレを見る。するとソレも同じ様に距離を取っていた。

 《高次演算虚構イデア

 コイツは俺達にとって脅威になる。全力で殺る。

 《強襲虚構領域アサルト

 観察し、推測し、予測し、己を最適化して行く。

 《轟く軍靴の咆哮アーミース・コンバット・マーチ

 必ず仕留める。今、此処で。

 意識が切り替わる。思考が冷たく凍りつき深く沈み込んでいく。

 相手が腰を落とし構える。それと同時に俺も疾走する。

 勢い良く踏み込み、相手の足を狩る。

 右回脚で相手の膝を狙うが、ギリギリで回避される。が、そのまま勢いを殺さず右脚を軸に左脚で蹴り上げる。

 相手はそれをそのまま左へ受け流す。俺は受け流された勢いのまま、身体を捻って更に右回脚。相手の腕を狙う。

 再び、肉を叩く音が鳴る。

 直撃。相手を弾き飛ばす。感触は大型トラックのゴムタイヤの様だった。俺は回転を利用し左腕を軸に三点着地。即座に相手を見る。

 右手でナイフを構える。そして一息に踏み込み最低限の動作を行う。

 相手も即座に腰に手を回して振り抜かんとする。

 最短最速にて突き倒しそのまま首を刎ねる。このままあと3歩で殺れ……、

 「そこまでぇーーーーっ!!」

 そこで突然妹が大声で叫ぶ。急制動。

 そのままの体勢で妹を見る。何かあったのか? 相手は一人の筈。

 妹の隣にスラリとした女が立っていて、妹と共にジト目を此方に向けていた。

 「互いにそこまでです。」

 少し低い落ち着いた綺麗な声だ。

 「そのままいけば、互いに致命傷ですよ。双方にとって益の有る結果では無いので、双方武器を収めて下さい。隊長も宜しいですね?」

 そう言って、俺の後ろを見る。隊長?

 視線を追ってみると現状を認識した。俺はナイフを突き出した状態で、後2歩踏み込めば深々と刺さる。反対に相手は、1歩下がって上体を反らしククリナイフを跳ね上げた途中だった。このままいけば、確実に俺は首を、相手は心臓を、といった具合になっただろう。

 「お兄も大丈夫だよ。」

 そう言われようやく互いに武器を収める。

 「大丈夫か?」

 平気そうだが、聞いておく。一応警戒も解かない。

 「うん。びっくりしたけど平気だよ。簡単にだけど、事情聞いて互いに早とちりしただけだって分かったからとめたの。それに見た事あるし。」

 何だと…!?

 「ほら、前に見た軍人さんだよ。片腕・・でフィーバーしてた人だよ。こっちのお姉さんはその部下だって。」

 振り返り確認する。確かに片腕しかなかった。そういえば戦闘中も左腕しか使ってなかった。

 「マジか。」

 妹に確認する。

 「うん、マジ。」

 いい笑顔だった。





ミッションクリア!!

報酬は………妹ちゃんジト目!!

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