全力!野球道
全員集合
入学式から1週間。
若松と安田は屋上で昼休みを過ごしていた。
女子ばかりの生活に慣れず、逃げるように屋上にいる。
それが現状だ。
「はぁ…」
「どうした?聖司。」
「いや、何かな~…教室に女子ばっかってしんどない?」
「普通羨ましい感じやけどな。」
「太一朗はしんどないん!?」
「しんどくはないけど嬉しくもないな。」
「でも屋上来てるやん。」
「ま~まだ1週間やし、女子と弁当食うとかはようせえへんしな。」
「そうやんな~…俺もようせんわ…」
「俺からしたらそんなんどうでもいいけどな。」
「えっ?」
「聖司…君さ、いつなったら光学園に入った理由教えてくれるん?」
「光学園に入った理由?」
「前言うって言って、全然言えへんやん!」
「あ~…もしかして気になってた?」
「べ、別に…聖司が言うの待とうと思ってたけど、一向に言う気配ないから…」
「あ~ゴメンゴメン!実はな…」
若松は安田に、光学園に入学した経緯を話した。
勿論夢の事も…
「なるほどな…」
「笑わんのか?」
「何で?」
「だってこんな夢、普通アホみたいやと思うやん…」
「君が話してる時に真剣さが伝わった。人の真剣な夢を笑ったりせえへんよ。」
「太一朗…」
「他の男子ともう会ったん?」
「いや、何処のコースの何組かもわかれへんしさ…」
「各コースに2人ずつ、何組かまではわかれへんけど、文理コースにも1人おるな。」
「あ~そうなんや、でもそんなんよう知ってんな!」
「ま~情報収集は得意やからな☆」
「1人ずつあたるしかないか…」
「いや、聖司…その必要はないで。」
「どうゆう事?」
若松の言葉を聞いて、安田は誇らしげに話し出した。
「明日から男の先生が来る。本来俺等は男子だけで体育する予定やったんやけど、今まで男の先生の赴任が決まってなかったから女子と合同でやってたんや。」
「って言う事は…?」
「明日男子が全員集まる。その時に聖司が野球部の話すれば…」
「そうか!」
「ま~入るかどうかわからんけど…」
「よし、やる気出てきた!」
「お~い、聞いてるか~?」
「おっ、ちょうどチャイム鳴ったな!戻ろうか!」
「はいはい。」
次の日…
若松は体育館にいた。
いよいよ男子生徒が全員集まるのだ。
「聖司。」
「太一朗…」
「…もしかして緊張してる?」
「ちょっとな…」
「珍しいもんやな。君って緊張せえへんと思ってた。」
「今日で野球部が出来るか出来へんかって決まると思うと、流石にな(笑)」
「ま~そうやんな。あっ、来たぞ!」
「えっ?」
体育館に1人入ってきた。
「た、高木!」
「あっ?あ~!お前…若松!何でお前がここに!?」
「お前こそ何で…野球は?」
「辞めたよ!そこは察しろよ!ここに来てるって事はお前もそうなんやろ!?…ったく!何でよりによってお前と同じ学校やねん!」
そう言って高木は体育館の奥に歩いていった。
「ほう、俺が説明するまでもなかったな。」
「よう知ってるよ。あいつは高木大知。口は悪いけど、バッターとしては超一流や。俺とは相性悪かったけど…」
「ホームラン打たれた事なかったんやっけ?」
「よう知ってんな!対戦したどのピッチャーからもホームラン打ってたけど、俺のパームは全然打ててなかったな。でも野球辞めたって何で…?」
「それより次来たぞ!ほら、あの2人!」
「あれ?あいつ中学の全日本選抜に出てた中村ちゃうん?」
「そう、中村優也。その横におるのが幼馴染みの佐久間雅輝。中学は違うけど、小学校の時は二遊間組んでたらしいな。」
「へぇ~…でも何でそんな凄い奴がここに…」
「あれ~?ヤス、何で先行ってんねん!待っといてって言うたやん!」
安田を呼ぶ男子生徒は見た目がチャラく、どう考えても安田と友達になりそうもないが、安田は普通に話していた。
「俺は一言もわかったって言うてないし、待つとも言うてないぞ。」
「そんな冷たい事言うて~☆しかも新しい友達までおるやん!」
「えっ?あ~俺か…俺は若松聖司。」
「うぃ~ス☆俺、相川蒼太!よろ☆」
「よ、よろ…?」
「ほなまた後でな、ヤス☆」
「おう。」
「太一朗…」
「言うな。ああ見えて特進やねん、彼…」
「え~!?」
「見た目通りチャラい…ま~悪い人じゃないんやけど、期待はすんなよ。」
「おう…」
若松が項垂れていると、今度は3人入ってきた。
「1人デカいのがおるな~!」
「あの人は加瀬丈太郎。柔道の有段者らしい。野球はやれへんかな~…」
「じゃ~あのツンツン頭君は?」
「あの人は巻謙吾。陸上やってたみたいで、槍投げの記録保持者らしい。」
「太一朗…お前ホンマよう知ってんな!逆に怖いわ!」
「ふっ(笑)もう1人が橋本拓海。野球やってたみたいやけど、親父さんが亡くなってそれどころじゃないかもな~…」
「俺もお父おらんけど…」
「アホ!元プロ野球選手と比べんな。しかも兄弟多いし、お袋さんも病弱やしで結構大変なんやぞ~!」
「そこまで調べる事ないんちゃう…?プライバシーの侵害やで…」
「…さ~それは置いといて!最後の1人はびっくりするやろな~☆」
「何で?」
「君はよく知ってるやろうからな。てか同じコースやのに会った事ないん?」
「あ~そいつ文理コースなんや。いや、男子なんて見た事ないけど…」
「あっ、話してたら来たぞ!」
そう言って安田が指差す体育館入り口を見ると、若松のよく知る人物が立っていた。
「ら、雷同!!」
若松は名前を呼ぶと、走り寄っていった。
「何や、若松か…久しぶりやな。」
「おう!こんな所で会うとはな~!」
「お前こそ何やってんねん。」
「えっ?」
「お前高校でも野球やるんちゃうんかよ?何でこんな所おんねん。」
「いや、それは…」
「ま~俺には関係ないけどよ。」
雷同はそう言うと奥に歩いていった。
「いや~雷同翔か~…手厳しいね~!」
「雷同も肩壊してなかったら、強豪校行ってたんやろな~…」
「ま~諦めてないっぽいけどな。」
「えっ?どうゆうこ…」
「お前等~!舞台前に集合!」
大きな声で男性教師が入ってきて若松達を集めた。
いよいよ全員が顔を合わせる。
若松は一呼吸置いて舞台前に向かった。
「あれ?あの人ってまさか…!」
「どうした?太一朗?」
「い、いや…まさかな…」
「俺の名前は烈山龍馬。今日からお前等の体育を担当する。」
「や、やっぱりそうや!」
「烈山って…」
「あの甲子園大会優勝投手の…何でこんな所に?」
「誰…?」
「優勝投手…?」
「な~甲子園って?」
「野球やろ?」
「ほう、その年でまだ俺の事知ってる奴がおるとはな…ま~昔の話や。ええからお前等円なって自己紹介タイム!ほら、急げ!」
若松達は言われるがまま、体育館の真ん中に円になって座った。
「名前の順に自己紹介せえ!そこの眼鏡!」
「は、はい!」
「後は仕切れ!俺は寝る…」
「えっ…マジっスか!?ちょ…」
そう言って烈山はマットを引いて寝てしまった。
「おい、マジかよ…」
「あのおっさんが優勝投手ってホンマか?」
「中村、お前ホンマに知らんのか?」
「う~ん…聞いた事あるけど、あんなんやったっけ?てか、お前が誰やねん?」
「えっ?あ~俺は…」
「てかそんなんええから帰ろうぜ!」
「ま~先生があの調子やったらな…」
「おい、皆1回静かに!烈山先生の言う通りするぞ。」
「え~マジかよ!もうええやろ!」
「ええから座って!烈山先生は今あんな感じかも知れんけど、昔はホンマに凄かったんやから!俺あの人の大ファンやったねん!やるぞ~☆」
「太一朗が珍しく張り切ってる…」
「蒼太、君からやろ?早く!」
「あ~俺か…俺、相川蒼太☆特進コースのK組。ま~数少ない男同士…仲良くしようぜ~(笑)」
「ちょっと待て!お前が特進!?」
「どう考えてもチャラ男やろ?」
「チャラ男がアホやとは限れへんやで~☆」
「はぁ…次や次!次は加瀬君やろ?」
「あっ!俺か!俺は加瀬丈太郎!柔道部作ってタイトル総なめするのが夢や!」
「はっ!?柔道?」
「アホか…」
「皆!柔道やれへんか!?」
「アホや…」
「はいはい!次は佐久間君!」
「あ~僕、佐久間雅輝!よろしく☆」
「うぃ~…」
「高木君!次!」
「高木大知や…」
「あれ?お前全日本選抜候補に挙がってた高木やん!怪我して野球辞めたんや☆」
「うっせえ!お前かて全日本選抜選ばれたのに辞めてんやないか!」
「コラ、揉めるな。中村君も茶化すなよ…」
「ゴメンゴメン!全日本選抜の中村優也です!よろしく☆」
「全日本選抜が何でここに?」
「こいつもアホや…」
「怪我人に言われたくないよ(笑)」
「何やと!?」
「優ちゃん…もうその辺にしときや…」
「フン…」
「ちっ!」
「じゃ、じゃ~次橋本君!」
「あ~はい!橋本拓海です!皆、仲良くしましょう!よろしくお願いします!!」
「声デケぇよ!!」
「拓海…落ち着け…」
「あっ!ゴメン!」
「次!巻君!」
「巻謙吾…よろしく…」
「暗…」
「はい、次俺。安田太一朗です!皆、よろしく。」
「うぃ~…」
「次、聖司。」
若松の順番が回ってきた。
若松は徐に立ち上がった。
「雷同!」
「…あっ?」
「いや、君、若松聖司やろ…?」
「先やってくれ…」
「…別にええけど。」
「え~…」
「雷同翔…ま~あんま会う事ないやろうけど、仲良くやったらええんちゃう?」
「雷同…翔…」
「あの雷同か!」
「じゃ~怪我して野球辞めたのホンマなんや…」
「あ~…怪我してなかったらこんな所来てないわ…高木…お前もそうやろ?」
「ま~な…」
「え~雷同君、この怪我人の事知ってるんや☆」
「優ちゃん!」
「何や!お前さっきから!!」
「ちょ、止めいや!」
「中村、あんまこいつの事ナメんなよ。こんなんやけど…」
「こんなんって何やねん!」
「へぇ~…」
「それより中村、お前…野球は?」
「辞めたよ☆な~んかもうええかな~って…」
「優ちゃん、それは勿体ないって…」
「意味わからん…」
「若松…お前もやぞ。お前なんかこれからやろ。」
「そうや!お前やったらもっとええとこ行けたやろ!」
「へぇ~若松君って結構凄いんや☆」
「それは!今から聖司が言うから!聖司早よ言えって…」
「お、おう!」
「何や?」
「俺は…若松聖司!」
「若松聖司君…人気者やね~☆結構知ってる奴多いし(笑)」
「俺は…」
「…」
「何やねん!早よ言えや!」
「俺は…ここで野球部作って、甲子園に行く!」
「…」
「は?」
「ははは(笑)」
「何言うてんねん、こいつ…」
「甲子園て?」
「野球やろ?」
「お前…俺と一緒やないか!俺は柔道部で、お前は野球部!頑張ろうぜ☆」
「アホか…野球は9人いるんやぞ。お前以外入らな野球出来へんねん。」
「えっ、そうなん?」
「いや、そもそも入らんやろ…」
「10人しかおらんやぞ。真面な練習出来へんやろ…」
「無理無理…」
「やるねん!俺は…その為に光学園に来た!自分でゼロから野球部作って、強豪校倒して、甲子園に行くんや!男子生徒全員、烈山先生、皆揃ったら野球部が出来る。」
「…」
「でも現実的に考えて無理やろ…」
「怪我人2人おる時点で無理やん…」
「俺、野球なんて知らんで…」
「うん、ぶっちゃけ興味ないし☆」
「俺も柔道がな~…」
「…」
「若松…」
「雷同…」
「お前の夢は叶えへん。」
「…」
「はぁ…帰ろうぜ。ちょうどチャイム鳴ったし…」
「せやな。」
「安田…後、よろしく。」
「じゃ、じゃ~ね~…」
「若松…お前…ミスったな。」
「俺は諦めへんぞ!!」
「聖司…」
「絶対に最後まで!俺は諦めへん!ちゃんと理由聞くまで!俺は諦めへんぞ~!!」
「勝手にやってろ…」
「ま、またね…」
取り残された若松と安田。
こんな状態で野球部に未来はあるのか。
若松と安田は屋上で昼休みを過ごしていた。
女子ばかりの生活に慣れず、逃げるように屋上にいる。
それが現状だ。
「はぁ…」
「どうした?聖司。」
「いや、何かな~…教室に女子ばっかってしんどない?」
「普通羨ましい感じやけどな。」
「太一朗はしんどないん!?」
「しんどくはないけど嬉しくもないな。」
「でも屋上来てるやん。」
「ま~まだ1週間やし、女子と弁当食うとかはようせえへんしな。」
「そうやんな~…俺もようせんわ…」
「俺からしたらそんなんどうでもいいけどな。」
「えっ?」
「聖司…君さ、いつなったら光学園に入った理由教えてくれるん?」
「光学園に入った理由?」
「前言うって言って、全然言えへんやん!」
「あ~…もしかして気になってた?」
「べ、別に…聖司が言うの待とうと思ってたけど、一向に言う気配ないから…」
「あ~ゴメンゴメン!実はな…」
若松は安田に、光学園に入学した経緯を話した。
勿論夢の事も…
「なるほどな…」
「笑わんのか?」
「何で?」
「だってこんな夢、普通アホみたいやと思うやん…」
「君が話してる時に真剣さが伝わった。人の真剣な夢を笑ったりせえへんよ。」
「太一朗…」
「他の男子ともう会ったん?」
「いや、何処のコースの何組かもわかれへんしさ…」
「各コースに2人ずつ、何組かまではわかれへんけど、文理コースにも1人おるな。」
「あ~そうなんや、でもそんなんよう知ってんな!」
「ま~情報収集は得意やからな☆」
「1人ずつあたるしかないか…」
「いや、聖司…その必要はないで。」
「どうゆう事?」
若松の言葉を聞いて、安田は誇らしげに話し出した。
「明日から男の先生が来る。本来俺等は男子だけで体育する予定やったんやけど、今まで男の先生の赴任が決まってなかったから女子と合同でやってたんや。」
「って言う事は…?」
「明日男子が全員集まる。その時に聖司が野球部の話すれば…」
「そうか!」
「ま~入るかどうかわからんけど…」
「よし、やる気出てきた!」
「お~い、聞いてるか~?」
「おっ、ちょうどチャイム鳴ったな!戻ろうか!」
「はいはい。」
次の日…
若松は体育館にいた。
いよいよ男子生徒が全員集まるのだ。
「聖司。」
「太一朗…」
「…もしかして緊張してる?」
「ちょっとな…」
「珍しいもんやな。君って緊張せえへんと思ってた。」
「今日で野球部が出来るか出来へんかって決まると思うと、流石にな(笑)」
「ま~そうやんな。あっ、来たぞ!」
「えっ?」
体育館に1人入ってきた。
「た、高木!」
「あっ?あ~!お前…若松!何でお前がここに!?」
「お前こそ何で…野球は?」
「辞めたよ!そこは察しろよ!ここに来てるって事はお前もそうなんやろ!?…ったく!何でよりによってお前と同じ学校やねん!」
そう言って高木は体育館の奥に歩いていった。
「ほう、俺が説明するまでもなかったな。」
「よう知ってるよ。あいつは高木大知。口は悪いけど、バッターとしては超一流や。俺とは相性悪かったけど…」
「ホームラン打たれた事なかったんやっけ?」
「よう知ってんな!対戦したどのピッチャーからもホームラン打ってたけど、俺のパームは全然打ててなかったな。でも野球辞めたって何で…?」
「それより次来たぞ!ほら、あの2人!」
「あれ?あいつ中学の全日本選抜に出てた中村ちゃうん?」
「そう、中村優也。その横におるのが幼馴染みの佐久間雅輝。中学は違うけど、小学校の時は二遊間組んでたらしいな。」
「へぇ~…でも何でそんな凄い奴がここに…」
「あれ~?ヤス、何で先行ってんねん!待っといてって言うたやん!」
安田を呼ぶ男子生徒は見た目がチャラく、どう考えても安田と友達になりそうもないが、安田は普通に話していた。
「俺は一言もわかったって言うてないし、待つとも言うてないぞ。」
「そんな冷たい事言うて~☆しかも新しい友達までおるやん!」
「えっ?あ~俺か…俺は若松聖司。」
「うぃ~ス☆俺、相川蒼太!よろ☆」
「よ、よろ…?」
「ほなまた後でな、ヤス☆」
「おう。」
「太一朗…」
「言うな。ああ見えて特進やねん、彼…」
「え~!?」
「見た目通りチャラい…ま~悪い人じゃないんやけど、期待はすんなよ。」
「おう…」
若松が項垂れていると、今度は3人入ってきた。
「1人デカいのがおるな~!」
「あの人は加瀬丈太郎。柔道の有段者らしい。野球はやれへんかな~…」
「じゃ~あのツンツン頭君は?」
「あの人は巻謙吾。陸上やってたみたいで、槍投げの記録保持者らしい。」
「太一朗…お前ホンマよう知ってんな!逆に怖いわ!」
「ふっ(笑)もう1人が橋本拓海。野球やってたみたいやけど、親父さんが亡くなってそれどころじゃないかもな~…」
「俺もお父おらんけど…」
「アホ!元プロ野球選手と比べんな。しかも兄弟多いし、お袋さんも病弱やしで結構大変なんやぞ~!」
「そこまで調べる事ないんちゃう…?プライバシーの侵害やで…」
「…さ~それは置いといて!最後の1人はびっくりするやろな~☆」
「何で?」
「君はよく知ってるやろうからな。てか同じコースやのに会った事ないん?」
「あ~そいつ文理コースなんや。いや、男子なんて見た事ないけど…」
「あっ、話してたら来たぞ!」
そう言って安田が指差す体育館入り口を見ると、若松のよく知る人物が立っていた。
「ら、雷同!!」
若松は名前を呼ぶと、走り寄っていった。
「何や、若松か…久しぶりやな。」
「おう!こんな所で会うとはな~!」
「お前こそ何やってんねん。」
「えっ?」
「お前高校でも野球やるんちゃうんかよ?何でこんな所おんねん。」
「いや、それは…」
「ま~俺には関係ないけどよ。」
雷同はそう言うと奥に歩いていった。
「いや~雷同翔か~…手厳しいね~!」
「雷同も肩壊してなかったら、強豪校行ってたんやろな~…」
「ま~諦めてないっぽいけどな。」
「えっ?どうゆうこ…」
「お前等~!舞台前に集合!」
大きな声で男性教師が入ってきて若松達を集めた。
いよいよ全員が顔を合わせる。
若松は一呼吸置いて舞台前に向かった。
「あれ?あの人ってまさか…!」
「どうした?太一朗?」
「い、いや…まさかな…」
「俺の名前は烈山龍馬。今日からお前等の体育を担当する。」
「や、やっぱりそうや!」
「烈山って…」
「あの甲子園大会優勝投手の…何でこんな所に?」
「誰…?」
「優勝投手…?」
「な~甲子園って?」
「野球やろ?」
「ほう、その年でまだ俺の事知ってる奴がおるとはな…ま~昔の話や。ええからお前等円なって自己紹介タイム!ほら、急げ!」
若松達は言われるがまま、体育館の真ん中に円になって座った。
「名前の順に自己紹介せえ!そこの眼鏡!」
「は、はい!」
「後は仕切れ!俺は寝る…」
「えっ…マジっスか!?ちょ…」
そう言って烈山はマットを引いて寝てしまった。
「おい、マジかよ…」
「あのおっさんが優勝投手ってホンマか?」
「中村、お前ホンマに知らんのか?」
「う~ん…聞いた事あるけど、あんなんやったっけ?てか、お前が誰やねん?」
「えっ?あ~俺は…」
「てかそんなんええから帰ろうぜ!」
「ま~先生があの調子やったらな…」
「おい、皆1回静かに!烈山先生の言う通りするぞ。」
「え~マジかよ!もうええやろ!」
「ええから座って!烈山先生は今あんな感じかも知れんけど、昔はホンマに凄かったんやから!俺あの人の大ファンやったねん!やるぞ~☆」
「太一朗が珍しく張り切ってる…」
「蒼太、君からやろ?早く!」
「あ~俺か…俺、相川蒼太☆特進コースのK組。ま~数少ない男同士…仲良くしようぜ~(笑)」
「ちょっと待て!お前が特進!?」
「どう考えてもチャラ男やろ?」
「チャラ男がアホやとは限れへんやで~☆」
「はぁ…次や次!次は加瀬君やろ?」
「あっ!俺か!俺は加瀬丈太郎!柔道部作ってタイトル総なめするのが夢や!」
「はっ!?柔道?」
「アホか…」
「皆!柔道やれへんか!?」
「アホや…」
「はいはい!次は佐久間君!」
「あ~僕、佐久間雅輝!よろしく☆」
「うぃ~…」
「高木君!次!」
「高木大知や…」
「あれ?お前全日本選抜候補に挙がってた高木やん!怪我して野球辞めたんや☆」
「うっせえ!お前かて全日本選抜選ばれたのに辞めてんやないか!」
「コラ、揉めるな。中村君も茶化すなよ…」
「ゴメンゴメン!全日本選抜の中村優也です!よろしく☆」
「全日本選抜が何でここに?」
「こいつもアホや…」
「怪我人に言われたくないよ(笑)」
「何やと!?」
「優ちゃん…もうその辺にしときや…」
「フン…」
「ちっ!」
「じゃ、じゃ~次橋本君!」
「あ~はい!橋本拓海です!皆、仲良くしましょう!よろしくお願いします!!」
「声デケぇよ!!」
「拓海…落ち着け…」
「あっ!ゴメン!」
「次!巻君!」
「巻謙吾…よろしく…」
「暗…」
「はい、次俺。安田太一朗です!皆、よろしく。」
「うぃ~…」
「次、聖司。」
若松の順番が回ってきた。
若松は徐に立ち上がった。
「雷同!」
「…あっ?」
「いや、君、若松聖司やろ…?」
「先やってくれ…」
「…別にええけど。」
「え~…」
「雷同翔…ま~あんま会う事ないやろうけど、仲良くやったらええんちゃう?」
「雷同…翔…」
「あの雷同か!」
「じゃ~怪我して野球辞めたのホンマなんや…」
「あ~…怪我してなかったらこんな所来てないわ…高木…お前もそうやろ?」
「ま~な…」
「え~雷同君、この怪我人の事知ってるんや☆」
「優ちゃん!」
「何や!お前さっきから!!」
「ちょ、止めいや!」
「中村、あんまこいつの事ナメんなよ。こんなんやけど…」
「こんなんって何やねん!」
「へぇ~…」
「それより中村、お前…野球は?」
「辞めたよ☆な~んかもうええかな~って…」
「優ちゃん、それは勿体ないって…」
「意味わからん…」
「若松…お前もやぞ。お前なんかこれからやろ。」
「そうや!お前やったらもっとええとこ行けたやろ!」
「へぇ~若松君って結構凄いんや☆」
「それは!今から聖司が言うから!聖司早よ言えって…」
「お、おう!」
「何や?」
「俺は…若松聖司!」
「若松聖司君…人気者やね~☆結構知ってる奴多いし(笑)」
「俺は…」
「…」
「何やねん!早よ言えや!」
「俺は…ここで野球部作って、甲子園に行く!」
「…」
「は?」
「ははは(笑)」
「何言うてんねん、こいつ…」
「甲子園て?」
「野球やろ?」
「お前…俺と一緒やないか!俺は柔道部で、お前は野球部!頑張ろうぜ☆」
「アホか…野球は9人いるんやぞ。お前以外入らな野球出来へんねん。」
「えっ、そうなん?」
「いや、そもそも入らんやろ…」
「10人しかおらんやぞ。真面な練習出来へんやろ…」
「無理無理…」
「やるねん!俺は…その為に光学園に来た!自分でゼロから野球部作って、強豪校倒して、甲子園に行くんや!男子生徒全員、烈山先生、皆揃ったら野球部が出来る。」
「…」
「でも現実的に考えて無理やろ…」
「怪我人2人おる時点で無理やん…」
「俺、野球なんて知らんで…」
「うん、ぶっちゃけ興味ないし☆」
「俺も柔道がな~…」
「…」
「若松…」
「雷同…」
「お前の夢は叶えへん。」
「…」
「はぁ…帰ろうぜ。ちょうどチャイム鳴ったし…」
「せやな。」
「安田…後、よろしく。」
「じゃ、じゃ~ね~…」
「若松…お前…ミスったな。」
「俺は諦めへんぞ!!」
「聖司…」
「絶対に最後まで!俺は諦めへん!ちゃんと理由聞くまで!俺は諦めへんぞ~!!」
「勝手にやってろ…」
「ま、またね…」
取り残された若松と安田。
こんな状態で野球部に未来はあるのか。
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