異世界は神様とともに

うん小太郎

第一章 001 「神の加護」

「大丈夫ですか!?きこえますか?」

 騒がしい声でホープは目を覚ました。

「う、うぅ……」
 
 ここはどこだろうか。
どこかのベットで寝ているようだ。目の前には赤髪の少女が心配そうにこちらを見つめている。何でこんなところで寝てるんだろうか。さっきまで僕は…………
 そこまで考えたところで、やっと思考が追いついた。

「こ、ここは、どこですか!?」

「ちょ、そんなに激しく動かないで!安静にしといた方がいいわ」

 勢いよく身体を起こして騒ぐホープに赤髪の少女は苦笑した。
ホープは深呼吸をして、状況をゆっくりと飲み込んだ。

「落ち着いた?ここは私の家。森で倒れていたあなたをここに運んできたの」

「えっ。ありがとうございます!すみません…」

「いいんだよ。困ってる人がいたら助けるでしょ?」

 この人はいい人なのだなとホープはしみじみ感じた。

「私の名前はミーニス。よろしくね」

 目の前の少女――ミーニスは名前を教えてくれた。
 
「僕は――」

 ホープは名前を言おうとしたが、途中でつっかえた。
ずっと自分を僕と呼んできたが、俺と呼んだ方がかっこいいと思って変えたかったのだ
でもきっかけがなくてずっと僕で通してきた。
 ここでならいいきっかけだろうと思ったのだ

「俺の名前はホープ。助けてくれてありがとな、ミーニス」

「ホープ。いい名前ね。ところで何であんなところで倒れてたの?」

 ……何で倒れていたのかは自分でも説明できない。きっと異世界への転送による反動に耐えられなかったのだろう。
てか、カルトは本当にあのまま転送しやがったんだな。
 ホープは状況が大体見えてきて、これからのことを決めることにした。
それにはまず、目の前の事を片付けなくては。

「それが、俺にもよくわからないんだ。倒れる前の記憶が曖昧で。てか、ほとんど覚えてない。」

「記憶喪失ってやつ?どこまで覚えてるの?」

「名前とか、物の名前とか。当たり前の事くらいだけだ」

 異世界の事情がよくわからないからには、記憶喪失という設定が1番有効的だと考えたのだ。

「それって、かなりやばいじゃない!」

「やばいな。まず、ここはどこなんだ?」

「ウィリングっていう国の端の方にある、森を越えたところにある町だけど。それすらわからないの?」

 ウィリング。
聞いたこともない名前だ。教えて欲しい事は全部聞いておくか。

「そうだ。持ち物はどうしたの?ホープ、バックパックすら持ってないじゃない」

「バックパック?なんだそれ?」

「1人1個持てる、底なしのカバンのことだけど」

 そんな都合の良い物があるのか。と、ホープは感動した。
そして、あたりを見渡し持ち物が何もないことに気がつく。

「そんな便利な物があるのか。なんでないんだろう。なくしたのかな?」

「無くしたって……」

 ミーニスは呆れたようにホープを見る

「ところで、その首にかけてるネックレスは何?」

 言われてみると、たしかにネックレスがある。ネックレスなんてつけたことなかったのに。
 ホープは、服の中に入ったネックレスを取ってみた。
それは、カルトのくれた銀のコインだった。

「あぁ、これは誰かから貰った大事なものだ。そんな気がする」

「へぇ。どんなコイン?」

 そう言ってミーニスは首にかかったホープのコインに目をやった。

「こ、これって神の加護じゃない!誰にもらったの!?」

 ミーニスは急に表情を変えてホープに聞いた。

「お、覚えてないです」

 思わず敬語で返してしまった。ホープはカルトに貰ったと言ったらだめな気がしていた。
 ミーニスの反応からみて、これを持つのはすごいことなのだとホープは察する

「どの神だかもわからないの?」

「どの神って、この世界にはそんなに神がいるのか?」

「おぼえてないのね……この世界には4人の神が存在するの。それぞれ役割があって、それぞれが人の心を表しているの。」

 人の心を表す神。
どう4つに分けているのだろうか。

「人の良心を表す善の神ミルス、人の邪心を表す悪の神ラーク、人の心の陰を表す陰の神フィリック、人の心の光を表す陽の神バルート……」

 ミーニスがそこまで言ったところで部屋の扉が開いた。
知らない女の人が入って来た。

「話は聞いていたけど、ミーニスの話には少し違うところがあるわ」

「ミルバ!?」
 
 突然入って来た、ミーニスにミルバと呼ばれる女の人は話の誤りを指定した。

「驚かせてごめんなさいね、少年。私の名前はミルバよ、」

「お邪魔してます。ホープです」

 ホープは状況が理解できなくなったが、挨拶だけはしっかりできた。

「この世界に神は5人いるわ」
 
「5人。さっきの人たちと合わせて、あと一人ですか?」

「人々の憎しみ、悲しみ、絶望、喜び、全ての感情のあとにやってくる“無”。それを表す無の神……」

 無の神ってめちゃくちゃ弱そうだなとホープは考えていたが、真面目に話してるミルバに失礼なので、それは心にしまっておく

「最強にして最低の神、4人の神を封印して世界を闇に沈めた存在」

 4人の神を封印。この世界は無の神の支配下にあるのか。
今の自分に重要な情報にやっと気がついたホープはミルバの話に釘付けになった。

「神の名は、カルト……」

「!!」

 とんでもない名前を口にされ、ホープは驚愕した。
自分をこの世界に解き放ち、加護を持たせた神は、この世界を支配しているのだから。

「カルト……?」

 ホープは驚きを隠しきれなかった。

「少年。カルトを知っているのか?」

 ミルバに聞かれ、動揺するホープ
意識が手放されそうになる中、伝えるべき真実をホープは口にした。

「俺の、俺に、加護を与えた本人だ……」

 ホープは再び意識を無くした





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