英雄様の非日常《エクストラオーディナリー》 旧)異世界から帰ってきた英雄

大橋 祐

第21話 ピンチとチャンスは紙一重

 愛月は、蒼月の事を探していた。

「ん〜、お兄ちゃん何処にいるんだろ」

 昨日スキーズブラズニルではなく、城の方に全員で泊まったのだが朝起きたら蒼月が居なかったのでこうして探している訳だが。

「城下町にいったのかな?」

 王様達に聞いてみたが見ていた人はいなかった。

 そして、

『GUOOO OO OO OO OO』

 最近、聞いた生物の咆哮が耳に届いた。

***

「ドラゴンが来たぞーーーーーーーー!」

 門兵が叫び、避難を呼びかけた。


 このラメニー大王国にはある特徴がある。
 それは、城が都市の外れにあるという事。
 だから、城の反対側は森となっている訳だが幸か不幸か今回現れた龍はこの森からやってきたのだった。


「愛月さん! 早く逃げて下さい!」

 王様達はとっくに避難し、残っているのは愛月だけだ。

「イムさんは?」

「私は、あの龍の足止めをします」

「だったら私も」

「駄目です。まだ戦い慣れてない貴方があれほどの龍と戦える訳がありません」

 正論だ。といより、愛月自身あんな大きさの龍なんかに勝てる訳がない。
 大きさは大体邪竜イビルドラゴンの十数倍程度。
 はっきり言って無理だ。

「わ、分かりました」

 そして、足早に部屋から出て行ったイムを眺めていた愛月だが重要な事に気がついた。


「あれ? 出口ってどっち?」

 来て一日しか経ってない上にデカイ城の構造を把握するなんて方向音痴の愛月には帰り道など分からない。

「こっちかな?」

 歩いても歩いても同じ廊下が続く。

「あれ?」


 ドゴォォォォォン!!

 
 盛大に城の半分が崩れた。

 その一瞬でギリギリ外に出た愛月。
 そこは戦線だった。

「うっ……」

 血。
 倒れた兵士達を見て気分が悪くなった。

 ブンブンと首を振り、その場から離れようとする。

「た、す……」

 兵士の一人が呟いた。

(まだ、生きてるの?)

 兵士の助かる道を信じて魔法を放った。

癒し風ヒールウィンド

 その風が吹いた時、倒れている兵士達の苦しそうな顔がだんだん穏やかになっていった。

「良かった」

 ほっと一息ついたところだが、忘れてはいけないここは戦場の第一線。

 龍の標的が愛月に向く。

『GUGYAAAA AAAA』

 咆哮が轟く。

「危ない!」

 間一髪。
 ギリギリの所で龍の爪をイムがその身体をもって受け止めた。

「イムさん!!」

 ほとんど一人で龍を対応していたイムの体力はもう無くなり、気絶した。

 再度、龍が攻撃を仕掛けてくる。

防御風ディフェンスウィンド

 猛烈な上昇気流が発生し、龍の腕ははね飛ばされた。

「危なかったぁ」

 龍が爪を振り下ろし、もう一度攻撃に転じる。
 また、腕をはね飛ばすがジリ貧。
 そもそももう魔力が限界だ。

「助けてお兄ちゃん……」

 自分が救われる魔法の言葉。
 しかし、兄は助けに来ない。

 ただ

 脳内で声がした。
 時が止まったような感覚が芽生える。

【ねえねえ貴方、力って欲しくない?】

(力?)

【そ、なんでも良いよー】

(なら、人を護れる力が欲しい)

【だよねー! じゃあ、力としてあげちゃうよ私を・・

(えっ)


神降ろしコーリング・ザ・ゴット


アツキ「大橋さぁーオレ達の容姿とかってださないの?」

大橋こと作者「え? 出したじゃん」

アツキ「イムだけな!?」

作者「じゃあ、この話がひと段落ついたらキャラ紹介で出すよ」

アツキ「よろしくな、多分この話の場面とか想像出来ないと思うから」

作者「分かったよ」

アツキ「と、言う訳で次回『月巫女』お楽しみに」

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